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構陣師  作者: ゲラート
第4章 ファラオの呪い
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アイシスの使者

「あ、あなた方はもしや『落涙』様と『魔眼』様ですか?」

イドルに連れられて目的地に着くと褐色の肌でフードを被った男がいた。

「はい。『落涙』白峰光です。よろしくお願いします」

「『魔眼』黒谷沙夜よ。よろしく」

あたしと光は使者にあいさつした。

「私はアイシス王国の使者シャディーンです。来て下さったということはあ、アンデットを倒すのに力を貸して下さるということでしょうか?!」

シャディーンと名乗った使者は慌てた口調で言った。エジプト的な国の人とは言えその言い間違えはどうかと思うわ。


「それは話を聞いて決めるから落ち着きなさい。アンデッドをアンデットって言い間違えてるわよ」 

あたしはシャディーンに落ち着くように諭した。

「言い間違え?我らは攻めて来た連中をいつもアンデットと呼んでおりますが。古代の石板の同じ種族もアンデットと記されていますので」

…これもジュエラルとあたしたちの世界のカードゲーム特有の表記なのかしら。深く考えない方がいいかもしれないわね。


「話が逸れましたね。失礼ながら本題に入らせてもらいます」

シャディーンはそう言って資料を見せた。

「今回狙われているレアカードは全て古の石板に記されている強大な力を得る儀式に必要な物なのです。アンデットを率いるツタンクアテムは古代のファラオ。儀式で力を得るためにカードを強奪している可能性は十分考えられます」

シャディーンは真剣な顔で言った。

「奪われたのはレアカードなんですよね?儀式が関係なくても狙われてもおかしくないと思うんですけど」

光が最もな疑問を口にした。


「確かに儀式で1枚だけ必要な黒き魔術師やレッドアイドノワールドラゴン、3枚必要なブルーアイドブランドラゴンくらいなら確かに偶然で片付けられるかもしれません。でもダイアドラゴン36枚が同じタイミングに狙われるのはどう考えてもおかしいです。儀式に使うと考えた方が説明がつくでしょう」

36枚って…。どう考えてもどこかの社長のネタね。

「…確かにその儀式に必要なカードを集めてると考えた方がつじつまは合うな。カードの強奪に合理的な理由があるならばの話だが」

イドルは呆れた顔をしながら言った。

「そもそも同じカード36枚必要な時点で合理的じゃないわね。伝承も儀式の効果も疑わしくなってくるわ」

「それ以前に現代のカードで大丈夫なんでしょうか?カードの元になった石板を集めた方がいいんじゃないですか?」

光も儀式が成功するかは疑問みたいね。まあ大体の昔の伝承は今の人からしたら胡散臭いものだけどね。


「正直我々も儀式に効果があるかは疑わしいと思っています。それでも現に儀式を実行しようとしているということは、アンデットが力を得ることで何かを成し遂げようと計画しているということでしょう。お願いです。アンデットの謀を阻止するのに力を貸して下さい!」

シャディーンはそう言って頭を下げた。

「話はわかった。だが問題は勇者パーティーだけではアンデッドに苦戦することだな。有利なのは光属性だけだし、戦った経験もあまりないぞ」

イドルは渋い顔をした。

「ご心配なく。セインティア聖国の聖女様にも勇者様に同行するよう頼んでいますから」 

シャディーンは胸を張って言った。


「…そんな儀式がどうとかいう他の宗教の話をセインティアに語った所で相手にされないぞ。聖女に会う前に門前払いされてもおかしくない」

イドルは遠い目をしながら言った。

「そ、そうなのですか?!それはまずいですね…」

シャディーンは焦った顔をした。経験が浅いのか色々頼りないわね。

「仕方ない。勇者パーティーに協力するよう話をしてくるか。ヒカリ、一緒に来てくれ。…サヤはどうする?」

イドルはあたしに尋ねてきた。闇の対勇者のあたしがどう扱われるのか不安なのかしら。

「行くわ。闇属性が国に入った時にセインティアの連中がどんな反応するかみたいもの」

「言うと思いました…。なら一緒に行きましょう」

あたしと光はイドルの手をとった。

「それじゃ行くぞ。しっかりつかまっててくれ」

「は、はい」

シャディーンがイドルの肩を掴んだのを確認して、イドルは転移魔法を発動した。

36枚同じカードが必要な儀式の詳細を書くことはないかもしれません。

次はセインティアに寄り道します。

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