不死のファラオ
「ふっ。まさか剣が伸びるとはな。その上離れる程威力が高い。この狭いピラミッドで範囲外に逃れるのは厳しいぜ」
ツタンクアテムは何もなかったような顔をして切れた体をくっつけました。
「特効持ちで光属性で武装した紅雪で斬ったはずなのに…。何でダメージないんでしょう?」
「…多分核となる物を切らないといけないんじゃないでしょうか。霊魂に当たってないからダメージがないんだと思います」
リリエンヌさんは目を閉じながら言いました。
「でもヒカリ殿心臓ぶった斬ったでありますよ。核って普通心臓じゃないんでありますか?」
私もエリザさんと同じことを思っていました。核っていえば心臓が定番じゃないんでしょうか?
「…まさかカノプス壺か?」
マニャちゃんがボソリと呟きました。
「カノプス壺?」
「ミイラを作る時に取り除いた内臓を入れて保存する容器よ。確かに核にするならピッタリかもしれないわね」
サヤちゃんは冷静に説明しました。
「その壺って今まで来た所に隠してあるなんてことありませんわよね?」
チェリルちゃんは不安そうに言いました。
「…確かにその可能性はある。だがおれがあいつなら祭壇に繋がる道に破壊されたら死ぬ弱点なんか配置しない。せっかく不死身になったのに自分にたどり着く前に弱点を破壊されて死んだら本末転倒だ。それなら祭壇から繋がる場所に配置して不死身状態のまま破壊されるのを防ぐ方が合理的だろう」
イドルさんは淡々と持論を展開しました。
「どこぞの闇の帝王を全否定してるわね。まあ確かにそうするのが合理的ではあるわ」
サヤちゃんはイドルさんに賛成のようですね。…何だかどこかから怒られる気がしますが気のせいでしょう。
「ここから繋がる場所か…。それなら祭壇の隠し部屋しかないだろうな」
マニャちゃんはそう言って祭壇を指差しました。
「グールスの連中が出てこないのもツタンクアテムの核を守っているからか。後でアンデッドを追加出来るようにすれば怪しまれないだろうしな」
ロベリアさんは祭壇をにらみつけて言いました。
「…ククク。ハーッハッハ!よく見抜いたな。お前たちの推理通り我が核は祭壇の隠し部屋でグールスが守っているぜ!」
ツタンクアテムは高笑いを上げて自白しました。
「わざわざ自分から明かすとは…。ずいぶん余裕だな」
「バレた所でどうしようもないからな。それにどの道お前たちが核を破壊するのは不可能だ。お前たちが隠し部屋を見つけるためには戦力を分けた上で、戦力外の墓守の小娘を守り切る必要がある。更におれの核はグールスの首領のクリマが守っている。戦えるジュエラリストが墓守と『魔眼』の2人だけで倒せるものか」
ツタンクアテムは自信満々に言いました。
「そ、そんなのやってみないとわからないだろ!」
マニャちゃんはツタンクアテムに向かって怒鳴りました。
「やらなくてもわかるさ。やつは神のカードを持っている。神の前にはどんなジュエラリストも無力だ」
ツタンクアテムはそこまで言って新たなアンデッドを出しました。
「さあ、どうする?無駄な挑戦をしてあがくか、潔くここでやられるか。好きな方を選べ」
ツタンクアテムはカードを2枚のカードを見せながら尋ねてきました。
結論にたどり着くまでの流れが強引だったかもしれません。次でジュエラルに入るかは未定です。