襲撃
「…今外の雪に何か落ちた音がしたわ」
雪のソファーに座っていたサヤはそう言って体を起こした。
「何かが開いてからの足音…。魔物球から何か出てきたのかしら。どんどん近付いてくるわ」
サヤは目を閉じながら耳を澄ませた。
「複数の足音の後に雪が溶ける音…。雪だるまたちと交戦したようね」
サヤがそう呟いた瞬間、客間の扉が勢いよく開いた。
「た、大変だ!魔物が城を攻めて来たよ!」
ラオフは息を切らしながら叫んだ。
「すぐ迎え撃ちます。行きましょう」
ヒカリの号令と共におれたちは外に出た。
外に出ると雪が溶けて地面が剥き出しになっている。あたりからは湯気が立ち上っている。
「ぐっ。つ、強い…」
「何で魔族なんかがこんな所に攻めてくる?天候爵の部下はエレメント系のはずだろ…」
顔の右半分が溶けた雪だるまと左半分が溶けた雪だるまが目の前にいる銀髪の女魔族を見ながら呟いた。
「…焼き尽くせ」
そんな雪だるまの声を無視して銀髪の女魔族は巨大な火球を放つ。
「ハイドロカノン」
おれはとっさに水魔法で火球を撃ち落とした。
「ヒルデ姫ではないか。対勇者の推測が確かなら洗脳されて、魔物球に入れられて連れて来られたのか?」
棺で滑りながら銀髪の女魔族の前に立ちはだかったメルがひとりごちた。
「姫ということは魔王の娘か。娘まで洗脳するとは魔王も外道だな」
「ヒルデ姫は穏健派だからな。力があって自分に従わない者は娘であっても洗脳するのが魔王というクズ男だ」
しれっとクズって言ったな。魔王はよほど人望がないんだな。
「そうなるとまた無力化する必要があるわけか。面倒だな」
おれは思わず本音を漏らした。
「そんなこと気にせず倒してしまえばいいじゃないか。魔王の娘を倒せば魔王軍の戦力も下がるだろう」
カネダは的外れなことを言った。
「ヒルデ姫は魔王軍ではないから失っても魔王軍には大した痛手はないぞ。むしろ魔王を倒した後に統治を任せられる者を倒すのは得策ではないじゃろう。もう少し考えて話せ、たわけが」
メルはカネダに辛辣な意見を述べた。
「ならとりあえずこれでも食らいなさい」
サヤはヒルデに向けて毒矢を放った。
「フン」
しかしヒルデは矢を袖で防いだ。
「防がれた…。ただのゴスロリじゃないわね」
サヤは冷静に弾かれた矢を闇の手でつかんだ。
「ああ見えて闇の衣じゃからな。たいていの魔法や武器は弾くのじゃ」
メルは険しい目でヒルデを見た。
「光属性ならどうなんですか?」
「魔法防御は貫けるじゃろうが、単純に防御力も高いから通るかは五分じゃな。魔力で修復出来るのも厄介な所じゃわい」
メルはヒカリに説明した。
「本当に面倒な相手だな。さて、どうしたもんかね」
おれはヒルデを観察しながら、頭をめぐらせた。
展開が雑になってしまいました。次どうなるかは未定です。
後皆さんメリークリスマス。