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 「おやすみなさい」

……って言われてもなぁ……正直寝れんよ?エリカさん……


もう十分寝たし、目ぇ覚めちゃってるんだよなぁ……


あぁ~……こうなるとめっちゃ暇だ……現代っ子舐めんなよって感じです。


眠れない時に暇を潰せる物がないってのは地味にかなりつらい……暗闇の中、身悶える。


さらに、2日も寝っぱなしだったということもあり、身体を動かしたい衝動に駆られてくる……


やばいなこれ……禁断症状とか出そうだ……


元々、武術をやっている人間は結構ケガや痛みってのには慣れている。


ケガしたまま軽めの鍛練をすることだってある……

うん……まぁ~だって、仕方ないよこれは……これは仕方ない!


自分の中で何度も頷き合う。


そうと決まると、抜き足差し足で制服の掛かっている壁まで向かい、そこで着替える(靴も制服の下に並べてあった)。


フと気づく……俺の身体が清潔になっている……?

そういや寝ている間の排泄とかって……?


いやいやいやいや……ここにも男の職員くらいいるだろぉ……いるはずだ!!


そう考えよう考えようとしているのに、浮かんでくるのは……


金髪のボブで、目鼻立ちはタレ目でおっとりした感じ。

スレンダーな体型に看護婦さんの制服がかなり似合っていた。


そういや、耳が尖ってて長かったような……っということはエルフかぁ……イメージより小柄でおっとりだったけど……あれはあれで良いなぁ……


じゃなくてっっっ!!


……いや、もうこれ以上は深く考えるのやめよう……恐ろし過ぎる……


それより脱出が優先だ……今はいち早く身体を動かしたい気分だ……。


ガムシャラに身体を動かしたくなるのを一旦抑え、キョロキョロ部屋の中を観察する。


ベッドが3つあるのだが、ベッドの頭側にある壁、つまり俺の向かい側にある壁に窓が2つある。(ベッドとベッドの間に窓がある感じ)


さっそく右の窓を開けてみると幸い、1階のようで、楽々と外に出れた。


っということで、治療院からの脱出に成功……

何やってんだ俺……とか考えたら負けだ。笑っとけ笑っとけ!

フハハハハハハ~


窓を下りてすぐの地面は草むらで、治療院は壁に囲まれているらしく、正面と右には行けない。


仕方なく左へ行くと、治療院の正面入り口がある場所に出れた。


そこでちょっと驚く。

ボンヤリとだが、明るいのだ。


目の前に整備された大きめの道が、横に通っているのが見えるし、その道の向こう側に別の民家が見える。


こりゃ助かるけど……光源はなんなんだろう


と考えつつ道に出てみる。石畳とかコンクリートではなく、土の地面だが、ちゃんと整備されている。


どっちに行こうかなぁ……と迷っていると、どちらの道の先にも柱の上に何やらボンヤリ光る球が載っているのが見える。


あれが光源だな……あっちは門みたいなのが一緒に見えるから村の出入口か?


あっちは……広場みたいになってるな……


時間はまだまだあるんだし、どうせだから鍛練だけじゃなく、ちょっぴり散策もしてみようかな。


となると村の中心地へ行った方が、この時間にやってる店とかもあるかもだし、面白いかもしれない。


よし、なら広場みたいになってる方へ行ってみますか。


俺は治療院を背にして左の方角に歩き出す。




歩いてみると、やっぱボンヤリでも明るいのは助かるなぁと感じる。

森で遭難したから余計にだ。

それに整備された地面の歩きやすさにもびっくりだ。歩くのに何も障害がなく、道が平坦なことがこんなにも素敵なことだったとは……


俺が日本で当たり前のように享受していた恩恵のデカさを今さらながら実感する。


はぁ……なーんかもはや日本の便利さが懐かしいと感じるようになってきたなぁ……

この世界へ順応でき始めてることはうれしいことのような……悲しいことのような……


まぁー今は無事に村にたどり着けたことを素直に嬉こんでおこう。


こうやって人の気配を感じる空間ってのはやっぱ安心する。


道を歩いている人はいないが、自分の持つセンサーのようなものが、道の左右にある家々に居る人たちの気配を感知してくる。


……いやね、わかってますよ?家の中に人がいる気配を感じれて嬉しいとか、変態感が出ちゃってることぐらい……でもそこは大目に見ようよ……寂しかったんだって……森。


歩きながら、右手の掌を眺める。


元々、気配察知の能力は俺の扱う柔術では必須のもので、鍛えてはいた。


だが、今ほどのモノではなく、完全にこの世界に来てからより鋭敏になっている。


結局これも身体能力向上のおかげなんだろう。もしかしたら別の力かもだが……


いずれにしても、この世界に来てから「与えられた力」だ。


俺自身が修練の末、手に入れたものじゃない。


それなのに、最初からソコに居たかのように、俺の身体の一部となっている。


そのことに、結構ムカついてたりするんだ。


結果的にこの力のおかげで命が助かってるわけだから、文句を言う筋合いなんぞないのかもしれない。


だけどやっぱり、いきなり顕れた得体の知らない力に頼らなければ、敵を倒すことも、生き残ることもできなかった……

そんな自分の弱さが許せない。


この力がもしなかったら……

そう思うと沸き上がる、この恐怖心が許せない。


だから……もっと鍛え上げなきゃならない……

この力に驕らず、媚びず、俺自身を鍛え続けることを絶対にやめちゃならない……

あの日誓った約束を違わぬために……

俺の求める強さを必ず手に入れる……


右手の掌を強く握りしめ、そう心に強く思い直す。




そんなことをグダグダ考えている内に、広場に歩き着く。


広場の中心には石造りの丸い台があり、その上に5mくらいの白い柱がある。

そしてその柱の天辺にある球が淡い光を発していた。

あれも神術によるものなのか?

なんか淡くて綺麗な色だな……


っていやいや、女子かよ!魅とれてんじゃねぇっつうの!!


なんか夜に光ってる照明見てたら日本思い出しちゃったよ……


くっそ……まだ完結してない漫画やらラノベやらいっぱいあったのに……海賊王にあいつはなれるのかとか……黒い狂戦士は復讐を果たせるのかとか……「不幸だ」が口癖の高校生は……ミスマルカは……

うがぁああああああああ……腹立つわぁ……絶対帰ってみせる……




さて、なんかないかなぁ……と広場を探してみる。

広場を中心に建物がこの辺りに集中しているようで、昼間はなんかのお店なんだろうと想像できる建物もいくつかあった。


この時間でもやってるお店ないかな……と歩いていると、俺が来た道とは反対側に同じような道があり、その近くに、中から光が漏れている開いてそうな店が一軒だけあった。


「お、入れるかな?」

と思ったが、そこで立ち止まり

「ってか俺、金持ってないじゃんそういえば……」

と致命的なことに気づく。


飲食店じゃなきゃ、見るだけも通用するかもだが……どうすっかなぁ……


腕を組んでとりあえず悩んでみる。

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