ツタンクアテムについて
「…どうやらツタンクアテムという王は相当陰湿だったみたいだな」
ピラミッドの資料を一通り読んだ感想が思わず口から漏れた。
「そうですわね。やたら頭を使わせる仕掛けが多いですわ」
チェリルは目をこすりながら答えた。やはり翻訳魔法の負担があるんだろう。
「罠や前に進むための仕掛けの探知自体はあたしも出来るだろうけど…。解くのに苦労しそうね」
サヤはペラペラページをめくりながらうんざりした口調で言った。
「罠がその資料に書かれている物だけならばよいがな。蘇ったなら色々魔改造されてもおかしくないぞ」
ロベリアはピラミッドの資料を見ながらぼやいた。
「もういっそのことピラミッドに入らないで儀式を阻止出来ればいいんですけどね…」
リリエンヌはそう言って頭を抱えた。
「一応阻止する策はあるわよ」
サヤは資料を流し読みしながら言った。
「えっ。そんな策あるんですか?!」
「…一応聞かせてもらいますわ」
リリエンヌとチェリルはサヤの言葉に対照的な反応を見せた。チェリルはさすがにわかっているようだ。
「この王都をバトルシティにするのよ。大規模な大会を開いて、アンティルールを設けることで儀式に必要なカードを持つジュエラリストを世界中から集めてアンデッドを釣り出すの。そして出てきたツタンクアテムが闇のゲームを仕掛けて来た所を返り討ちにして封印するわけ。更に強いジュエラリストと契約を結んで資格として放てばアンデッドを倒せる確率が上がるわ。しかも賞金出さなくてよくなるし、レアカードもいっぱい手に入れられるってわけ。どうかしら?」
サヤはそう言ってニヤリと笑った。
「最後が悪ど過ぎることはひとまず置いておくとして大分ずさんな策だな。まずツタンクアテム本人が出てくるか不明だし、出てきた所でジュエラルで勝てる保証はない。いたずらに儀式に必要なカードをアンデッドに与えるだけだ」
「それ以前に国際的な大会を開くには予算も準備期間も必要ですからね。そんなにすぐ気軽に開催出来るわけないです」
一緒に資料を見ていたシャディーンが口を挟んだ。
「わかってるわ。ただのネタよ」
いつもの異世界のネタだったのか。ヒカリならわかったのかもしれない。
「ただ大会に参加しているアンデッドを倒せば儀式に必要なカードを奪還出来る可能性はあるな。儀式に必要な枚数に足りなくなるリスクをおかしてデッキに入れようとするかどうかは知らんが」
ロベリアはあごに手を当てながら言った。
「大会の日程次第では我が国が誇るジュエラリストに命じてアンデットの野望を阻止出来るかもしれないということですか。やってみる価値はありそうですね」
シャディーンは興奮した様子で言った。
「…どうやら大会は3日後で、受け付けはすでに終わっているようね。もしアンデッドが参加するとしたらこちらから手を出して阻止するのは難しそうね。アンデッドが儀式に必要なカードを揃える前に敗退するか、この大会で必要なカードが揃わないことを祈るしかないわ」
サヤはMephoneを見ながら返した。
「そう考えると3日後にはピラミッドを攻略してツタンクアテムを倒さないといけないな。わざわざ儀式の完成なんて待ってやる必要はない」
おれはこの場にいるみんなに宣言した。
「そうですわね。そのためにもピラミッドのことをよく勉強しましょう」
おれたちは雑談しながらピラミッドの資料を読み進めていった。
あまり話が進みませんでした。次どうするかは考え中です。