雪だるまのラオフ
「ありがとう。ぼくラオフ。おかげで助かったよ」
ラオフと名乗った雪だるまは頭を下げた。
「よろしくお願いします、ラオフさん。私は勇者の光です。雪の女王様に会いに来ました」
ヒカリはラオフに自己紹介した。
「君たちが勇者パーティーなんだ!会えてよかったよ。早くウェザディオスを倒さないと女王様が消えちゃうかもしれないからね」
ラオフは神妙な顔で衝撃的なことを言った。
「雪の女王が消えるってどういうことだ?ウェザディオスに狙われていて命が危ないってことならわかるが」
おれはラオフに疑問をぶつけた。
「女王様は天候を雪にすることで、ウェザディオスの引き起こす異常気象の被害を食い止めてたんだ。でもさすがの雪の女王様も抑え切れなくなってきてて…。それならいっそのことオーロラ出し続けたら勇者パーティー来てくれないかって話になったんだよ」
ラオフはおれたちに説明してくれた。
「なるほど。あまりにも目立ち過ぎだからおかしいとは思ってたのよね。魔王軍もMephoneの拡散力は把握してるはずだもの」
サヤはMephoneを見ながら言った。
「なら時間かけてもいられないな。ラオフ、雪の女王の城の場所を思い浮かべることは出来るか?」
おれはラオフに尋ねた。
「もちろんだよ。ぼく女王様の城で生まれたからね」
ラオフは胸を張って言った。
「なら行けるな。みんな、ここを動くなよ」
おれはオラフに触れながら転移魔法陣を書いた。
「テレポーテーション」
次の瞬間、おれたちは転移した。
転移すると目の前に氷で出来た城があった。
「これが雪の女王の城か。うまく転移出来たようだな」
「そうね。でも余計なやつも来ちゃったようよ」
サヤはそう言って矢を放った。
「見つかっただと?!うまく陽炎で隠れたつもりだったのだが」
矢は何もない所に刺さり、炎の魔人が姿を現した。
「あたしの魔眼にそんなの通じないわ。そうでなくても雪が溶ける音でバレバレなのよ」
サヤは冷めた目で炎の魔人を見た。
「な、何で場所バレたの?!」
ラオフは慌てながら言った。
「おれの転移魔法に入り込んだんだろう。ブリザーディアも転移したから範囲内に入ってこれてもおかしくない」
正直ミスったな。もっと転移する前に周りの状況を見ておくんだった。
「何にせよ雪の女王の城をつきとめた。すぐ仲間を連れて来てやる!」
炎の魔人は転移魔法を使おうとした。
「させません。白峰影月流、光旋嵐閃月」
ヒカリは炎の魔人を切り裂いた。
「バカか!剣なんか効くはずが」
炎の魔人は話している間に消滅した。
「悪いですがもう私はコアを破壊出来るんですよ」
ヒカリはそう言って涙を拭いた。
「もう邪魔者はいないわ。案内して、ラオフ」
サヤは固まるラオフに言った。
「う、うん。ついてきて」
ラオフはひきつった笑みで答え、城へと歩き出した。
名前がそのまま過ぎますね。次は雪の女王との対面です。