天候爵
「お前!勇者はここだぞ!正々堂々ぼくと勝負しろ!」
一番勇者にふさわしくない金田が何か言い出した。
「何か言ったか?地を這う虫の戯言は聞こえんな」
ウェザディオスはわざとらしく耳に手を当てた。
「本当に小物だな。侯爵止まりなのも納得だ」
ロベリアはバカにした目でウェザディオスを見た。
「ふん。我に攻撃が届かないから挑発か?そんな物に乗るわけないだろう」
ウェザディオスはこちらを見下してきた。
「届かないかどうかは食らってから言って欲しいでありますよ」
エリザは不敵な笑みを浮かべて機関銃を取り出した。
「蜂の巣にしてやるであります。発射!」
エリザはウェザディオス目掛けて銃を乱射した。
「フッ。無駄なことを」
だがエリザが撃った弾丸はウェザディオスの体をすり抜けた。
「すり抜けた…。物理攻撃は効かないでありますか?!」
エリザ動揺して機関銃を落とした。
「我の今の体は雲だ。雲に触れることなど出来るはずないだろう」
ウェザディオスはそう言ってニヤリと笑った。
「今の我?…確かに今は曇りだけど。じゃあこれはどうかしら」
サヤはウェザディオスの頭に向けて矢を放った。
「無駄なことを…。ぐっ?!」
しかしサヤの矢はウェザディオスの額に突き刺さった。
「私の弓は矢に闇属性を付与するのよ。これであんたの体に魔法は効くこと、残虐戦機と同じでコア的な急所を砕かないといけないことがわかったわ。…残念ながら毒は効かないみたいだけど」
サヤは平然と頭から矢を抜いて地面に捨てるウェザディオスを忌々しげに見た。
「我の体にダメージを与えるとはな。こちらも反撃と行くか。ウェザーボール」
ウェザディオスは雲を纏った球を投げた。
「ふっ。小癪な。魔法が効くならこれで葬ってやる!」
ヒルデは宣言して手をかざした。
「地獄の業火よ。我が手の内に集まり黒き日輪となれ。その灼熱の炎で全てを焼き尽くし、魂をその中に飲み込むであろう。さあ、還るがいい。全ての生命を照らす原初の輝きの中に。煩わしい太陽ね!」
ヒルデは手から巨大な黒い炎の球を放った。本当に太陽のようだ。
「ふっ。愚かだな、姫よ。そのような攻撃我には効かぬ」
ウェザディオスはそう言いながら天に手を向けた。
「空気に宿る水の精霊よ。我が声に応え恵みの雨を降らせよ」
ウェザディオスが魔法陣を出すと凄まじい雨が降りヒルデが出した黒い太陽を消し去った。
「なっ。真に天を操っただと…。おまけにその姿は何だ?!」
ヒルデが驚きの声を上げるのも無理もない。おれもいきなりウェザディオスの体が水のように変化したのを見て正直驚いているからだ。
「天候を操って、天候によって姿を変えるとか…。かしこさコンテストにでも出ればいいんじゃないかしら」
「だからその例えわかりませんって」
ヒカリは呆れた目でサヤを見た。
「わかってて言ってるのよ。とりあえずあいつの天気ガチャをどうやって爆死させるかが鍵になりそうね」
またわけがわからないことを言い出すサヤがなぜかとても頼もしく見えた。
一体どうやって倒せばいいんでしょうね(棒)。次はウェザディオスの形態変化をやっていきます。




