ファラオの戦術
「ではゲームを続けようか」
ツタンクアテムがカードをジュエラルディスクに入れると無数の黄金のブロックが飛んできた。
「アローレイン」
サヤは一瞬で全て撃ち落とした。
「なら次はこれだ」
またツタンクアテムがカードを入れると、今度はアンデッドから怪しいオーラが出てきた。
「強化系でありますか。こっちも負けてられませんな」
エリザは足にオーラを集中させ、近くにいたゾンビを狙った。
「フンガー!」
狙われたゾンビは腐った筋肉を肥大化させた。パワーと防御力を上げるつもりだろう。
「残念でしたね。この武器には破邪効果があるであります!」
エリザはそう言ってゾンビを一刀両断した。
「ナイトレイド!」
その次にメルがコウモリを出してオーラを出したゾンビを食べ尽くした。ものすごく嫌な絵面だな。
「ヴァンパイアか。魔物のくせになぜ魔王軍に逆らうんだ?」
ツタンクアテムはメルの方を向いて尋ねた。
「洗脳するような輩に従うわけないじゃろう。大体あの魔王貴様ら過激派にしか人望ないじゃろうが。反逆する者がいても何の不思議もあるまい」
やはり今の魔王には人望がないようだな。魔物が言うと改めて実感する。
「誰かを力で支配する喜びを知らないとは。哀れだな」
「死体に取り憑き操るゲスらしい発想じゃな。少しいい死体に憑いたからと言って図に乗るな」
メルはツタンクアテムに取り憑いた死霊に向かって吐き捨てた。
「やれやれ。残念だよ。味方になるというなら迎え入れてやったというのに」
ツタンクアテムはそう言ってカードから金の杭を放ってきた。
「嘘つけ。ヴァンパイアに杭をぶつけてくる時点で喧嘩売ってるじゃろう!」
メルは金の杭を血の鞭で叩き落とした。
「そんなつもりはない。偶然引きがよかっただけだ」
そう言って指を鳴らすと動物のゾンビが多数出てきた。
「このままだと時間がたつと不利になるばかりですね。せめて相手がどんなカードを使ってくるかわかればいいんですが」
ヒカリはツタンクアテムを恨めしげに見ながら言った。
「一応絵柄だけなら覗けるかもしれないけど…。呪術の内容まで読み取れる自信はないわ」
サヤはそう言って額を押さえた。
「それなら問題ない。1つ策を思い付いた」
おれはみんなに策を伝えた。
「…本当にそんなことが出来るのか?信じられないんじゃが」
メルはいぶかしげな目でおれを見た。
「理屈としてはわかりますけど…。本当にそういう扱いなんですか?」
リリエンヌも質問してきた。どうやら半信半疑のようだ。
「間違いない。ついさっき試してみたからな」
おれは実体験をみんなに伝えた。
「今の所その作戦がベストのようですね。なら乗りましょう」
「向こうのルールに従う理由もないでありますね。やってしまいましょう」
おれたちは向かって来るアンデッドを葬りつつ、作戦の準備を整えた。
決着までまだまだかかりそうです。