ジュエラル、スタンバイ
声がした方を見ると黒いフードを被った5人の男がいた。
「あんたたち噂のレアハンターね。何でそんな腐ったやつらに当てたばかりのカードを渡さなきゃいけないのよ」
あたしは黒フードの男に返した。
「腐ってない!我々はミイ」
「いけませんよ。余計なことを言っては」
つっかかってきたフードの男を仮面のマジシャンみたいな男が止めた。どう見てもイカサマ仕掛けて来そうね。
「大体そのカードは儀式には必要ないだろう。無駄な労力を費やすな」
顔にタトゥーを刻んだ男が止めた。多分デッキはドローゴーかしら。
「関係ないです。それにレアカードがいくらあっても困るものじゃないでしょう」
最初の男がタトゥー男に言い返した。
「そうですね。あって損はないでしょう」
「おれたちグールスが負けるわけないかんな。やっちまえばいい」
黒い仮面の男と白い仮面の男も続く。タッグでもするのかしらね。
「勝手に盛り上がってるようだけどそれあたしに受けるメリットある?大体あたしのデッキにはツタンクアテム合わないから入れられないわ。アンティにしていいのはデッキに入ってるカードだけだから賭けるのはルール違反よ」
あたしはグールスとかいう集団の会話に割り込んだ。
「なら今からデッキを作るといい。ここはカード屋だから合うカードはあるだろう」
タトゥーの男は冷静に言った。
「確かにデッキ作れば出来るけどあんたこのツタンクアテムに釣り合うカード出せるの?正直デッキ賭けてもらわないと割に合わないんだけど」
あたしは最初に突っかかって来た男の爬虫類みたいな目の男をにらんだ。
「ふっ。いいだろう。私が即席デッキなどに負けるはずがないからな」
爬虫類の目の男は自信満々で言った。
「おい。お前のデッキには儀式に必要なピースが3組も入っているんだぞ。万が一敗れたら集め直すのに時間がかかる」
タトゥーの男が爬虫類の目の男に耳打ちした。
「心配いりませんよ。我がデッキは禁止制限を無視した極悪デッキです。相手に何もさせずに揃えるなど容易いことです」
爬虫類の目の男は小声で返した。
「なら決まりね。おじいさん。この店のカードを見せてもらうわよ」
「もちろんいいぞい。効果に合ったカードを見せてあげよう」
あたしはおじいさんに案内されてシングルカード売り場に行った。
「あの、沙夜ちゃん。デッキ奪うのはやり過ぎじゃないですか?」
光はあたしに小声で指摘した。
「儀式を阻止するためには出来るだけ多くもらった方がいいでしょ。それにあいつらの会話からしてだいぶ儀式のパーツ削れそうだしね」
あたしは光に返しながらツタンクアテムを中心にデッキを組み始めた。
「品揃えいいわね。かなりのレアカードもあるわ」
「長年カードを売っとるからのう。孫もジュエラルキングじゃからカードの取引が多いんじゃ」
何だか名前にユウがついてそうな気がするわね。さすがに遊ではないだろうけど。
「ツタンクアテム関連は一通りあるし…。アンデットストラクとストレージ見せてくれる?」
「ストラクチャーデッキは3つすぐ持ってくるから少し待っててくれるかの。ストレージはそこじゃから好きに見ててくれ」
おじいさんはストラクチャーデッキを取りに行った。
「さて、後は勘だけでメタってみようかしら」
「よくわからないですけど勘で決めるのは危険だと思うんですが…」
光の忠告をあたしは聞き流した。
残念ながらジュエラルは始まりませんでした。ジュエラルの展開はこれから考えます。