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家を守る

作者: 桜葱詩生
掲載日:2026/02/09

※カクヨムにも投稿しております

※最後の1文を削除しました この頃 まだこのように言うことはなかったからです 同時の状況を優先しました

友達が熱を出して学校を休んだ その家にプリントを届けにいった


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これも…申し訳ないけど昔の話しだ 小学校四年生の…三学期 一月の下旬ぐらい 寒い日だった 僕が小学校の…ちょうどこの頃にはそんなことがあって、これはその最後の、になる 怖い話しじゃない 不思議な話し


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Bくん…一応本名は避けることにした、の家は小川というか田んぼに水を引くための用水路のすぐそばにあった 僕たちは帰る方向が一緒だったことから仲良くなって、ただあることがきっかけで仲たがいをして、それ以降は、一緒に遊ばなくなっていた 一緒に帰ることもない そもそも仲がいいとはいえ、それまでに僕は、Bくんの家には一度も上がらせてもらえてなかった それぐらいの仲の良さ ただ、それはほかの子もおんなじようだった


隣の市へと抜ける大通りを渡って、元は畑か田んぼのあぜ道か、その耕作道路を進んで…右のさらに細い道を降る そんなところにBくんの家はあった 川の真横の住宅地 細い道の先はL字に折れ曲がっていて奥は行き止まり さらにそこらへんは窪地になってへこんでいた そこへと入って、左の2軒並んだ奥の家がBくん()


用水路は西から東に向かって流れている その流れに沿って家が建っていたから、Bくんの家は、東向きに玄関が作られていた 西の奥に居間、川に面してそれぞれの部屋の窓が…つまり一応、全部の部屋は南向きに作られていた 上がったことがないのによくわかるな…と思うかもしれないけど、それはこの件で確認したから 用水路の向こうに木が生い茂ってなければ、たぶん、陽が入り込んで、いい家だった…はず あと家の北に面した壁一面にツタが覆ってなければ ビックサイトの東ホールの壁に植えてある日差しを遮るみたいな軽い優しい感じのものなんかではなくて、色が濃い厚い葉の植物が、道路へと降りる側の壁全部を覆っている…一部は玄関のところにまで這っていた こっち側は北だから日が当たりずらいのによくこんなに伸びたな…ってぐらいの密集度 つまり家はこの時点で古かった


その当時、ここ周辺の家はみんな、大雨が降ると床下浸水の被害にあっていた ここだけじゃなくて、用水路沿いにある家はみんなそうなってしまって、困っていた 市の配慮というか施工というかが上手くいってなくて、用水路の排水が不十分 追い付いてない Bくんの家も去年の台風でその被害にあっていた これもあとから聞いた話しだった


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Bくんが休んでいるから、誰か宿題とこのプリントを持っていってください


担任にそういわれて、なぜか僕が行くことになった 僕の家はBくんの家へ行く途中で反対に曲がっていったところ クラスにBくんの家の近くに住んでいる生徒は僕しかいなくて、自然とそうなった その頃の小学校というのはとにかく、宿題が多い わら半紙で作られたプリントをカバンに入れて、チャイムを押す 反応がない、誰もいない家のようだ…そんなこと当時は思ってはいなかったけど…誰も出てこない よし帰ろう…両親が共働きだというのも後から知る


何度かチャイムを押す 出てこない プリントを玄関横にある赤いポストに入れておこうと…出したとき、鍵が開いた音がした が、ドアが開かない そのまま閉じられたまま なんだよ…と思ってもう一度、チャイムを鳴らす


やや、間があって…ドアが開いた おばあさんが立っていた 白髪を黒の柳さんみたいに、頭の上に一つにまとめて丸めてお団子にしている こんにちわ…と声をかけたのにおばあさんは僕を無視して、返事も何もせずに、すたすたすたすた、奥へと帰っていってしまう 入っていいのかな…そう思って玄関に入る


ワン ワン ワン ワン ワワンワンワン ワワンワン 


少しだけのなにか…泥というかそんな臭いに乗って、ものすごい勢いで、奥から犬の鳴き声が聞こえてきた オレの縄張りになに入ってきてんだこのやろう どこの誰だ知らない奴だ 出ていきやがれすぐ出ていけ 噛みつくぞ怖いだろう 出ていけ出ていけ


そんな感じで吠えたてられる 玄関の柱に犬を飼っているシールが貼られていた 奥の部屋で飼っているんだろう、こんなに吠えるんなら大変だろうな 吠えないワンコは役に立たないけど、吠え過ぎるワンコほど迷惑な生き物はいない


奥へと伸びる廊下 その奥が台所らしい 冷蔵庫の横っ側が見えていた 左手はトイレとか洗面台、お風呂、そんなドアが並ぶ 玄関すぐ左に二階への階段があって、吹き抜けで上の階の手すりが見える なんでだか上から泥臭いにおいがする 反対側、南、右の玄関すぐわきに部屋があって、扉が開けっぱなし この寒いのに…奥の台所の横に硝子戸があって、声はその奥から…そこからしているみたいだった 居間で飼っているんだろうな、となんとなくそう思った さて


入ったはいいがおばあさんは奥へと引っ込んでしまった すぐ右手の開いたドアの向こう 何の気なしにそこを覗きこむと…こっちに背を向けた白髪頭のおじいさんが胡坐をかいて、なんでだか揺れている 部屋から老人特有の…なんていうんだろう? そんな臭いが混じってした


あの……


声をかけても反応しない 聞こえないのかもしれない とにかく犬の鳴き声が大きくてうるさい


するとおばあさんが台所から横切って奥の硝子戸を開けた 顔だけ突っ込んで


うるさい 鳴くなっ 静かにしろ


そう怒った 怒鳴られた犬は一瞬だけ、静かになった ワンコを居間で飼っているとこうなる 誰か来ると嬉しくて騒ぎ立てる そのうち飽きて落ち着くだろう そう思って…どうしようか、待つ


また犬が吠え始めた 僕は放置されたまま 誰もなんの反応もしてくれない 仕方がない


プリントを玄関に置いて帰ろう そうしようとしたとき、上から


なにっ?


そんな詰問に似た声が聞こえた 階段上、Bくんがマスクをして立っている 犬の鳴き声で聞こえなかった僕を睨みつけている プリントを振って見せる


宿題とプリント、持ってきた 具合どう?


そう聞いてもBくんの返事はない 黙ったまま 僕は仕方なく


ここに置いておくよ


そういってBくんを見る するとBくんは、わかったOK、といった感じに右手で(まる)とした


結局降りてこなかった


そんな風に少しだけ嫌な気分になって、玄関を出ると途端に犬の鳴き声が止んだ 外では一切、聞こえない 敷地内であっても外なら吠えないのか 案外頭のいいワンコだ


友人にワンコを飼っている奴がいる 同じように居間で飼っていて…確かにそのワンコも玄関に入ってからものすごく鳴く(騒ぐ)


どこも同じようなもんなんだな そう思ってそのときは帰った


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Bくんが再登場…ちがう、再登校してくるのは…翌週になる プリントを持っていった翌日、Bくんは高熱を出して、それでやっと病院に連れて行ってもらって、インフルエンザと診断された タイミングの悪いことにいくつかのクラスがそれで学級閉鎖になっていた みんなも気を付けるように…と、インフルになったばかりの生徒がいる前で、ほかの子に移さないようにね、みんな、帰ったらうがい手洗い、忘れないように、とかなんとか担任がいった まだ特効薬もないとき あと熱が下がったら学校へと無理にでも行かされるようなとき 登校してきたBくんはまだ体調が万全ではなくて、ふらふらしてて辛いようだった 授業も半分、上の空 途中でぐったりして、反応が…それはいい


下に降りてきてくれなくてよかったのかもしれない それで久しぶりに一緒に帰ることになった なぜかそこにBくんのそのときに仲の良かったCくんが混じった


Bの身体が悪いんだからお前がカバン持てよ


そういわれて…身体じゃなくて体調ね、なんでだか、Cくんの分のランドセルも持って帰る 仲のいい…肩を貸しあって、笑いながら歩くふたりの跡をついていく ただ、Cくんの家は真反対、学校の向こう側 こっちにまで来たら往復だけでも大変だ だからだろうか、あともうちょっと、という隣の市への大通りのところで、Cくんは


じゃあオレは帰るから


そういって焦ったように走って行ってしまった ここまで来たら最後までやれよ…家までは来ない 仕方なしにそのままランドセルを持ってBくんの家へと向かう 会話らしい会話なんてものもない で、話しのきっかけに僕はこう聞いた


どんな犬を飼ってるの?


Bくんはこっちをちらっと見て、それから何か嫌なことを思い出したような感じになって


犬はもう去年の春に死んだよ いまはもう飼ってない


そういってランドセルをひったくって家へと入っていった



両親やおじいさんのこととかは、この後、Cくんが教えてくれる 怒りながら、それぐらい分かれよ、とかなんとかいいながら 子供にはそれは難しい


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