三人の会話
ブレイ「…一つ、言ってもいいかい?」
ラナーテ「…ん?」
ブレイは不満げな顔をして、ラナーテに片手を突き出す。
もう片方を、いまだ片足に絡まっている蔓を指さす。
ブレイ「俺の拳銃。返してくれないかい」
実は、ブレイが転倒したあの瞬間…
一時的に防御がなくなった隙に、二丁拳銃を奪ったのだ。
相手の攻撃力を削ぐためだ。
ラナーテは最初何のことかよく分からなかったが、思い当たる節があるのかすぐさま二丁拳銃を取り出した。申し訳なさそうに言った。
ラナーテ「悪い…」
ブレイ「…まあ、いいけどさ」
ブレイは拳銃を受け取ると、片方を自分の足に絡んでいる蔓の根元に銃口を向けた。
その行動に、ファイが思わず口を出す。
ファイ「わざわざそうやらなくても、手を使えば…」
ブレイ「…」
「よく見ろ」と言いたげに、ブレイは視線を使って伝える。
彼が何を言いたいのかよくわからないが、二人は見た。
ファイ「…えっ…」
ラナーテ「おいおい…マジかよ…」
なんと…彼に絡みついている蔓は少しずつ動いており、徐々に彼の足を締め上げている。
よく見ると、ブレイの顔には冷や汗が浮かんでいる。
ブレイ「下手に引き千切ろうとすると余計絡んでくるみたいでね…」
言い切ると同時にブレイが蔓に弾丸を撃ちこんだ。
見事に弾が命中し、蔓は切れた。
ブレイの足に絡み付いていた方は、自然と緩んで落ちた。
ブレイ「…どうやら、この森はさっさと抜けたほうがよさそうだね」
立ちあがろうとするが、先程まで蔓が絡み付いていたほうに力を入れた瞬間。
ブレイの足に激痛が走り、倒れた。
ブレイ「ッ…」
ファイが近づいて、ブレイの足を見る。
かなり強く締め付けられていたのだろう。彼の足は鬱血していた。
おまけに、足を挫いた様だ。
ファイ「…どうやら歩けそうにないね。仕方がない」
何故か、拳銃でブレイを殴って気絶させた。おそらく、ラナーテにも同じことをしたであろう。
ラナーテ「ちょっ…おま…」
ファイ「無駄にプライドが高い人間ってね、素直に背負わせてくれないんだよー」
ラナーテ「『無駄に』ってお前酷いな!! ていうか以前にもあったのかよ!?」
ファイ「よく言われたよ。マス……」
瞬間。彼の言葉が止まった。
ラナーテ「…さっさと出ようぜ、こんな所。なんか気味悪いしな」
ファイ「…そうだね」