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ウルテリオルム・ルナエ  作者: 桜田駱砂 (さくらだらくさ)
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2 Organic Core Modules

 建物のサイズというやつは、おおむねそこに居住する者の平均的な身長に基づいて決められる。小柄な人種が住むならば、天井は低く、大柄であれば高く。頭がつかえれば窮屈だし、高すぎる天井はコストばかりがかさみ、実用性に欠ける。身の丈にあったサイズこそが、その空間に求められる。古来、人類は文明の発展と共に、居住性の高い住居を追い求めてきた。地べたに直接座るのは冷たいわけだし、雨が降れば湿りもする。だから、床を地面から離した。戸をたて、窓をはめ、時に床下へ熱した空気を流し、時に洞窟を穿(うが)って宮殿を気づいた。あらゆる場所、あらゆる時代、風雨から逃れる術として、安穏たる住処として、そこに収まり身の安全を得てきたのである。 

 それはヒトが使うには、あまりに大きな扉だった。大人五人が直立したまま縦に連なっても余る巨大な鉄扉が、わずかに開いて隙間ができている。建物の中は薄暗かった。早朝の白味を帯びたスカイブルーの人工光が一条の線となって差し込んでいるが、その奥はよく見通せない。

 響は、周囲に人気(ひとけ)がないのを確認してから、扉の隙間に身を滑り込ませた。潤滑剤(グリース)と鉄臭い匂いを嗅ぎながら、響はそこに居並ぶ巨大な物を感じた。

 高さ八メートルのそれは、二本の腕、二本の足、胴、頭から構成される巨大な人型人工物、汎用機動兵器、Organic Core Modules である。通称、OCMと呼ばれるその動作体は、人体に流れる微弱な生体電流に感応する駆動コアを中心とし、宇宙空間での運用を主とするため各部につけられたスラスターと、メインロケットがごてごてと取り付けられた、まるで昔話に出てくる、甲冑を着込んだ鬼みたいな姿をしていた。

 響はその威容を前にたたずみ、EV越しにその姿を見つめた。訓練中のOCMをはるか遠目に見かけることはあったが、実際にその足下近くまで近寄って見るのは、これが初めてだった。力強いフォルムとその圧倒的存在感。古代の宗教施設に見られた木像の守護戦士を彷彿とさせる、いかつい立ち姿。響はあまりのカッコよさに思わず、呼吸が荒くなるのを感じた。

 学校の士官科に進み、寮への引っ越しも済ませ、詰襟にスカートという独特の制服に身を包んだ響なわけだが、母親を見返したいという以上に、この道を選んだ動機が、これだった。OCMに乗りたいのだ。巨大で、いかつく、対峙するものを圧倒的に睥睨(へいげい)するこのマシンのパイロットに、響はどうしてもなりたかった。士官科を選んだ本当の理由はそこにあった。なぜ乗りたいのかと問われて説明するのは響にとって難しかったが、生まれながら、視覚に不自由する身体、しいて言えば、万能感への憧れといおうか、圧倒的な身体(しんたい)の頑強さというものに、響は強い憧憬(どうけい)を抱いていた。OCMは、響にとって自らの身体の延長のように思えてならなかった。これに乗って、自由に宇宙(ソラ)を駆けてみたい。月の地下都市という閉鎖された空間を突き抜け、無尽の星が広がる海原へと躍り出たい。それが、物心ついた時から抱いている響の想いだった。

 突然、響は背後に人の気配を感じた。いや、EVによるエコースキャンは360度へ展開しているわけだから、背後に立つ人の存在を「見た」といってもいい。

「ちょぉいと。ここは一般学生立ち入り禁止よ。」

 はっ、となって響は振り向きざま、身体を固くした。

 しまった。OCMに見入りすぎて、接近に気づかなかったのだ。

 腕を組んで仁王立ちをしているその相手は、ディープグリーンのつなぎを着た、若い女だった。つなぎの上半身部分を脱いで袖を腰に回して縛り、年季の入った軍手をつけている。その様子からして、恐らく整備士か何かだろう。格納庫の中は薄暗かったが、相手の肌のキメ細かさは響も見て取ることができた。黒のタンクトップを着ているわけだが、組んだ腕の下からこぼれんばかりの大きな胸のシルエットが、響の目についた。豪快につなぎの上半身をはだけているにも関わらず、首の周りに赤いスカーフをきっちりとまいているあたり、そこが当人も気にするお洒落ポイントの一つなのかしら、と思いながら響は、言葉もなく相手を見つめてしまった。きっぱりとした目つきと眉からは、強い意志を感じさせるが、瞳の光からは奥深い優しさを醸し出してもいた。

 どちらかといえば白銀に近い、さらさらの金髪ショートカットを軍手で無造作にかき上げながら、つなぎの整備士は言った。

「朝っぱらからこんなところで何やってんの?」

「あ・・、その・・・。」

 響は珍しく言い淀んだ。立ち入り禁止は百も承知で入り込んだのだ。誰かに見とがめられる前に、こっそり抜け出ようと考えていたのに、完全に捕まってしまった。もはや、ごまかしようもない。

「すいませんでした。」

 こうなったら、素直に謝るしかない。

「あんまり、カッコいいものだから、見蕩れてしまいました。」

 立ち入り禁止の倉庫内に入った言い訳にもなっていない。響は我ながら自分の物言いにあきれたが、それでも、そう言う他なかった。

「・・・・・。」

 頭を下げる響の前で、つなぎの整備士は黙っている。怒っているのだろうか? 小言を言われるより、黙られる方がよほど生きた心地がしない。さすがの響も、背中に冷や汗がつたうのを感じた。

「あんたさ、今、何て言った?」

 たっぷりと沈黙した後、つなぎの整備士はようやく言葉を発した。これは、まずいのではないか。相当、怒っている。響はそう感じた。

「・・・見蕩れた、と言いました。」

「・・・・ふ。」

「?」

「くくくく・・・。にゃはぁ!」

 奇声を上げる相手に驚いて、響は思わず顔を上げた。満面の笑みを浮かべながら、つなぎの整備士はばしばしと響の肩を叩きながら言った。

「カッコいいって。あんた、よく言ったよ。真面目ちゃんな見た目して、ちゃんと分かっているじゃあないの。そう! カッコいいのよ、この子らは。ミンネジンガF型後期モデル。今は訓練用の練習機になってるけど、現役時代は戦場を縦横無尽に馳せたものよ。まるで流星みたいにね。四十年近く前のふるーいモデルなんだけど、改修に改修を重ねたレガシーテクノロジーが詰まった、いわば職人技の塊なのよさ。マニュアルモードも充実してるから、昨今の電子機器満載、「勝手に動きやがる」新鋭機に比べれば、まさに、ヒトの手で操るために造られたマシン! この頑固一徹な設計思想がたまらないわけよ。機体を眺めるだけで、イっちゃいそうなくらいにね。」

 つなぎ(’’’)はそこまでほとんど一息で言い、響の方は、

「はぁ・・・。」

 と返すのがやっとだった。

 変な人。響も他人のことを言えるほど、自分がまともだとは思っていないが、それにしても、変な女の人だった。

「あんた、名前は?」

 つなぎは、腰に手をやって言った。ぐぐん、と背筋を伸ばすものだから、ますます胸元が強調される。

「尾野倉といいます。士官科の一年です。」

「おやぁ、士官科ねぇ。ん。尾野倉? おのくら、オノクラ・・・。どっかで聞いた名前だけど・・・、ま、いいや。尾野倉クンは、好き?」

「OCMを、ですか?」

「そう。」

「はい、好きです。」

「どれくらい?」

「夢に見ます。」

「よし!」

 何が「よし」なのか知らないが、つなぎは、力強くうなずく。

「そこまで好きなら、悪いようにはできないね。ここに入ったことは黙っててやるから、今度来るときは、私に一言、言いなさいよ。こっそり見せてあげるから。」

「あ、ありがとうございます。」

「うん、うん。結構、結構。」

「それでは、実技が始まりますので、私はこれで。」

「ああ、はいはい。そんな時間ね。行きなさい。遅刻しちゃいけない。─と、ちょっと待って。それ、見せてごらん。」

「え?」

 いきなり顔を指差されたものだから、響は何のことか分からない。

「EVでしょ、それ。」

「あ、はい。」

「貸してみ。」

「・・・・・・?」

 言われるまま、半信半疑で響はEVをとると、前へ突き出すようにしてそれを渡した。EVの外見は、ただの眼鏡とほとんど変わらないのである。よくこれがEVだと気づいたわね、と響は不思議に思ったし、そもそも、つなぎはEVを借りて何をするつもりなのだろうか。

 相手の静かな息遣いと、時折聞こえるカチャカチャという音に不安を感じながら、響は暗闇の中で待った。

「ほい、できたよ。手、差し出してごらん。」

 響が手を差し出すと、つなぎはそこへEVを持たせてくれた。

「あ・・・・・。」

 EVをかけなおすと、心なしか、さっきより周囲の色彩が鮮やかになっている。いや、周囲が鮮やかになったのではなく、本来の色調により近い情報が、響に伝達されているといった方が正確だ。

「そのタイプは、デフォルトだとRGBの変換制御が鈍めに設定されてんのよ。色、鮮やかになったでしょ。少しだけどね。」

「ありがとうございます。詳しいんですね。」

「そりゃ、仕事柄、詳しくなきゃやってらんないもの。OCMラヴのよしみよ。サービスしたげる。さぁ、行きな。遅刻する。」

 ぺこりと頭を下げ、響は駆け足で格納庫を出てから、あっ、と思って足を止めた。つなぎの名前を聞いていなかった。戻って名前を聞こうかとも思ったが、もう時間がない。訓練の開始に遅刻すると、地獄の無限腕立てふせ&校門で校歌詠唱九十分の罰が科せられる。前者はまだいい。腕が鉛のように重くなるが、耐えきれないものではない。問題は後者だ。校門で歌わせられるくらいだったら、町内を逆立ちで一周の方が、まだマシだと響は思っている。

 そんなわけで、遅刻はできない。また後日、今日の礼も兼ねて行った時に聞こう、響はそう思いながら、訓練場に向かうのだった。

 ティーシャツに迷彩ズボン、ブーツという士官科指定の体操着に着替えた後、訓練場のグラウンドに出ると既に整列が始まっていた。響は急いで列の最後尾につき、どうにか滑り込みで間にあった。

「どこ行ってたの、尾野倉?」

 小声で前列から話しかけてくるのは、エリオだ。

「ちょっと。」

 短く言う響へ、エリオは小さくうなずいて、

「そう・・。」

 と呟く。エリオの隣から、さらに言う者があった。

「勝手なことしないでほしいわ。連帯で責任負わされたら、こっちが迷惑なのよ。」

 蓑出である。この女子もまた、士官科に進んでいたのだ。相変わらず響への当たりは強い。響は蓑出の方を見ないまま言った。

「迷惑をかけたことはないし、かけるつもりもないわ。」

「何よ。何様のつもり? ああ、少将の娘様ってこと。」

 その言葉に、響が蓑出を睨む。蓑出は、文句ある? とばかりに響を睨み返している。

 指導教官の(くるぶし)、背は高くないが筋肉質で横幅の広い、いかにも軍人というその髭面の男が、目ざとく響と蓑出の睨み合いに気付き、鋭い声で言った。

「聞いているのか、尾野倉、蓑出! 実戦時の近接格闘は使用頻度こそ低いものの、必須技術だ! 蓑出! 前に出ろ!」

「は、はい!」

 踝に呼ばれた蓑出は、勢いよく返事をして前に走り出す。

「尾野倉もだ!」

「はい。」

 尾野倉、という名前が出て、小さなさざめきが広がった。少将の娘という噂は、この士官科でもすぐに伝わったし、目が不自由という話もセットになって皆に知れ渡っている。好奇の目が響に注がれた。

「円陣!」

 という踝の掛け声と共に生徒達は素早く走り、響と蓑出を中心として半径三メートル程度の円環状に並ぶ。即席のリングだ。

 踝が腕組みをしながら言った。

「突き、蹴り、寝技のコンビネーションは昨日教えた通りだ。本日はその実践を練習する。代表として蓑出、尾野倉、お前らでまず模擬戦をやれ。」

「教官。」

 手を挙げる蓑出に、踝は五十メートル先までも届くような大声で言った。

「何だ、蓑出!」

「尾野倉にはハンデがあります。このような奴と模擬戦をやって、怪我をさせない自信がありません。相手の交代を許可してください。」

「だめだ!」

 即座に踝は却下した。

「尾野倉とて半端な決意でここにいるわけではない。手加減は無用だ! いいな、尾野倉。」

「はい。」

 こくり、と響はうなずいた。ちっ、という顔を一瞬見せる蓑出だが、すぐに鋭い視線を響に向けて言った。

「本当に怪我しても知らないわよ。」

「心配はいらないわ。そもそも、あなたに私を怪我させることなんて、できるのかしら。」

「何を!」

 蓑出の瞳が燃えるような闘志を帯びる。

「始め!」

 踝の掛け声と同時に、蓑出が前に飛び出た。ものすごい大振りのパンチで響へ先制するが、するりと避けられ、勢い余って、ずで、と転ぶ。

「この・・・!」

 蓑出は恥ずかしさに顔を赤らめながら、慌てて立ち上がり蹴りを出す・・・、のだが、どうにもへっぴり腰で、様になっていないのが明らかだ。響は、軽いバックステップで難なくかわす。

 蓑出は攻撃を重ねるが、そのことごとく、身体の重心がふらついているものだから、自分の方からひっくり返るのではないかと、エリオは蓑出の戦いぶりを見て思った。

 蓑出のあまりの不安定さに、はらはらするエリオの両隣からは、

「だめじゃねぇか、蓑出の奴。」

「尾野倉の相手じゃねぇな。ま、俺達に勝つくらいだから、当然だが。」

 容赦のない声が聞こえる。声の内には、何だか、嬉し気な色すら含まれている。砂遠と須津城だ。砂遠は、ティーシャツ、迷彩ズボンという、似合いすぎるくらい似合っている格好で、腕組みをして言った。

「しかし、蓑出って、こんなに運動神経悪かったか?」

 エリオは、

「うん・・・。前々から体育の授業ではなるべく隅の方に寄って、目立たないようにしてたみたいだし、気づく生徒もあんまりいなかったけど・・・。良くはないと思う・・・。」

 と、蓑出の運動神経のなさぶりを説明した。

 須津城は、ふーん、とあまり興味なさそうに唸ってからエリオに言った。

「あれでよく士官科に入ろうと思ったな。というか、入れたな。」

「・・そうだね。士官科の選考基準は知らないけど、人手不足なの・・・かも。」

「人手不足つったって、限度があるだろ。ああ、ほら、今のはチョップか? 道路の向こう側の親に手を振る子供だな、ありゃ。」

 須津城に言われて、エリオも、本当だ、と思った。ぶんぶんと手を振り回す蓑出だが、およそ技と呼べるような代物ではなかった。しかも、既に蓑出は汗だくである。汗一つかいていない響とは、対照的だった。

 蓑出は対峙する響に向かって言った。

「尾野倉! 逃げてばっかりで、卑怯よ。」

「逃げてはいないわ。よけているのよ。」

「ぐっ・・・!」

 言葉に詰まった蓑出は、再度、響に襲いかかるのだが、

「あっ!」

 と叫んで、響の足下へ、べちゃ、と倒れる。何もないところで足がもつれたのだ。

 砂遠は、

「おーい、どじっ子かよ。」

 とあきれているが、他の男子は、気の強い蓑出がずっこけるそのギャップに、まんざらでもない表情だ。

 よろよろと立ち上がった蓑出は、もはや当たるとは思えない突きを前に出す。

「・・・・あ、決まる。」

 エリオの言葉に、ギャップ萌えの神髄について語り合っていた須津城と砂遠は、視線を二人に戻した。

 エリオのつぶやき通り、ぜぃぜぃと息を切らしている蓑出のへなへなパンチを響はぬるりと避けざま、その腕を取って背中側に軽く捻った。

「ぅあ!」

 苦痛の叫びを蓑出は上げる。響の流れるような体捌きに、おぉ、というどよめきが周りから起こった。響は後ろから蓑出の両膝を折って地面に組み伏せると、完全にその自由を奪った。蓑出は悔しそうにもがくが、腕をキめられ、膝をついているのだ。動けるものではなかった。

「そこまで!」

 踝は模擬戦を止めると、続けて言った。

「蓑出! 何だその(ざま)は。お前はもっと体術訓練が必要だ。」

「・・・・はい。」

 肩で息をしながら、蓑出は小さく返事をした。汗だくの顔に、悔しさと恨めしさを蓑出はにじませた。平然と自分を見下ろす響に、せめて精神的な負けは認めまいと、蓑出は思いっきり睨みつけてから、立ち上がった。

「そして、尾野倉!」

 と、踝が強い口調で言った。

 見事に蓑出の動きを封じたものだから、誉められるものだとばかり思った周囲の予想を、しかし、踝はあっけなく裏切った。

「お前もだ! 集中力が足りない! 回避動作に無駄が多い! 実戦では通用しないぞ! 蓑出と二人で、訓練が終わるまで腕立て! 今からだ。始めぃ!」

 うげ、という顔を生徒達はして、響と蓑出を見た。訓練の終了まで、まだ四十分近くある。

「・・・・はい。」

 響は表情を変えずにうなずいた。

 皆の視線にさらされながら、腕立て伏せを行うために場所を変える響を見て、エリオは首をかしげた。蓑出の運動神経がアレだったとはいえ、響は文句なしの完勝だったはずだ。それが、動きに無駄があるって・・・? 踝教官は、尾野倉のこと、嫌っているのかな・・? とすら、エリオは感じるのである。

 隅の方で腕立て伏せを始めた響と蓑出を置いて、踝は円陣を見回すと、目の合ったエリオと須津城に向かって、

「次、佐井山! 須津城! 出ろ!」

 と呼ぶ。砂遠はにやにやと笑いながら、

「おう、須津城。やりすぎるなよ。エリオに本気出したら、いろいろ折れちまうぞ。」

 と余裕の表情で言った。

「分かってるよ。加減の仕方くらいよ。エリオ、お前は本気だせよ。」

 須津城は言った。言われたエリオは、

「う・・・うん。」

 と、緊張しきった顔で返す。

「ま、怪我をしない程度にやってやるから、そう心配すんな。」

 須津城はそう言って、ぼん、とエリオの背中を叩く。エリオと須津城が中央に出ると、すぐに開始の声が響いた。

 須津城は、じりじりとエリオとの間合いを縮めながら言った。

「へっへへ。エリオ、お前、ちゃんと構えろよ。」

「い、いや、これが一番、いいんだ・・・。」

 エリオは構えすら取らず、だらりと両腕を下げて肩幅分に足を広げ突っ立っている。

「なんだとぉ?」

 須津城の眉間にしわが寄る。無防備の相手に攻撃すれば、怪我をさせかねないわけだが、しかし、エリオの立ち姿には、なんと言えばいいか、隙がなかった。肩や足に力が入っている様子はなく、至極リラックスしているのだが、それでいて、あらゆる攻撃に対し、即座に反応できるような・・・。須津城も、経験した場数の多さは少なくない。その経験が語るのだった。エリオの間合いが、異常に深いということを。

「ちゃんとやらねぇと、本当に怪我するぞ。おらぁ、行くぜ!」

 感じた不安を払拭するように、ボクシングのファイティングポーズを取っている須津城が、素早くエリオの懐に飛び込んだ。須津城も口先だけでなく、その踏み込みはかなり速い。

 須津城は小柄な体躯をさらに縮めてエリオの視界から消えるように身を落とすと、そこから一気に伸び上がって、鋭いアッパーを放った。

 エリオは軽く身体をそらしてかわすと、流れるようなモーションで須津城の脇をすり抜けざま、その背中に肘打を入れた。エリオは自分の右足を残しておいたものだから、打ち終わりの状態にあった須津城はその足へひっかかり、前へつんのめるようにしてバランスを崩した。

「ぉわ!」

 数歩、足を踏み出し、かろうじて倒れるのを須津城はこらえた。すぐに振り向いて、エリオに猛然とジャブやストレートを打ち出すのだが、信じられないことが起こった。

「う、うわぁ!」

 と、エリオは、須津城の猛攻に悲鳴すら上げているのだが、そのことごとくが当たっていない。当たらないどころか、須津城の攻撃、全弾にエリオのカウンターが入っているのだ。振り抜くタイプではない、相手の動き、リズムに対して、拳や掌底を「置く」だけのカウンターだから、一撃で須津城が倒れることはなかったが、それでも、

「くっ! この! うぐ!? ぐへっ!」

 須津城は、パンチを出すたびにダメージを負い、瞬く間にぼろぼろになる。ぜぇぜぇと息をつきながら、須津城は言った。

「こ、この野郎・・。逃げ回ってるだけじゃ、勝負には勝てないぜ。」

「そ、そんなこと言われても・・・!」

「正々堂々かかってこいや!」

「正々堂々やってるじゃないか・・・。」

「う、うるせぇ。後で吠え面をかくなよ!」

 撃沈フラグを散々立てながら、須津城は最後の力を振り絞って助走をつけ、飛び蹴りでもってエリオを倒さんとする。しかし、エリオは身を縮めて蹴りをかわしざま、須津城の蹴り足を勢いよく下から押し上げた。須津城は空中で後方一回転という、本人では完全に制御不能のアクロバティックな動きを見せながら、派手に地面へ倒れ()した。

「ぐは!」

 と、須津城が倒れるのと同時に、おお、とか、すげぇ、というエリオへの賞賛のどよめきが起こった。

「よーし、そこまでだ。佐井山、悪くない動きだ。須津城は攻めが単調になり過ぎる。動きを相手に読ませるな。」

 踝はそう言って、模擬戦を止めた。

「は・・、はい。」

 いまだ立ち上がれない須津城は、息をつきながらやっとの思いで答えた。

 エリオは、須津城の腕を持って助け起こしながら言った。

「だ、大丈夫・・・?」

「う、うるせー。お前、あんなに強かったのかよ。隠してやがったな。」

「いや、隠してたわけじゃないけど・・・。使う機会がなかったから・・・。」

「くっそー。お前があんだけやれるんだったら、喧嘩の時、加勢に頼むんだった。俺と砂遠とお前の三人なら、この地域一体を掌握できたってのによ。」

「し、しないよ、そんなこと・・。」

「へっ。人畜無害な面しやがって、怖ぇ奴だよ。」

「・・・・・。」


 訓練を終え、響は更衣室脇にあるシャワールームに入った。先に入っている他の女子達が浴びる温水の音と湯気が、室内には充満していた。響はEVをかけたままだったが、こういう状況、つまり、水滴があちこちで飛び跳ね、音が反響する室内ではEVを通して入力される情報にノイズが入りやすい。だから、周囲の状況が今ひとつよく分からないのである。響はよちよちと小さな歩幅で進むと、一番奥にあるシャワーを確保して、栓を捻った。腕がぴくぴくと震えて持ち上げるのもやっとだ。それでも、少し熱めの湯が気持ちよくて、ざぶざぶと頭からかぶる響だったが、背後から、小声で話す女子の声が聞こえてくる。

「ちょっとさぁ、蓑出の奴、見た?」

「うん、見た見た。あれはないよね。」

「普段態度でかいくせに、てんで運動だめじゃん。いくらなんでもあの動きはないわー。」

「ほんとほんと。小学生のお遊戯みたいになってたじゃん。笑わないようにするのがたいへんだったよ。」

「ぷぷ。お遊戯って、ひどくね?」

「だって、実際そうだし。」

「確かにね。あれじゃ、尾野倉にやられるのも、無理ないわ。」

 そこまで女子達が話したところで、突然、響の隣のシャワーが全開まで開けられ、猛烈な勢いで吹き出す「水」が、女子達にかかった。

「きゃっ! 冷たっ! ちょっと、気をつけてよ・・・。」

 そう言って睨む先にいるのは、長い髪の毛が顔にかかってよく見えないが、噂をしていた蓑出、当人だ。悪口を言っていた二人は、蓑出が目の前にいると分かると、そそくさとシャワールームを出て行った。

 士官科の中には、初めて一緒になった生徒も少なくない。体力至上主義とまではいかないが、格闘術なんかの肉体系技能の得意な者が、自然と一目置かれる傾向が士官科にはあった。以前はあった蓑出の人望も、ここではまだ周囲に及んでいない。

 出しっ放しの水シャワーの中へ蓑出は頭を突っ込み、そのまま目をつむった。運動がだめなことなんて、自分が一番分かっている。それでも、蓑出には軍に進みたい理由があったし、その理由は、志望や希望といったぬるいものではなく、一つの使命だとすら思っている。誰が何と言おうと自分の進路を曲げるつもりはなかったが、それでも、大見栄(おおみえ)きって挑んだ響に歯が立たなかったのは痛い。蓑出は自分が情けなくて、頭から水を浴び続けた。悔し涙を隠すためでもあった。

 蓑出が水を止め、ふと横を見た途端、蓑出は小さく、

「ひゃっ!」

 と言って驚いた。危うく真っ裸でずっこけそうになるのを、壁に手をつきかろうじてこらえる。自分の出した、間抜けな悲鳴が恥ずかしかった。湯気で真っ白に曇ったEVをかけたまま、響がシャワーのスペースを区切るパーティションから半身を覗かせ、至近距離で蓑出の横顔を見つめていたのである。

 蓑出は、自分の目が赤くなっていないかを気にしながら、響に言った。

「お、尾野倉・・・! な、何よ。負かした相手の泣き顔が、そんなに面白い?」

「やっぱり、蓑出さん。誰かと思ったわ。泣いてたの?」

 蓑出は響にそう言われて、しまった、と思った。泣いていたことを自分で白状してしまったのである。よりによって、一番それを知られたくない相手にだ。

 蓑出は今さらごまかしようもないのだが、怒ったように言った。

「泣いてないわよ。」

「でも、自分で泣き顔って言ったわ。」

「言ってない!」

「・・・そう。じゃあ、そういうことにしておくわ。」

「むぐ・・!」

 蓑出は、響にそれ以上何も言い返せない。話題をすり変えて、逃れようとした。

「そんなところから覗いて、何の用よ。女同士だからって、覗かれて気分のいいものじゃないわ。」

「覗き見していたわけじゃないわ。」

「じゃあ、何?」

「浴びてたの、水でしょ。冷えるわよ。」

「それを言うために見てたの? 余計なお世話・・・は・・・。」

「は?」

「はっくち!」

 言ってるそばから、蓑出は大きなくしゃみをした。レンズがデバイスの取光装置になっているものだから、響はレンズの曇りを指で拭き取りながら言った。

「シャワー、浴びなおしたら?」

「余計なお世話だって言ってるのよ。・・・・思ったでしょ。」

「何を?」

「いい気味だって。小馬鹿にした態度を取っておきながら、完敗した私に対してよ。」

「別に、思ってないわ。」

「思ってるに決まってるわ。」

「勝手に決めつけないで。思ってないわ。」

「じゃあ、何だって言うのよ。」

「なんとも思ってないわ。蓑出さん、出したんでしょ? 全力。そして勝敗が決まった。それがすべてよ。いい気味だとか、勝ってどうとか、そういうこと考えたことないわ。」

 淡々と言う響であったが、蓑出は、不思議と響の語り口調に引き込まれた。どうにも癪に障るが、響の声を聞くと、なぜか蓑出は落ち着くのだ。ハスキーとまではいかないが、低めで抑揚を押さえた響の声が、蓑出の胸によく浸みた。EVが壊れて、一日つきっきりだったときから思っていたことだが、今ここでそれを思い返すにつれ、腹立たしい気持ちが倍増した。皮肉なことだが、響に話しかけられると、悔し涙を流していた時の気分が、ダクトへ吸い込まれる化学(ケミカル)(ミスト)のように消えて行くのである。

 蓑出は、ぷい、と響から視線を逸らして言った。

「・・・・あ、そ。じゃあ、あんたは何でここにいるのよ。どうして士官科になんて進んだのよ。戦って、勝って、それで嬉しいとも思わないあなたが、いったい何をするって言うのよ。親の威光を笠に着られるから、かしら。」

「違うわ。乗りたいの。」

「何に?」

「OCM。」

「・・・それだけ?」

「そう。それだけよ。」

 蓑出は響の顔をじっと見るが、冗談やその場しのぎのごまかしで言っているようには見えなかった。OCMに乗りたい、というただそれだけの動機で、士官科に進むということなんてありえるのか、蓑出には信じられないような気もしたが、それでも、響の真剣な態度を前に、否定する気もなくなった。

「蓑出さんは。」

 と、響が言った。

「なぜここに?」

「あんたに関係ないでしょ。」

「泣くほど悔しい思いをしなきゃならない道を、あえて選んだの?」

「だから! 泣いてないって・・・! ・・・そうしたい理由があるから、ここに来たのよ。その理由をあんたに言う必要なんてないわ。」

「でも、私は理由を話したわ。蓑出さんだけ話さないのは、フェアじゃない。」

「誰も士官科にきた理由なんて、訊いてないわよ。」

「いいえ、訊いたわ、確かに。だから私は教えたのよ。」

「ふぐっ・・! 言う必要がないったらないのよ! もう行くわ! いつまでも裸でいたら、風邪引く。」

「冷たいシャワーなんて浴びるからよ。」

「うるさいっ・・・は、はくちっ!」

 盛大なくしゃみをもう一つしてから、蓑出は響を残してシャワールームを後にした。タオルで身体を拭く蓑出だが、ぶる、と大きく身震いした。さすがに、水シャワーは無茶だったか、と後悔するが、もう遅い。垂れそうになる鼻水をすすりながら、大急ぎで制服に着替えると、更衣室を出た。

 廊下を歩きながら、蓑出は響の言葉を思い返していた。出したんでしょ、全力。そして勝敗が決まった・・・。その通りだった。蓑出は全力を出したのである。もちろん、自分の運動神経が「いくぶん」足りていないのは承知していたが、だからといってふてくされているわけにもいかない。我ながら人間が小さいと思ったのは、目の不自由な響になら勝てるかも知れない、という打算のことだ。相手を交代させてくれ、と申し出たのは、自分が本当は別の相手と対戦したいように見せるという偽装、カモフラージュであって、相手が響でよかったとすら思っていたのである。響相手に手も足も出なかった自分を情けないと思ったわけだが、それ以上に、やりたくないという素振りまで見せながらその内心、響が相手であることを喜び、そして完敗するという、そんな自分がひどくみじめに思えて、(こも)るための穴を掘りたいくらいなのが、蓑出の今の心境だった。

「あ。」

 と、蓑出が声をあげた。まさか、と蓑出は思った。尾野倉は、最初から私がシャワーを浴びながら泣いていることに、気づいていたんじゃないか。水を浴びると冷えるとか何とか言っていたが、本当は、私を慰めるつもりで話しかけたんじゃないのか。蓑出はそう思い当たると、響にいろいろな意味で負けたような気がして、みじめやら、悔しいやら、ぐるぐると気持ちが螺旋状に落ち込んで行くのを、なす(すべ)もなく感じるほかなかった。

 ずず、と鼻水をすすって、とぼとぼと廊下を歩く蓑出の前で、人だかりができている。張り出された電子掲示紙の文面を、皆、押し合いながら食い入るように見つめている。落ち込んだ気分を変えるのにちょうどいいと、蓑出も掲示紙の内容を見てみることにした。

「何か張り出されたの?」

 蓑出は、人だかりの後ろの方でうろうろしていた一人に声をかけた。

「み、蓑出・・・!」

 エリオだ。蓑出の声に、ぎくっ、と身体を固くする。

 なぜだか分からないが、エリオは蓑出をさけるのである。今も、話しかけただけで挙動不審になる。なんでかしら、と蓑出は常々思っていたが、嫌われるようなことをした覚えはないし、そもそも、蓑出自身、エリオのことは今ひとつはっきりしない男子だとして、好きになれなかった。はっきりしない、というのは、どこかおどおどして、エリオの本性というか、本体がよく見えないのである。

 それでも、蓑出はエリオに話しかけた手前、相手を無視するわけにもいかなくなったので続けた。

「新しい訓練内容? それとも、学科の成績?」

「い、いや、違うよ。適性試験の告知みたい。」

「適性試験って、何の?」

「OCM。」

 人造の「空」に張り付いた重機のたてる轟音が、頭の上から聞こえてきた。いい加減光量不足なものだから、ようやく、天井の人工灯パネルの張り替えが行われているのだ。無論、ごく一部分の張り替えのみに過ぎないのだが。

「OCM・・・。」

 と、蓑出はつぶやいた。OCMに、誰もが乗れるというわけではない。当然の話、適性試験をパスした者のみが、その搭乗資格、訓練を受ける資格を得られるのである。

 頭上の重機は、雷鳴のような音をたてながらゆっくりと移動している。適性試験の合格要件を見ながら、一瞬、蓑出の脳裏を響の顔がよぎった。

「どう考えても、無理でしょ。馬鹿な奴・・・・。」

 蓑出はじっと告知を見つめたまま、鼻水が垂れるのも忘れてたたずんでいた。


 これまでだって、と響は思った。無理だとか、不可能だとか、そういう風に言われたことを乗り越えてきた。一人暮らしだってできたし、士官科にだって進めた。まだ幼い頃、月の表から裏へと向かうシャトルに一人で乗った時だって、不安で一杯な父の見送りに、平気な顔で手を振っていたのを覚えている。平気なふりをしていたわけじゃない。本当に平気だったのだ。やろう、と思ったことは、時間がかかることもあったが、必ずできた。今回だって、そうだと思っていた。絶対に実現するという意志と、準備する期間さえあれば、乗り越えられないことなんてない。響はそう考えていたし、現にそうして乗り越えてきたのだ。

 その日、もう何度同じことを繰り返したか分からないが、響は手にした適性試験の合否通知を開いた。電子紙、超薄型の使い捨てディスプレイ画面の右から左へ、大きな赤い文字が流れている。何度見ても、どう紙を傾けて見ても、その三文字の意味は変わらなかった。

 「不合格」

 OCM適性試験に、響は落ちた。筆記は満点だったのだ。だから、身体測定もそのままの勢いでパスして、実技試験にいけると意気込んでいたのが、視力でひっかかった。EVをつけた矯正視力はぎりぎり通ったが、まさか裸眼視力0・2以上が必要だとは、完全に想定外だったのだ。士官科に進む前、事前に公開されていた要件には、裸眼視力について一切書かれていなかった。当然、試験官にそのことを言ったのだが、既に通知してある、の一点張りで響は検査室を追い出されてしまった。響はOCMに乗ることすらできなかった。

 懸命に這い上ってきた岩山で、つかんでいた岩の一角が丸ごと崩れ落ちたみたいな絶望を響は感じた。つかむ岩の切れ目の場所を間違えたとか、手がすべったとか、そういう話ではない。つかんでいたブロックごと、丸々と崩れて崖下に落ちた。そんな思いで、響はぼんやりと帰り道を歩いていた。

 携帯端末の着信音が鳴ったので、無意識の内に開いて確認する。ボイスメール、母からだ。試験中、電源を切っていた時のものを、今、受信したのだろう。耳にあてる。

「響、元気にしてる? 前から言っているように、士官科はやめなさい。今なら進路変更しても大きな影響はない。人生には、乗り越えられない壁があることを知りなさい。登る壁を選ぶことも必要だわ。進むべき道は他にいくらでもあるのよ。また連絡する。」

 軍人らしい、きびきびとした喋り方で用件だけ伝えて、ぷつりとメールは終了した。

 端末を持つ響の手がふるえた。こんな時に。何もこんな時に、そういうこと、言わないで。響はそう叫びたかったが、ひとつの可能性に思い当たって、愕然とした。

 可能性。OCM適性試験に、裸眼視力測定が突然追加された。まるで、響が試験を受けることを見越したように、その道を阻むように、響にとって致命的な項目が追加されたのだ。

 母の差し金ではないか、と響は思った。ありうることだった。母の軍内での影響力をもってすれば、適性試験の合格要件を変更することなど、難しくはない。まさか、母がそんなことをするはずがない、と思う響であったが、いや、あの母なら、それくらいのことやりかねない、そう囁く自分もいるのである。

 合否通知をくしゃ、と丸めるようにたたむと、スカートのポケットにそれを突っ込んだ。フェンス越しに見える訓練場の遠くで、OCM数体が稼働している。この前見た、訓練用のミンネジンガだ。さっそく実技試験が始まっているのだろう。ぎこちない動きが、受験生の操縦であることを物語っていた。フェンスの金網に片手をかけたまま、これが、この金網が、私の越えられない壁なのか、と響は思った。フェンスのこちら側とあちら側ではほんの数十センチの幅があるにすぎない。しかし、その幅は響にとって、月と地球に匹敵するほどの隔たりだった。 

 ぐぅぅ、としか言いようのないその思いを胸の中で握りしめながら、響はいつまでも、フェンスの向こう側を見つめていた。

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