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僕らは夜に語り合う  作者: 赤城 十一
第二話 メリーさん
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 等間隔に並べられた机と椅子、何も書かれていない黒板、どこか無機質な気配が漂う教室に二人はいた。

 一人は、短めの髪に勝気な瞳をした少女だ。黒色のパーカーにジーンズといった動きやすさを重視した服装をしている。

 もう一人は、二つにまとめた髪を左右から垂らし、怯えたような瞳をした少女だ。若草色のワンピースにスパッツといった格好だ。

 また、夢を見ているのだと、おぼろげな思考の中で紗雪は確信した。明晰夢というよりは自身が映るビデオを見ている感覚というのが適切かもしれない。それは以前あったことの繰り返しだ。紗雪という存在は第三者として存在している。手を伸ばし結末を変えることはできない、不条理な過去だ。現に紗雪は目覚めや自分が願った展開になるよう願うが、あざ笑うかのように何の意味もない。

「なんで、ここにいるの」

 短い髪のボーイッシュな少女が発する疑問のようでありながら喜色の混じる声音は、内容の最低さを裏付けるようだった。

 これ以上見たくない。紗雪の胸を占める思いとは裏腹に、事態は止まらない。

「見たくないのに、目障りなのに、気持ち悪いのに」

 歌うようにボーイッシュな少女は告げる。そこには笑みが伴う。言われた少女の傷付く顔が、たまらないとでもいうかのように。

 今自分が見ているのは過去だと、紗雪はわかっていた。ただただ痛みが伴う、黒い過去。忘れようとしていたが忘れられない、そんな記憶だ。

 昔の話だった。思い出すことなんてなかった。だが、最近になり、文字通りの悪夢となり、紗雪を揺さぶる。理由はわからない。だが何かの意味はある気がした。散りばめられたピースのひとかけらであることを確信ていた。それが何なのかまでは理解できなかったが。

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