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ネジ巻き仕掛けの介護人形《ケアロイド》

掲載日:2026/10/12

 その老婆を介護する介護人形《ケアロイド》は、ネジ巻き仕掛けだった。


 少女の容姿を象《かたど》った介護人形《ケアロイド》である、その背中に生えた、くすんだ金色のネジを巻いて、動く。

 しかし、介護人形《ケアロイド》の少女が自身でそれを巻くことはできない。


 くすんだ金色のネジはなかなか固く、それを回すのは老婆だった。

 頑固なほど融通の利かないそれを、老婆は毎回、苦労して巻いた。


「いつもすみません、マスター」


「ウフフ。お互い様だよ」


 だが、老婆はそれが――嬉しかったのだ。


 手を痛めて、息を切らし、苦労を分かち合って少女のネジを回す、そのことが。


 人の、心の健全をとある「知能の集合体」が計算し、そのように設計された人形。

 少女を象《かたど》った人形は介護人形《ケアロイド》だ。





.

.

.

融通よりも、心の健全を優先した”彼”の判断に、当時の世界は驚きを露わにした。


だが実用性の問題から、ネジ巻き仕掛けの少女は量産には至らず、その発想を面白がった好事家の手により、たった数体しか作られなかった。アンティークのような存在だ、けれどそれを求める心を忘れて何が人間だろうか?

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