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構陣師  作者: ゲラート
第4章 ファラオの呪い
135/185

動き出す闇

「グオオオオ!」

あたしとの勝負に負けたゾンビの体がボロボロになって朽ち果てた。

「ふっ。楽勝だったわね」

あたしは割れたサイコロを地面に置いて呟いた。

「イカサマしといてよく言えますわね。サヤ様の力でサイコロにヒビを入れて、ダメ押しでロベリア様の加速魔法で高速で地面にぶつけてサイコロを割って7を出させるなんて反則もいいところですわ」

チェリルは呆れた目で見てきた。

「仕方ないじゃない。出た目が少ない方が勝つ勝負で6出しちゃった以上他に勝つ手段ないもの。それにあたしは見たことある攻略法を実践しただけよ。…あっちは敵がぶつけてきたから出来たことだけど」

「サヤ様の方が悪質じゃありませんの…。勇者パーティーがすることではありませんわ」

チェリルはあたしを険しい目で見た。


「私としては時属性を活かせたからよかったがな。パーティー戦ではあまり役立てられてなかったから少し鬱憤が溜まっていたんだ」

ロベリアは手で槍を回しながら言った。

「使うような場面がなかったのは確かですわね。獣王戦は一騎討ちでしたし、残虐戦機戦は遥か上空での戦いでしたし。強敵じゃなければ槍だけで圧倒出来るから使う必要はないかもしれませんわね」

チェリルは冷静に分析した。

「そうだな。しばらくは槍投げの加速と先読みで満足するか」

「いや、それ普通に魔法帝レベルのチートだから」

ロベリアにツッコミを入れると同時に久々に目眩が襲ってきた。

「ダークピロー」

あたしはとっさに闇で枕を作って倒れ込んだ後意識を失った。


ーー


「『落涙』が迷宮を抜けただと?!バカな!あの面子では抜けられないルートを選んだはずではないのか?!」

椅子に座ったロッドを持ったグールスの男が別の男に怒鳴った。

「そ、それがどうやら墓守の生き残りと合流したらしく…。仕掛けを完全に突破されてしまったんです」

下っ端のグールスは震えながら報告した。

「くっ。まだ生きている者がいたのか。しつこいやつらめ!」

ロッドのグールスはひじ掛けを殴りつけた。


「ずいぶん荒れてるな。グールス首領様ともあろう男が情けないぜ」

そう口を挟んだのは茶髪ヤンキーだった。なるほど。マヨが大会に出てるはずなのにピラミッドの場面を夢に見てるのはこいつがいたからなのね。

「何を他人事みたいに…。お前が転移させる位置が悪かったから合流されたんだろう!」

「おいおい。おれは攻略出来なさそうなやつらが固まった所で転移罠を作動させただけだぜ?どこに飛ぶかは設定したやつが決めることだろうが」

茶髪ヤンキーはグールス首領に正論を言った。

「ぐぬぬ。人間のくせに生意気な…」 

グールス首領は歯ぎしりしながら茶髪ヤンキーをにらみつけた。


「結果はどうあれやるべきことはやった。後は好きにさせてもらうぜ」

茶髪ヤンキーは懐から金色の盤を取り出した。

「金田がいるのは…ここだな」

茶髪ヤンキーはそう言って赤い点を指差した。するとイドルとジェシカと金田の姿が映し出された。

「ククク。順調に進んでるようだな。どうせ周りに頼ってるだけだろうが」

茶髪ヤンキーはそう言ってカプセルを取り出した。多分何か生物が入ってるわね。

「プレゼントだ。せいぜいSSRが当たらないように祈るんだな」

そう言って茶髪ヤンキーは画面にモンスターボールを投げた。モンスターボールは画面に吸い込まれていった。


「貴様!何を勝手なことを!」

グールス首領は茶髪ヤンキーを怒鳴った。

「腐っても勇者を倒せるんだからいいじゃねえか。それに勇者パーティーの戦力を削れるなら万々歳だろ」

茶髪ヤンキーはそう言ってニヤリと笑った。

「金田。お前の命運もここまでだ。少しはおれを楽しませてあの世へ行け!ハーハッハッ!」

茶髪ヤンキーの高笑いと共に、あたしの意識は消えていった。


ーー


「知らない天井だわ」

目を覚ましたあたしは定番のセリフを言った。

「大丈夫ですか、サヤ様。急に倒れたから心配しましたわ」

チェリルが心配そうにのぞき込んできた。

「大丈夫よ。よくある悪夢だわ」

「…対勇者の意識と繋がったということか。何が見えた?」

ロベリアはあたしに尋ねてきた。


「茶髪ヤンキーーーーマヨじゃない方の対勇者が金田の所に何か魔物を送り込むのが見えたわ。イドルとジェシカも一瞬にいるようね」

あたしはチェリルとロベリアに説明した。

「一体どんな魔物でしたの?」

「ボールに入ってたからわからないわ。アンデッドかどうかも定かじゃないわね」

あたしはそう言ってゆっくり体を起こした。

「魔物球か。よく見ただけでわかったな」

「ゲームで見たもの。とりあえずあまり強くない魔物が出てくることを祈るわ」

あたしは持ってきた水筒の水を飲みながらイドルとジェシカたちに思いを馳せた。          

前降りが少々雑かもしれません。

次は久々のイドル視点です。

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