最初の戦い
俺は、火を起こし、ミユは支給されていた麻糸をある程度高い所にくくりつけた。
俺たちは、服を脱いで、火の近くで互いに背を向けて暖まっていた。
ユウマはドキドキしてミユの姿を見ていないのに、股間が44マグナムになっていた。
だんだん日が落ちてきて、もう服も乾き、十分に温まった。
そんな時洞窟の入り口から、ジャリッジャリッと足音が聞こえた。俺は、ナイフをミユはボウガンを構えた。いつの間にかミユはボウガンの弾を作っていたらしい。
そして足音を出していた奴の全身が見える。
そいつは、丸々太っていて身長も高くはない。
「僕は、敵じゃない!助けてくれ!」
残念ながら、俺らは2人で生き残れるのも2人。だからあいつは、敵なのだ。
そして、ナイフを持って接近すると
「待って!」
ミユの叫んだ声だ。
「そこまで、強くなさそうだから、1日位居させても大丈夫なんじゃない?」
さっきまでは、怖い娘だ、と思っていたが、優しい娘なのではなかろうか?
「いや、でも数を減らすことに害はないぞ?」
ミユは真っ赤になって怒っておらっしゃるので、
「わかったよ…おい貴様、変な行動を起こすなよ?」
「わ、分かってるよ。僕は、タクヤ。ありがとね」
あっちは名乗ったが、こちらは、別に良いか。
「ミユそろそろ、遅くなってきた。もう休んで明日に備えたほうが良いかもしれない。」
「うん。そうだね。じゃあ、寝袋用意しなきゃね。」
と言ってバックの中から寝袋を自分の分と俺の分も取ってきてくれた。
「じゃあ、僕も寝ようかな。」
タクヤもそろそろ眠いらしい。
3人は、眠りについた。
朝起きると、俺のナイフとミユのボウガン以外の物資が無くなっていた。タクヤも一緒に。
「チッまずいな。早く追いかけなくちゃ!」
ありがたいことにあいつは、体重が重く昨日は雨が降っていたため、足跡がおもいっきり残っている。
「追いかけるぞ!」
ミユは、ボウガンとその弾を持って足跡に沿って走り出した。
走って20分ほどして、崖の近くの木の下で休んでいるタクヤを見つけた。
「ミユはここで待っててくれ」
そう言って草むらを回り込んで崖を背中にタクヤの近くまで歩いていく。
「よぉタクヤまた会ったな。俺らのバック返してもらおうか」
これで素直に返してくれたらありがたいんだけどなぁ…
「嫌だね!僕だって生き残りたいんだ!
それ以上近付いたら攻撃するからな!」
つまりまだ、タクヤの攻撃範囲にはギリギリ入っていないという事だろう。
「こっちには、ボウガンがあるんだぞ?
まぁ使い手がどこに居るかは、分からないだろうが、こっちは射程範囲だぞ?攻撃しないと、何もせずに撃たれちゃうよ?」
わざと挑発する。
そして、一歩踏み出す。
「ビィィン」
後ろの木に投げナイフが突き刺さっていた。
「やった。ちゃんと当たるぞ!カッターナイフで練習しててよかった~おい!また近付いたら当てるぞ!#本気__マジ__#だからな!」
タクヤは、もう一本投げナイフを人差し指と親指の間に挟んで構える。
だが、タクヤに向かって走る。
「と、止まれぇぇぇ!」
ナイフが飛んでくる。
だが、俺に刃は当たらない。
完全に近付いた俺は、サバイバルナイフを逆手持ちでタクヤの頬を切り裂く。そしてまた、距離をとる。
「ヒィッ」
「なんで当たらなかったか、教えてやろう。お前は、カッターナイフで練習していたって言ってたな。カッターと投げナイフでは、重心が違うんだ。木に刺さったのは完全にまぐれだ。そして投げナイフ位腹に刺さっても死にはしないから最初っから詰んでるんだよ。お前は。」
ナイフをもう一本出して、まだ攻撃しようとしてくる。
「まだ終わってなぁぁぁぁい俺は死にたくないんだぁぁぁ!」
それは、俺だって同じだよ。
俺はミユに合図を送る。
「ピュンッ」
タクヤの背中に矢が突き刺さる。タクヤは俺の近くまで来ていて、背中を射抜かれ、大きく転倒する。すると、崖から落ちていった。俺の脇腹の服だけを切って。
崖を覗くと頭から落ちたのだろう。
頭から大量の血が出ていた。
そして、木の下に置かれているタクヤの物資と、自分達のバックを手に取る。
そして2分位後に頭の中で最初のおじさんの声が響いた。
「池川タクヤ死亡。
残り11人。
これから、最初の救援物資を投下する。取りに来るは自由だ。ヘリから2個投下される。以上。」
残り11人と言うことは、参加した人は12人だったのか