ジュエラル
「待たせたわね。デッキが完成したわ」
そう爬虫類の目の男に告げた。
「ふっ。遅かったな。てっきり逃げる相談でもしているのかと思ったぞ」
爬虫類の目の男はあたしを煽ってきた。
「当たり前でしょ。勝てる勝負を投げるバカはいないわ」
「減らず口を…。まあいい。すぐ我が王を手に入れてやる!」
爬虫類の目の男はそう言って腕の骨を変形してジュエラルディスクに変形させた。
「あ、あれは最近発売されたジュエラルディスク?!」
「つまりモンスターが実体化するのか。まさか生で見れるとはな!」
周りのギャラリーが騒ぎ出した。
「いや、言ってる場合じゃないだろ。人の骨が変形したんだぞ。あいつ人間じゃなくてアンデットだろ!」
それに対して一部の冷静な人たちは恐怖に怯えている。まああれだけすれば気付くわね。
「それ本当に機能するの?まあいいわ。ドーター、ジュエラルディスクモード」
『了解。モードチェンジ』
あたしの言葉に反応したMephoneが変形して、ジュエラルディスクになってあたしの腕にはめられた。
「Mephoneってあんなアプリもあるんだな」
「大迫力のバトルになりそうだぜ」
ギャラリーはかなり興奮している。パフォーマンスは成功だったようね。
「やるならジュエラル用のスペースに移動してくれんかの。商品が巻き込まれてはかなわんわい」
おじいさんに促されてあたしたちはジュエラルスペースに移動した。
「それじゃやりましょうか」
あたしがさっき入れたカードを入れるとデッキが自動でシャッフルされた。スリーブ使ってるのにうまくシャッフルされてるわね。
「ふっ。完膚なきまでに叩き潰してやる」
爬虫類の目の男もデッキをディスクにセットした。すると爬虫類の目の男のジュエラルディスクが光り、あたしと爬虫類の目の男の腕に目の刻印が浮かび上がった。
「これは敗者にジュエラル前の誓約を守らせる呪印だ。カードを渡さないと壮絶な苦痛がその身を襲うだろう」
爬虫類の目の男はそう言ってニヤリと笑った。
「そう。安心したわ。負けた後に抵抗されると面倒だもの」
あたしは爬虫類の目の男を挑発してみた。
「身の程知らずが…。すぐその余裕を消してやる」
「「ジュエラル!」」
宣言と同時にジュエラルが開始された。
開始と同時にあたしと爬虫類の目の男のディスクのターンランプが交互に光り、爬虫類の目の男の所で止まった。
「先攻はもらう。私のターン、ドロー!」
ちなみにジュエラルには先攻ドローはある。だから今のドローでジャッジキルは出来ないわ。
「強欲なる壺を発動!2枚ドロー!」
爬虫類の目の男がカードを発動すると不気味な笑顔の壺が実体化した。壺は次の瞬間割れ、爬虫類の目の男はカードを2枚ドローする。
「おい。それ禁止カードだろ!」
「じーさん!そいつ反則負けにしろよ!」
周りのギャラリーがおじいさんに指摘した。いつの間にかおじいさんが審判役になっているみたいね。
「無理じゃよ。これは大会ではない。禁止制限を無視しても責められんのじゃ」
悲痛な顔で返した。グールス相手でもフェアに進行したいんでしょうね。
「心配いらないわ。どうせ大会レベルじゃ戦えないから禁止カードに頼らないといけないザコなんだもの」
あたしはとりあえず煽ってみた。フリーなら禁止カード入れてる人もいるから言いがかりに過ぎないのは自覚してるけどね。
「ならもう1枚禁止カードを使ってやる!エンジェルの施し発動!3枚ドローして2枚捨てる!」
今度は天使が出てきて空から羽根を落とした。アンデッドなんだから浄化されればいいのにと考えている間に爬虫類の目の男は3枚ドローして2枚捨てた。
「千年シールドに迷宮の壁…。守備力が高いカードが多いのね」
あたしはディスクの機能で捨てたカードを確認した。
「ふっ。私のデッキは鉄壁だからな。モンスターを裏側守備表示で召喚!私はカードを2枚伏せてターンエンド!」
爬虫類の目の男は守りを固めてターンを受け渡してきた。
「あたしのターン、ドロー」
あたしはドローした。そして手札を確認して爬虫類の目の男をにらみつけた。
「あんたにエグゾディアは揃えさせないわ」
あたしは爬虫類の目の男に言い放った。
ちなみに最後のカード名は誤字ではありません。念のため。