乗客
個室でしばらく過ごしてから、おれは朝食をとりに食堂車へ向かった。
「あ、あなたはもしかして『構陣師』様ですか?!」
声がする方を見るとカメラを肩にかけた女の人がいた。
「そうだが」
「やっぱり!ロレイナ先輩からよく聞いてます!」
カメラを持った女性は知り合いの名前を出して来た。
「ロレイナ先輩を知ってるってことは、君も予言出版に勤めているのか?」
「はい。カメラマンのカノン・ナイコンです。私異常気象の写真を撮るためにフリザイスに向かってるんです」
カノンはそう言って名刺を出した。
「フリザイスか…。おれたちと同じだな」
おれの言葉にカノンはピクリと反応した。
「…つまり異常気象は魔王軍のしわざということですか?」
「そう判断したからおれたちはここにいるわけだ。今のうちに忠告しておくが、おれたちの戦闘についてくるのはやめてくれ。君たちは大人しく異常気象を追っていればいい」
おれはカノンに釘をさした。
「自分から明かしといてよくそんなこと言えるわね。まああたしたちがいる時点で目的は大体わかるでしょうけどね」
食堂車に入ってきたサヤは呆れたように言った。
「ほ、本当に勇者パーティーが集まってますね。魔王軍討伐のためなのは間違いないようですね」
カノンはそう言ってカメラを手に取った。
「1枚全員集合した写真撮っていいですか?魔王軍を倒した時に写真載せられるのはでかいですから!」
カノンは鼻息を荒くして言った。
「いいですよね、皆さん。…メルさんって写真に写るんですか?」
ヒカリはメルに尋ねた。
「問題ないぞ。鏡には写らんが写真は大丈夫じゃ」
メルは笑顔で言った。
「あ、もうちょっと寄って下さいね。じゃ、撮りますよ。はい、チーズ!」
カノンはそう言って写真を撮った。
「ありがとうございました!魔王軍の討伐期待してますね!」
カノンはそう言って朝食のビュッフェを取りに行った。
「勇者パーティーがいるとはな。どこの国で魔王軍が暗躍してるんだ?」
食べ物を取った防寒着を着た登山靴の男が聞いてきた。
「フリザイスだ。見た所あんたもフリザイスに行くようだが」
おれは登山家らしき男に尋ねた。
「ああ。デスブリザードマウンテンに登る予定なんだが…。魔王軍がいるなら難しそうだな」
登山家は難しい顔で言った。
「そもそも異常気象の時点でよく考えるべきだったと思いますわ」
チェリルは至極当然のことを言った。
「現地に行けばおさまると思ったんだ。だが異常気象が魔王軍のしわざだとすると厳しそうだな」
登山家は暗い顔で言った。
「心配ないであります。自分たちが倒すでありますよ」
「天候はどうにもならんが、操るやつならどうにでもなる」
エリザとロベリアは自信を持って言った。
「そうか。おれがデスブリザードマウンテンを攻略するためにも魔王軍を倒してくれよ」
登山家は頼み込むようにいった。
「もちろんです。あなたも攻略頑張って下さい」
ヒカリは登山家ににっこり笑いかけた。
繋ぎが雑ですね。列車ではあまり話を動かす予定はないです。