表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
構陣師  作者: ゲラート
第4章 ファラオの呪い
111/185

武器強化

「それではさっそく武器強化について教えます。…あ、私のことはジェシカと呼んで下さい」

教会騎士-ジェシカさんはそう言って微笑みました。

「はい。よろしくお願いしますね、ジェシカさん」

私はジェシカさんにお辞儀しました。

「よろしく。それじゃ早く見せてくれるかな?」

金田さんはジェシカさんに笑いかけました。


「そうですね。まずは実演してみます」

ジェシカさんは空間魔法から棒と木の玉を縄で繋いだ武器を取り出しました。確かモーニングスターっていう名前でしたっけ。

「まず武器強化の術式はこれです。これを書き写してみて下さい」

ジェシカさんはそう言って術式を見せてくれました。

「えっと…こうでしょうか?」

私は新しい魔筆を出して術式を書きました。

「では試してみますか。光の属性魔法陣で術式を囲んで、書いた魔法陣に木刀の柄と刃の境目が触れるように構えて下さい」

私は言われたように構えました。

「それから魔力を流し込んで下さい。このように武器が光れば成功です」

そう言うジェシカさんのモーニングスターの木の玉と縄が光りました。

「わかりました。やってみます」

私が魔力を込めると木刀が光りました。成功…なんでしょうか?ただ光ってるだけかもしれません。


「試しにここにある訓練用の人形に切りつけてみましょう。成功していたら効果があるはずです。こんなふうに。はあ!」

ジェシカさんはそう言いながら人形の頭に木の玉を人形の頭に叩きつけました。人形の頭は木っ端微塵になりました。

「す、すごいですね」

でも正直これって武器強化の効果なんでしょうか?素で訓練用だろうモーニングスターであんなことが出来るだけの力がジェシカさんにある可能性もありますよね。

「…『落涙』様。私をゴリラ扱いする前にご自分で試してみてはいかがでしょう」

ジェシカさんはそう言いながら人形の破片を握り潰しました。もしかしたら沙夜ちゃんくらいのパワーはあるかもしれません。


「わかりました。やってみます。はっ!」

私が人形を木刀で切りつけると、人形が簡単に砕けました。

「そんなに力を入れてないのに…。これが武器強化ですか」

これなら硬い敵を斬るのにいちいち光旋嵐を使わずにすむかもしれません。近くからでもダメージが与えられれば戦術の幅が広がりそうです。

「お見事。初めてでよく書けましたね。このまま反復練習すればもうアンデッドは敵ではないでしょう。光属性も私や聖女様の聖属性と同じでアンデッドのような邪悪な存在には有効ですから」

ジェシカさんは私を誉めてくれました。

「武器強化は威力を上げるだけではなく属性の効果も付与出来るんですね。教えてくれてありがとうございます」

私はジェシカさんに頭を下げました。

「そう言っていただけると光栄です。光の神に導かれし勇者様の力になれるのは何よりの喜びですから」

ジェシカさんは嬉しそうに言いました。


「それに引き換え何なんですかそちらの勇者様は…。なぜ私が出した聖属性の武器強化の魔法陣を書いてるんですか。光属性のあなたが書いても意味ないですよ」

ジェシカさんは冷たい目で金田さんを見ました。

「し、仕方ないだろう。属性魔法陣なんて言われてもわからないんだから。ぼくはあいつの指導を受けてないんだ!」

金田さんはジェシカさんに怒鳴りました。

「…指導を受けてないのになぜ属性魔法陣という言葉が『構陣師』殿の理論だとわかるのですか?」

ジェシカさんは訝しげに金田さんに尋ねました。


「多分イドルさんが魔法の基礎の指導を何度か申し出ていたから言葉だけは覚えたんじゃないでしょうか。えっと…色々あって金田さんはイドルさんの指導を受けられませんでしたから後から叩き込もうとしたんでしょう」

私は少し言葉を濁しました。他国にどれだけ情報が伝わっているのかわからないのでうかつなことは言えませんからね。

「ああ。反乱を起こした貴族派に煽てられていいように利用されてたんでしたね」

ジェシカさんは当然のことのように言いました。どうやら他国にも知れ渡ってるようですね。

「まあいいです。とりあえずこの魔法陣は処理しますね」

ジェシカさんが魔法陣に魔力を込めると、魔法陣が光りました。

「魔法陣に合わない魔力が入っているはずなのに破裂しない…。まさか例のあれで魔力を放出出来ないのですか?」

ジェシカさんは光っている魔法陣を冷たい目で見ながら言いました。


「ジェシカさんもマギスニカ症候群のことをご存知なんですね」

「去年の魔術対抗戦で何人かマギスニカ症候群の解呪を求めて来ましたし、何より一時期教会騎士団のほとんどが魔法使えなくなったという伝説がありますからね。私自身書き換えを食らってすぐは自分の魔法陣が信じられなくなりましたよ。『火葬鳥姫』より下の世代の私ですらそうなのですから予備知識なしで書き換えられた先輩方の混乱は凄まじかったでしょうね」

ジェシカさんは遠い目をしながら言いました。


「とにかくだ。ぼくはあんなやつのやり方なんて学ぶ気はないからな。ぼくを卑怯な手で倒したやつのやり方なんて絶対に嫌だ!」

金田さんはそう言って駄々をこねました。

「はあ。いつまでそうやってふてくされてるでありますか」

後ろでアイシスの兵士たちに稽古をつけていたエリザさんが話に入ってきました。

「何だと?!そもそもサミュノエルがぼくを騙して計画に利用したからこうなったんだろう!ぼくは悪くない!」

金田さんはエリザさんに怒鳴りました。それを騎士団長のエリザさんに言っても仕方ないと思うんですが。


「確かに初動に関してはサミュノエルに非があるかもしれません。今更ながらいくら当時の貴族派を破滅させるためとはいえ仮とはいえ勇者を犠牲にする策が必要だったのかは疑問はあります」

エリザさんはそこで言葉を切りました。

「でもだからといっていつまでも拗ねててどうするんですか。自分の弱さを他の誰かのせいにしていても敵は聞いてくれませんよ。余計な言い訳ばかりする情けない勇者だと鼻で笑われるだけです」

エリザさんは辛辣な言葉を投げ掛けました。

「ぼくは勇者だぞ!そんなこと言っていいと思ってるのか!」

「そうやって権力を振りかざす前に勇者にふさわしい力と振る舞いを身につけて下さい。もうサミュノエルでさえ勝手に召喚したのに国の事情に巻き込んで申し訳なさを感じる時期はとうに過ぎているのでありますよ。勇者として認められたいなら必死で努力して下さい」

エリザさんはまっすぐ金田さんの目を見ながら言いました。

「うるさい!ぼくに口答えするな!…もういい。そんな無意味な努力していられるか!」

金田さんは肩をいからせて練兵所を後にしました。

「…私たちが命運を預ける勇者が彼でなくてよかったと心から思います」

ジェシカさんの呟きに私は何も言えませんでした。

全体的に金田下げが雑だったかもしれません。

次どうなるかは未定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ