暴走
『殲滅完了。みんなお疲れ』
マザーと衛星に迫っていたザコを倒したドーターはネットガードたちを労った。
「よくやったわ。あ、ドーター。プラグアウト前に念のためにウィルスの様子を確かめておいて」
あたしはドーターに指示を出した。
『了解。…プラグアウトって何なんだろう』
ドーターはボソリと呟いてからウィルスがいた所に戻った。
『いないね。もう完全に崩壊しちゃったのかな?』
ドーターはそう言って首を傾げた。
「多分そうだと思うけど…。念のためレーダー使ってみて」
『了解。…あれ?近くに反応がある』
ドーターは腕についてる機械を見ながら言った。
「しぶといわね。トドメさしてきなさい」
『了解!』
ドーターは反応があった電脳に入って行った。
『これ魔導機の電脳?すごく禍々しいんだけど』
ドーターはあたしに聞いてきた。
「タワーの近くの魔導機…。それ残虐戦機の電脳じゃないかしら」
あたしは思ったことを言ってみた。
『だったら何か情報があるかも』
ドーターはそう言って辺りを探索した。
『ダメ。完全に道がなくなってる。徹底的に情報を抹消してるみたい』
ドーターは残念そうな顔をした。
「なら光の所に行った方がよさそうね。プラグアウト」
あたしはドーターをMephoneに戻した。
ーーー
『ブー、ブー』
残虐戦機の部下の機械を倒すためにタワーから他の建物に飛び移ってる時に懐のMephoneが鳴りました。取り出してみると沙夜ちゃんの名前が画面に写し出されています。
「はい、光です」
『光、あんた今どこ?」
沙夜ちゃんはあたしに尋ねて来ました。
「残虐戦機を倒したので残党を倒しに行ってます。沙夜ちゃんはウィルスを倒したんですか?」
私は沙夜ちゃんに尋ねました。
『…残念ながら討ち漏らしたわ。追跡した結果残虐戦機に入ったようね』
沙夜ちゃんは深刻そうな声で返しました。
「…コアを壊しても乗っ取れる物なんでしょうか?」
『どうかしらね。人格データだけで動力源は別の可能性もあるし。機体自体は操作出来る可能性もあるわ』
沙夜ちゃんは推測を述べました。
「わかりました。急いで元の所に戻りますね」
『頼むわね。あたしもすぐ行くから』
沙夜ちゃんはそう言って通話を切りました。
しばらくスイングした後、私はタワーにたどり着きました。そこには残虐戦機が変わらず張り付いています。
「ふう。どうやら大丈夫」
私が胸を撫で下ろそうとした時、残虐戦機の体から火花が出ました。
「きゃっ。い、一体何が…」
身構えていると残虐戦機の体中からバチバチと火花が散り、黒いオーラが出てきました。そして体を震わせた後、目が光りました。
『グオオォォン!』
残虐戦機は口を大きく開き、凄まじい咆哮を上げました。
咆哮が雑だったかもしれません。暴走状態ってなかなか難しいですね。




