表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
構陣師  作者: ゲラート
第4章 ファラオの呪い
130/185

墓守

「はあー。助かったー。ホントありがとな。やっぱ勇者パーティーって強いんだな!」

女の子はへたりこみながら言いました。

「気にしないでいいですよ。聖女として人を救い、アンデッドを祓うのは当然のことです」

リリエンヌさんは女の子に優しく微笑みました。 

「聖女もいるのか。タイミングよく来てくれて助かったよ」

女の子はそう言うと前に倒れ込みました。

「だ、大丈夫ですか?」

私がすかさず膝で受け止めました。するとぐーぎゅるるるという大きな音が聞こえました。

「は、腹減ったー…」

女の子は弱々しく言いました。


「もぐもぐ…うめぇ!最近ろくなもん食べてなかったんだよな」

女の子はエリザさんが空間魔法から出したスープとパンをすごい勢いで食べています。よっぽどお腹が空いていたんでしょうね。

「それはよかったです。…所であなたは何者なんですか?ヒールで回復しているのでアンデッドではないようですが」

リリエンヌさんは女の子に尋ねました。

「あっ、まだ名乗ってなかったね。あたしはマニャ。墓守の一族だよ」

女の子ーーーマニャちゃんは口に物が入ったまま答えました。


「墓守の一族、でありますか」

エリザさんは探る目でマニャちゃんを見ました。

「ホントだって!この刺青見りゃわかるだろ」

マニャちゃんは右腕にある目と十字架が描かれた刺青を見せました。

「すみませんが見てもわかりません…。私たちアイシスの人間ではないですから」

リリエンヌさんは申し訳なさそうな顔をした。


「あー。外国から来たんじゃわからないか。なら仕方ないね。…とにかくあたしは仲間と一緒にピラミッドのメンテナンスをしてたんだ。そしたら急にアンデットが出て…。それで…」

マニャちゃんはそこまで言って顔を曇らせました。

「…辛い思いをしたんですね」

私はマニャちゃんの頭を撫でました。

「うぅ。ぐすっ…」

マニャちゃんは私の胸に顔をうずめて泣きました。

「あなたの仲間たちの魂にやすらぎがあらんことを…」

リリエンヌさんは目を閉じて祈りを捧げました。


「ありがと。泣いたらすっきりしたよ」

マニャちゃんは顔を上げました。

「いえいえ。私に出来るのはこれくらいですから」

私は照れくさくて頬をポリポリかきました。

「助けてくれたお礼にツタンクアテムの所に案内してやるよ。あいつには借りがあるしよ」

マニャちゃんは泣き腫らした目に怒りの火を灯しながら言いました。

「き、危険です。ここにはアンデッドがウヨウヨいるんですよ」

リリエンヌさんはマニャちゃんを止めました。

「だからだよ。どの道あたしの力じゃアンデッドを切り抜けて脱出するのは無理だ。それに見た所姉ちゃんたち戦闘は出来てもピラミッド探索には向いてないだろ」

「そ、それは…」

私たちは何も言えませんでした。実際迷ってたわけですからね。

「大体ツタンクアテムはあの牛を倒さないと迷路から脱出出来ない仕掛けを作るような血も涙もないやつだ。自分を倒さないとピラミッドから出られないようなにしてもおかしくない」

なるほど。だからマニャちゃんはずっとデスタウロスに追い回されていたわけですね。


「…どうやら連れて行くしかないようでありますな。離れてはいけないでありますよ」

エリザさんは渋々ながらマニャちゃんを連れて行くことにしたようです。

「エリザ様の言う通りです。絶対1人で動いちゃダメですよ」 

リリエンヌさんはマニャちゃんに念を押しました。

「わかってるって。アンデットになって聖女サマに浄化されんのなんてゴメンだよ」

マニャちゃんはそう言ってにっこり笑いました。

「そうと決まればマニャちゃんの体力が回復したら行きましょう。いっぱい働いてもらわないといけませんしね」 

私はマニャちゃんの目を見て言いました。

「おうよ。まかせとけ!」

マニャちゃんはポンと胸を叩いて力強く宣言しました。

少しあっさりしすぎたかもしれません。次から話を動かせたらいいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ