洗脳解除
「よし。うまく捕獲出来たようだな」
おれはサヤの後に続いてヒカリのMephoneから出て来た。
「それじゃ洗脳解除するぞ。サヤ、ボールをくれ」
「はい」
サヤがボールを下手投げすると中から光が出て来た。
「あっ。ごめんなさい。軽く投げたらセーフだと思ってたわ」
サヤの言い訳と共におれの視界は黒い布に包まれた。
「…む。汝が我が新たなマスターか?」
おれに寄りかかる形で召喚されたヒルデはおれに問いかけた。どうやら書き換えの効果があったようだ。
「出したのあたしなのに…。本当に魔物球の所有者情報で決まってるのね」
サヤは興味深そうに持っている魔物球を眺めた。
「な、汝はあの毒弓使い!また我と戦いに来たか!」
ヒルデはそう言ってサヤをにらみつけた。
「…これ洗脳続いてるのか?まあいい。ディスペル」
おれはヒルデの額に解呪魔法を撃った。当然闇の衣の効果が及んでいないことは確認済みだ。
「な、何…を…」
魔法を食らったヒルデはゆっくり目を閉じて眠りについた。
「これで洗脳が解けたんですよね?」
ヒカリは心配そうに眠りについたヒルデの顔を覗き込んだ。
「多分起きたらわかるでしょう。それより敵が来るわよ」
サヤが指差す方を見ると大量の火の球が東の空から向かって来ていた。見るからに火のエレメント系の魔物だ。
「完全に場所がバレたようだな。これだけ水蒸気が上がってれば山からは丸見えだろう」
ロベリアはそう言って槍を構えた。
「何にせよ迎え撃つしかありませんな。話はそこからであります」
エリザはそう言いながら空にロケットランチャーを撃ち込んだ。
「これってどこの世界の戦いだったかしら」
サヤが首を傾げる中、ロケット弾が火の球に直撃して大爆発を起こした。
「ギャアアア!何だこの爆発は?!」
「敵は雪や氷しか使ってこないんじゃないのか?!」
火の球たちはこれ以上近付いて来ない。予想外の攻撃を受けて怯んだようだ。
「どうだ!これが勇者パーティーの力だ!」
見ていただけのカネダがよけいな情報を大声で暴露した。
「勇者が来ているだと?!皆バラバラに退け!1体でもいいからウェザディオス様に情報を持ち帰るのだ!」
指揮官の炎の魔人が指示を出した。
「「「はっ!」」」
火の球たちはバラバラに逃げ出した。統率が取れているのか勇者パーティーから逃げたいだけなのかよくわからないな。
「ドーター」
『はいはーい』
サヤがMephoneに話しかけるとすぐにドローンが火の球の後を追って飛んで行った。
「じゃ、あたしはドローンのカメラの映像見てるから。ヒルデが起きた時の説明はまかせたわ」
サヤはMephoneの画面を見ながら闇魔法で作ったソファーに腰かけた。
あまり話が進みませんでした。次はヒルデが目を覚ます予定です。