捕獲成功
「魔物球が見つかったわ。今座標を出すわね」
サヤはそう言ってMephoneの画面が見せて来た。
「それじゃここに転移するわ。手を握って」
サヤは左手を差し出して来た。
「そんなアプリがあるのか。魔導科学の力はすごいな」
おれはサヤの手を取った。
「まるで魔法みたいよね。科学が進歩すると行き着く所は同じになるのかしら」
そんなことを言いながらサヤが画面をタップすると、おれたちの体は光に包まれた。
転移した場所はかなり吹雪いていた。デスブリザードマウンテンだから当然かもしれないが。
「魔物球は…あったわ」
サヤは吹雪の中からすぐに魔物球を見つけ出した。そしておれに投げてきた。
「すごいな。おれも負けてられないな」
おれは空間魔法からヤスリを取り出した。そして魔物球を開き、ヤスリで主の名前が書かれている所を削り取った。
「これでも捕獲出来るが…。やはり戻した方が楽だな」
おれは削られた上に針で自分の名前を刻んだ。
「よし。終わったぞ」
他に何か仕込んでないことを確認し、おれはボールを閉じた。
「早いのね。もっと時間かかると思ってたわ」
サヤは意外そうな顔をした。
「書き換えるよりは楽だ。それより早く戻ろう」
「そうね。その前に光に伝えておくわ」
サヤはそう言ってMephoneをいじった。
ーーー
ヒルデさんと戦っている時、不意に懐のMephoneが鳴りました。
「沙夜ちゃんからでしょうか?…捕獲準備が出来たみたいです」
私はヒルデさんに気付かれないように皆さんに合図を送りました。
「…了解。勇者サマ。そっちにも作戦送るからその通りにやって」
リンさんに促されてMephoneを見ると確かに作戦が書いてありました。
「わかりました。いつでもいいですよ」
「わかった。…アイスフィールド」
私の言葉と共にリンさんは地面を凍らせました。
「フン。甘いわ!」
ヒルデさんはジャンプして氷結攻撃から逃れました。
「それはどうでしょう」
私はすかさず靴をアイススケートに変え、近くに滑りました。
「ライトネット」
そして落下して来るヒルデさんにネットを放ち、加速しながら踏み切りました。
「クワドラプルアクセル」
そのまま4回転アクセルを決めると、ヒルデさんは巻き取られました。
「なっ?!」
捕まって驚くヒルデさんの前にMephoneを出すと、魔物球を持った手が出てきました。手がボタンに触れると、魔物球から光が放たれました。
「ば、バカな…」
ヒルデさんの体は光に包まれ、魔物球に吸い込まれました。
「ヒルデ、ゲットだぜ。…なんてね」
Mephoneからサヤちゃんはドヤ顔で魔物球を掲げました。
新しいポケモン楽しみです。
次は捕獲後のやり取りをします。