ツタンクアテム
「フッ。よくここまで来たな。今までここまでたどり着いた侵入者はいなかったから退屈だったぜ」
祭壇にたどり着くと、黄金のマスクをした男が祭壇の最上部にある玉座に座っているのが見えた。
「あなたがツタンクアテムですね」
「いかにも。おれがツタンクアテム。古の遊戯のファラオだ」
ツタンクアテムはそう言って玉座から立ち上がった。
「それではゲームを始めようか。せいぜいいい暇潰しになってくれよ」
ツタンクアテムが指を鳴らすと、地面から大量のアンデッドが出てきた。
「では遠慮なく行かせてもらいますね」
ヒカリはそう言うと、助走して地面を蹴った。
「はあっ!」
そのままヒカリは上にいるツタンクアテムに切りかかった。
「フン。甘い」
そう言ってツタンクアテムが指を鳴らすと、ツタンクアテムと光の間にゾンビが現れた。
「なっ?!」
ヒカリがゾンビを切り裂くと、ゾンビの体が光った。
「テレポーテーション」
おれがヒカリを転移させると同時に、ゾンビが爆発四散した。
「ありがとうございます。助かりました」
おれの近くに現れたヒカリは礼を言った。
「気にするな。仲間だから当然だ」
おれはヒカリに返しながら、アンデッドの中を探った。
「…スケルトンの頭蓋骨にまで何か仕込んでいるようだ。倒したらすぐ離脱した方がよさそうだな」
「ずいぶん卑劣なやり方ね。部下を何だと思ってるの?」
サヤはツタンクアテムをにらみつけた。
「元々ただの死体だ。どう扱おうがおれの勝手だろう」
ツタンクアテムはそう言って黄金のジュエラルディスクを出した。
「今度はこっちのターンだ。くらえ」
ツタンクアテムがカードを挿入すると、無数の火の球が飛んできた。
「いや、戦いにターンなんて存在しないだろう」
おれはそう言いつつ火の球を水魔法で叩き落とした。
「なかなかやるな。ならこれはどうだ」
ツタンクアテムが指を鳴らすと、ボーンバットがマニャ目掛けて飛んで行った。
「ヒール」
そこをすかさずリリエンヌが回復して倒した。
「何するんですか!マニャちゃんは非戦闘員なんですよ!」
ヒカリはツタンクアテムに怒鳴った。
「ジュエラリストを先に潰すのは当然だろう。大体非戦闘員っていうなら戦場に連れてくるな」
ツタンクアテムは冷静に言った。
「ふざけるな!お前があたしをピラミッドに閉じ込めたんだろうが!」
マニャはツタンクアテムに噛みついた。
「おれが蘇った時に墓守がいたなどおれが知ってるはずないだろう。恨むなら自分の運の悪さを恨むんだな」
ツタンクアテムはそう言って鼻で笑った。
「こいつ…。もう許せねえ!」
マニャはそう言って懐からナイフを取り出した。
「落ち着け。君が戦った所でどうにもならない。はっきり言って足手まといだ」
おれはマニャを止めた。
「相手は戦闘力がない墓守でも容赦なく殺してくる血も涙もない男であります。あまり動かれると守りづらいでありますよ」
エリザもマニャをたしなめた。
「クソッ!あたしには何も出来ないのかよ…」
そう言って拳を壁に叩きつけるマニャにおれたちが言えることは何もなかった。
次から本格的なバトルに突入します。