砂漠の街
ピラミッドについて調べていたあたしたちは息抜きにアイシスの城下町に行った。
「結構にぎわってますね。まだお昼だからでしょうか」
武器強化の特訓を終えた光は市場の様子を見ながら言った。
「多分アンデッドが儀式のために動いてるという可能性を考えてないんでしょうね。…さすがにカードショップはかなり警戒してるみたいだけど」
カードショップの前には屈強な大男がいる。防犯効果はあるかもしれないけど少し入りにくいわね。
「カード強奪事件の影響ですね。そういうひどいことする人がいるのはマンガやアニメだけでいいです」
光は固く拳を握りしめた。カード強奪犯に憤りを感じてるんでしょうね。
「今の状況がすでにマンガやアニメみたいな物だけどね。まあそれはともかくまずは砂漠用の装備でも見ましょうか」
あたしと光は市場の方へと向かった。
「ほう。刃が内側についてるのでありますか。曲がった形状なのは盾を迂回して攻撃するためでありますな」
市場を歩いているとエリザが武器屋にいるのを見つけた。兵士の訓練が終わったから街に出てたのね。
「あ、エリザさん。武器見てるんですね」
「お、ヒカリ殿にサヤ殿。お二人も市場に来てたんですね」
エリザは大きく手を振った。
「まあね。…それにしてもそれ以上武器増やしてどうするのよ。装備しなくても意味はあるだろうけど使わない物の方が多いでしょうに」
あたしはエリザに疑問を投げ掛けた。
「確かにそうかもしれませぬな。それでも備えておくことに意味があるのであります。何か足りなくて後悔するよりマシでありましょう?」
エリザはそう言いながら楽しそうに武器を選んでいる。単に武器が好きなだけなのかもしれないわね。
「一理あるわね。その備えがほぼイドルの術式の匙加減なのがなんとも言えないけど」
「そうでありますね。でもイドル卿ならきっと面白い効果にしてくれると信じております。これまでもユニークな物をいっぱいくれましたから」
それってある種実験台扱いされてないかしら?まあ本人が納得してるならいいわ。
それから少しエリザと話したあたしたちは服屋に向かった。やっぱり砂漠対策はしておかないといけないしね。
「あら、お嬢ちゃんたち観光かい?」
服屋の店員があたしたちに尋ねてきた。
「はい。ピラミッドに行きたいので砂漠を越えるための装備を揃えたいと思いまして」
ヒカリは店員に説明した。
「やっぱり我が国が誇る観光地だけあって人気あるんだねえ。でも南東にあるツタンクアテムのピラミッドには近づいちゃいけないよ。いつアンデットに襲われるかわかったものじゃないからね」
店員は真顔になって忠告した。
「ご忠告どうも。注意しておくわ」
あたしは適当に流した。
「砂漠を越えたいならマントと髪を保護する物は必要だね。後サソリもいるから他の店で毒消しは買っておいた方がいいよ」
店員はあたしたちにアドバイスしてくれた。
「なら同行者の分と合わせて9セットいりますね。どんなのがあるか見せてもらえますか?」
ヒカリは店員に質問した。
「もちろんいいよ。…それにしても思ったより大所帯だね。冒険者みたいだけど大規模な依頼か何かかい?」
店員は声を潜めて聞いてきた。まあ光の紅雪見たらわかるでしょうね。
「大体そんな感じよ。出来ればいい素材の物を頼むわ」
「はいよ。しっかり選んであげるよ」
それから店員のアドバイスに従ってあたしたちは砂漠用の装備を選ぶことになった。
どうも繋ぎの話になると雑になりますね。
次もどうなるか未定です。