異常気象
「なんだか最近北部の地域で1日中オーロラが出る異常気象が続いているようね。よく動画が投稿されてるわ」
サヤがMephoneを操作しながら言った。
「おそらくエレメント系の天候爵ウェザディオスの仕業じゃろうな。やつならば気象を操ることなどお手のものじゃろうて」
そんなメルの声が棺の中から聞こえた。
「なら次の目的地は北の大国フリザイスということになるか。…所でメル、魔界に帰るんじゃなかったのか?」
おれは棺の中のメルに声をかけた。
「残念ながら転移で行こうとしても弾かれるのじゃ。魔王軍以外の者が立ち入れぬようになってるようでな」
メルは悔しそうな声で返した。
「じゃから今しばらく勇者パーティーと共に行動した方がいいと判断したわけじゃ。それに主どのの血は格別じゃからな」
メルはうっとりした声で言った。
「…本当に手が早いですね」
ヒカリは頬を膨らませながら言った。
「だから不可抗力だと言っただろう。真祖を倒したら魔王倒した後面倒なことになる。無効化する為にはしかたなかったんだ」
おれはヒカリに弁明した。
「それは聞きましたけど…。手籠めにしたこともですが、自分を犠牲にする方法だったのも何だかモヤモヤするんですよ。自分から傷付きに行かれると何か心配というか…」
ヒカリはそう言って顔を曇らせた。
「自己犠牲精神こじらせてる光に言われてもね。体はともかくいつも精神にダメージ受けてるじゃない」
サヤは呆れた目でヒカリを見ながら言った。
「そ、そうかもしれないですけど!他の人がやっているのを見るのは何だかいやというか何というか…」
ヒカリは複雑な顔をして言った。自分でもめちゃくちゃなことを言っている自覚はあるんだろう。
「それにしてもまた毒効かなさそうな相手ね。あたしが見つけた情報で動いてるのに何で相性が悪い敵ばかりなのかしら」
サヤは冷たい目でMephoneを見つめた。
「それは不運じゃな。じゃが安心せい。後はドラゴン、魔法使い、海竜じゃ。残りの七魔将には問題なく通用するはずじゃ」
メルは自信を持って言い切った。
「海竜って言っても絶海鋼竜って機械の竜よね?毒効くのかしら?」
サヤは最もな疑問を口にした。
「深手を負った所を機械で改造したはずじゃから効く部分もあるはずじゃ。ちなみに錆びない金属じゃから海で弱体化することはないぞ」
メルはサヤに説明した。
「そこまで期待してないわ。まあ部下の魚とかには効くでしょ。毒持ってるのにはどうだか知らないけどさ」
サヤはそう言って笑った。少しは元気になったようだ。
「まあとりあえず防寒の備えと、列車の手配しとくか。チカゲに頼んでいい席を確保しよう」
おれはその場にいるメンバーに言った。
「列車ですか。移動手段を聞くと自分が異世界にいるのか、それとも元の世界に帰ってきたのかわからなくなりますね」
ヒカリは苦笑いしながら言った。
「何だか夢を操る鬼が出て来そうね」
サヤはまたわけがわからないネタを言った。
導入が雑かもしれません。次は列車に乗ります。