機械戦終結
「よく機械を討伐してくれたな。皆大義であった」
機械の残党を始末した後、皇帝は皆を労った。
「特に残虐戦機を討伐した『落涙』殿と、ウィルスを倒した『魔眼』殿の功績は大きい。貴殿らがいなければ機械軍を壊滅に追い込むことは出来なかっただろう」
皇帝はヒカリとサヤを褒め称えた。
「あたしはウィルスを倒せなかったわ。全てはトドメを刺した光の功績よ」
サヤは謙遜しながら言った。
「いえ。トドメを刺す手がかりをくれたのは沙夜ちゃんです。私の力だけではどうにもならなかったですから」
ヒカリもサヤのことを誉めた。
「しかしそれでも多大な被害が出てしまった…。機械の犠牲になった民も大勢いる」
皇帝は悲痛な顔で言った。
「自分が行った時には手遅れだった人もいたであります。残虐戦機に閉じ込められた時にもっと早く脱出出来ていればこんなことには…」
エリザは悔しそうに拳を握り締めた。
「己の無力さを痛感させられますわね。手が届く範囲は限られているのはわかっていてもやるせないものですわ」
チェリルはそう言って唇を噛んだ。
「だからこそ手の届く所にいる人は守り抜かないといけませんよね。せめて目の前の人は絶対に助けたいです」
ヒカリは輝く瞳で言った。
「ふん。だからぼくを行かせればよかったんだ。ぼくなら残虐戦機を倒した上で全員助けられたのに」
そんな中カネダは空気を読めない発言をした。
「何を世迷い言を。貴様などタワーに登ることも出来ずに転落死しているだろう」
ロベリアは冷たい口調で返した。
「そういうことは機械の一体くらい倒してから言え。あの場でただ震えていただけなのはお前だけだぞ」
おれもすかさず追い討ちした。
「そうね。ウィルス退治に協力してくれた社長もいたし、魔導機を遠隔操作して機械を倒した人もいたわ。何もしなかったのはあんただけよ」
サヤも追撃した。
「よほど人望がないのだな。まあよい。今日は皆ゆっくり休んでくれ。明日戦勝会をするから楽しんで欲しい」
皇帝はそう言っておれたちを下がらせた。
「な「ありがとうございます。楽しみにしてますね」
おれたちはカネダを引きずって謁見の間を出た。
謁見の間を出た所でチカゲとジョーブに出くわした。後ろには一緒に閉じ込められた社長たちもいる。
「あ、勇者パーティーの皆はん。今謁見終わったんか?」
チカゲはおれたちに聞いてきた。
「はい。皆さんもこれから謁見なんですか?」
ヒカリはチカゲに尋ねた。
「はい。どうやら我がMephoneのすごさを称えて報奨をいただけるそうです」
ジョーブはそう言って胸を張った。
「違うだろう。機械を倒した功績に対する物だ!」
後ろの社長のうちの1人がツッコんだ。
「あはは。冗談ですよ。…それにしても技術以外の所で皇帝に表彰されることがあるなんて思いもしませんでしたよ」
ジョーブはそう言って苦笑いした。
「なかなかうまく戦えておりましたぞ。戦場で会ったら脅威でありますな」
エリザは真面目な顔で言った。
「人間同士での殺し合いなんか勘弁してくれや。そないなことで儲けてもうれしゅうないで」
そう言いつつ利益に結びつけるのはさすがチカゲだ。そういう所はブレないな。
「魔導科学の発展には危険がつきものですからね。本当に間違った使い方をされるとどうなるか思い知りましたよ」
ジョーブは苦々しげな顔で言った。
「あの時は根拠もないのに疑って悪かったな…。自分の技術が悪用されて冷静さを失っていた」
「今思うと熱くなり過ぎてひどいことを言ったな。本当にすまなかった」
社長たちはそう言って頭を下げた。
「そう気に病まないで下さい。被害が全くなかった我が社を疑うのも無理はないですから」
ジョーブはそう言って胸を張った。
「…そういう所が気にくわないんだ。今度は絶対目に物見せてやるから覚えておけよ」
社長たちは歯を食い縛りながらジョーブをにらみつけた。城で騒がない冷静さはあるようだな。
「はっはっは。楽しみにしてますよ」
ジョーブはにこやかに笑って返した。
「相変わらずやな。無事にいがみ合ってるん見れてよかったわ」
チカゲは笑いながら言った。
「まあ仕事のライバルはそれくらいでいいのかもしれないわね。馴れ合っててもいい物は出来ないし」
サヤはしみじみとした顔で言った。
これで機械編は終わりです。
次どうするかはこれから考えます。