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構陣師  作者: ゲラート
第4章 ファラオの呪い
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封じられし神

「先攻はもらう。ぼくのターン、ドロー!」

クリマはルール通り先攻ドローをした。

「速攻のヒル召喚」

クリマがカードを出すと巨大なヒルが出て来た。


速攻のヒル 攻撃力800


「手札を1枚捨ててヒルの効果発動。このターンヒルは直接攻撃出来る」

クリマは効果発動を宣言した。

「いや、1ターン目だから攻撃出来ないだろ。ただカードを墓地に送りたいだけなのか?」

マニャはジュエラリストならではの疑問を口にした。

「ふっ。残念ながらこの速攻のヒルは効果を使えば先攻1ターン目でも攻撃出来るんだよ」

「な、何ですって?」

まさかそこまで被せてくるなんて思わなかったわ。


「バトルだ。ヒルでダイレクトアタック!ブラッド・バイト!」

クリマが指示を出すと巨大なヒルが噛みついてきた。ソリッドビジョンで迫られると気持ち悪いわね。


沙夜 LP8000→7200


「ちっ。いきなりもらっちゃったわね」

それでも闇のゲームじゃないだけマシだけどね。リアルなダメージ食らったらかなり痛そうだわ。


『それよりマスター。今墓地にあるカードって…』 

ジュエラルディスクの中にいるドーターが墓地のカードの画像を出しながら話しかけてきた。

「翼神竜ラー…。効果は…隠されてるみたいね」 

実体化しないと出てこないようになってるのね。…闇のゲームないなら誰も効果使えないんじゃないかしら。

「ぼくはカードを1伏せてターンエンド!」

クリマはニヤニヤ笑いながらターンを終えた。多分次のターンにラーを特殊召喚出来ると思ってるんでしょうね。


「あたしのターン、ドロー」

…うーん。あまり回らないわね。ま、早くあのことを確認したいから別にいいか。

「相手の場にのみモンスターがいるから手札からサイバー・ドラグーンを特殊召喚」

あたしは手札から黒い機械竜を出した。


サイバー・ドラグーン 攻撃力2100


「バトル。ドラグーンでヒルを攻撃。エヴォリューション・ブラスト」

あたしが指示をすると、ドラグーンは口から光線を出した。

「くっ。まさかぼくにダメージを与えるとはね」

クリマはダメージを受けて顔を歪めた。


クリマ LP8000→6700


「見通し甘過ぎるでしょ。モンスターを裏側守備表示で召喚。あたしはカードを1枚伏せてターンエンド」

さて、あたしの希望的観測は果たして当たってるのかしらね。


「ぼくのターン、ドロー!」

クリマはカードを引いてニヤリと笑った。

「蘇生のアンク発動!墓地からカードを特殊召喚するよ」

クリマは笑いながら墓地からカードを選んだ。

「まさか来るのか、神のカードが!」 

来ないわ、多分。

「その通り。蘇れ!翼神竜ラー!」

蘇らないわ、きっと。心の中でツッコミを入れている間にクリマがジュエラルディスクにラーのカードを叩きつける。


『ブー!』


その瞬間、ジュエラルディスクからエラー音が響き渡った。

「…蘇れ!翼神竜ラー!」

クリマは気を取り直してラーをまた叩きつけた。

『ブー!』

それでも結果は変わらず無慈悲なエラー音が鳴るだけだった。

「な、なぜだ!なぜ蘇生しない!」

クリマは焦りながらジュエラルディスクを怒鳴りつけた。


「…まさかとは思ったけど本当に蘇らないとは思わなかったわ」

あたしが思わず呟くとクリマがこっちに視線を向けた。

「どういうことだ。まさか何かしたのか?!」

「それこそまさかだわ。ただユニコンが翻訳した次元漂流物にテキストに『このカードは特殊召喚できない』って書いてあっただけの話よ。ジュエラルディスクではエラッタされてないカードもデータベース上の最新のテキストで書かれている物として処理されるわ。だから古代神官文字で書かれたそのラーも特殊召喚出来ないってわけ」

あたしはクリマに説明した。


「もしかしてユニコンが参考にした次元漂流物のこと知ってるのか?」

説明を聞いたマニャが尋ねてきた。

「正直本についてたって聞いた時点で予想はついていたわ。テキストの一行目の『このカードは特殊召喚できない』の一文だけで全原作ファンを敵に回した悪名高きヲーなんじゃないか、ってね」

あたしの言葉にこの場が凍り付いた。


「ま、まさか蘇生のアンクに似たカードで墓地から特殊召喚するのが本来の戦術だったり」

「するわ。見た所クリマも翻訳ミスしてないラーを蘇生して過労死させるのを中心とした戦術なんじゃないかしら」

あたしはそこまで言ってクリマを見た。 

「さて、墓地に置いておけば恐れる必要はないラーを自ら墓地に置いちゃったわけだけど、一体どうするつもり?ま、ある意味正解の動きと言えなくもないけど」

「う、うるさい!元はといえばクソ開発者が余計なことしてなければこんなことにならなかったんだ!」

クリマはそう言ってラーを荒々しく墓地に戻した。

「文句はいいから神の力を見せてみなさいよ。あたしの世界にあるような介護カードがないのに見せられたらの話だけどね。あーはっはっは!」

「だ、黙れ、対勇者風情があ!」

あたしが高笑いを上げるとクリマがにらみつけてきた。

「…どっちが悪役かわかりませんね」

ジェシカの言葉が隠し部屋の中に空しく響いた。

今作で一番不憫なのは実はクリマなのかもしれません。

…ネタに走り過ぎましたがこれからどう展開しましょうかね。

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