大聖堂
おれはまずセインティア大聖堂の前に転移した。おそらく使者は宮殿に入れず足止めされると考えたからだ。
「お願いです。どうか聖女様にお目通りを」
「帰れ!異教徒の妄言で聖女様を煩わせるな!」
思った通り足止めされてるな。信仰心が強いセインティアの人間に事前に話を通さずに宗教の話をしたらこうなるだろうとは思っていた。
「仕事熱心なのはいいが通してやってくれ。勇者パーティーとしても聖女の力は必要なんだ」
おれ大聖堂の門番の前に出た。
「こ、『構陣師』様?!なぜこの国へ?」
「アイシスの使者に頼まれてな。アンデッド討伐に乗り出すことにしたんだ」
おれは門番に説明した。
「し、しかし」
「いいから聖女に勇者が来たと伝えろ。後は聖女がこちらの話を聞いて判断することだ」
おれは門番を諭した。
「…わかりました。伝えてきます」
門番の片方がその場から去り、聖女に報告に行った。
「かなり社会人っぽいやり取りだったわね。悪い意味でだけど」
サヤは冷たい目で見てきた。
「何だか大会社の社員が力に物を言わせて面会を申し込んでるイメージでしたね。社会人じゃないのでよくわかりませんが」
ヒカリもどことなくトゲがある目で見てきた。
「仕方ないだろう。どうせ聖国の人間に異教のことを認めさせることなんて出来やしないんだ。なら最初から勇者パーティーという権威を持ち出した方が話が進めやすいだろう」
おれは二人に言い訳した。
「よく門番の前で言えますね…。否定は出来ませんが」
もう片方の門番は複雑な顔でおれを見ながら呟いた。
「お待たせしました。聖女様は勇者パーティーとその異教徒たちとお会いになるそうです」
用件を伝えに行った門番はふてくされた顔で言った。
「後『魔眼』様はこの許可証をつけて下さい。つけてないと闇属性に反応して警報が鳴って面倒なことになりますので」
門番はサヤに許可証を渡した。
「チッ。入った時騒ぎになったら面白かったのに」
サヤは不満げな顔をして許可証を首にかけた。やっぱり狙ってたんだな。
「もう沙夜ちゃんは…。すぐ悪ぶろうとするんですから」
ヒカリのその表現は適切なのか?まあいい。大聖堂に入るとするか。
門番に案内されたおれたちは教会騎士に案内されて大聖堂の中を歩いた。
「外だけじゃなくて中まで真っ白なんですね。すごくきれいです」
ヒカリは宮殿の中を見て感嘆の声をあげた。
「神聖な感じがするわね。大理石製かしら?」
サヤはおれに尋ねた。
「見た目は似ているが違うな。輝聖石という邪悪な物を祓う効果がある石で出来てるんだ」
「何だか自己犠牲呪文をする前に卒業の証としてもらえそうな石ね」
サヤはよくわからないことを言って壁に触れた。
「…何もないんだけど」
サヤはつまらなさそうに言った。
「闇属性はあっても人間だからな。魔族や魔物や幽霊とかじゃない限り特に何もない」
「なるほど。あたしのことを感知は出来てもダメージは与えられないわけね」
本当にダメージ受けたらどうするつもりだったんだ?サヤはヒカリとは別のベクトルで自分のことを二の次にするから心配だな。
礼拝堂に差し掛かると教会騎士が足を止めた。
「聖女様。勇者パーティーとアイシスの使者たちをお連れしました」
教会騎士の言葉と共に扉が開いた。
「聖女様の御前です。くれぐれも失礼がないように」
教会騎士に釘をさされつつ、おれたちは礼拝堂に入った。
正直な所聖女的な人がいる場所がよくわかりません。色々描写に不安があるので詳しい方がいれば教えて欲しいです。