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球殻世界

作者: 高木紀久

この『球殻世界』は、フランク・ベルクナップ=ロングの小説『ティンダロスの猟犬』に取材した作品です。

PCは物理学者になりそこねた男。かれが“レンのガラス”を手に入れたことから物語ははじまる。


レンのガラス(ヒヤデスからのもの):“ガラス”越しに異世界を垣間見ることができる。“ガラス”は双方的な性質をもっており、しかも、その効果はたがいの世界を見ることができる、というだけではない。使用にあたっては、“ガラス”の付近に星(五芒星)を(チョークか何かで)記さなくてはならない。


PCはこの品物を祖先の遺物を整理しているさいに、古い皮装丁の本とともに発見。古い本には“ガラス”の使用説明が記されていた。


“ガラス”を覗き見る。:PCが見たものは;距離と時間、空間とベクトルが交錯するところ。空間関数、高次方程式、宇宙科学、天文学の四種のロールを同時に行い、すべて成功すれば、この複雑な状態の世界を、すこしだけ(完全とはいかないが)理解できる。➡これは、それ以前〔BE FORE〕の状態なのだ。そして、時間と空間をぬって、PCめがけて移動してくるものがある。〔ロールに失敗しても何かが接近してくるのはわかる。〕


ティンダロスの猟犬:PCはティンダロスの猟犬をまともに見てしまう。(SANロール:1D100/1D10)PCはクトゥルフ神話の知識を持たないため、それがなんであるのか(生命体なのかどうかすらも)判らない。人間の貧弱な頭脳と教養と想像力では、ティンダロスの猟犬を理解することは不可能である。ゆえにこの怪物が時をこえる能力をもっていることに感付くには、INTやWIZを使ってもムダであり、唯一MADの使用によってのみ、危険を察知することができる(MAD対12ロール)


MAD対12のロールに失敗した場合:ティンダロスの猟犬のうまれは定かではない、この宇宙が形成される以前から存在していることはたしかである。ティンダロスの猟犬の時空間を移動する速度は3D6。こちら側の世界に到達する時間は;時間距離(年)/速度×1×10の7乗dayである。サイコロの目は、1+4+6=11。ティンダロスの猟犬の現時点での時間座標からPCの存在する時間座標までの距離は、(“それ以前”世界については時間的な意味がない)15000000000±5000000000年であるが、ここでは20000000000年とする。ゆえにティンダロスの猟犬がPCの存在する時間軸および空間軸に到達する時間は、20000000000/(11×100000000)=181日(端数切捨て)である。ティンダロスの猟犬はふつうおよそ1000000000年以上前の時代に存在する。


PCはティンダロスの猟犬についての情報を得ようとする。


ティンダロスの猟犬について知ろうとするなら、普通の図書館の書架を調べてもたいした知識は得られない。WIZ対10のロールを行い、成功すれば、過去にティンダロスの猟犬によって、起こされた事件を追求しようというアイデアが湧く。WIZロールに失敗すれば、キャラクターの以後の行動は、プレイヤーに任せられる。しかし、以後、一週間ごとにWIZ〔対10〕ロールを行うことができる。新聞社のファイルキャビネットには、何件かPCの注意をひく記事があった。それらの事件を総合すると;1、ティンダロスの猟犬の目標となった(と思われる)人物についてすべて変死(いろいろな意味合いにおいて)を遂げていること、2、すべて完全な密室のなかで事件が起こっていること、3、すべてのケースに共通して言えることだが、犠牲者が、角度のない空間、即ち、球状の壁の内部に閉じこもろうとして失敗していること、等がわかる。以上のことがらから、WIZロールする迄もなく、ティンダロスの猟犬が、如何なる理由によってか、角度を通ってしか、こちら側の世界に実体化できないことが解る。


球殻世界:幾何学のロールを行う。成功すれば、これまでの情報からティンダロスの猟犬の角度に関した空間的な性質が部分的にわかってくる。(SAN-1D4。クトゥルフ神話の知識+5%。)失敗した場合、なんの得失もない。球殻宇宙論,天文学ロール➡失敗…通常の方法で、時をこえて追求するハンターを“撒こう”とする。〔つまりコンクリートや漆喰で球状の壁を造る。〕  成功…『球殻世界』の創造を考案する。球殻世界とは、要するに、球状の構造材の内側が空洞で、その中心部に活動している星(太陽)を擁し、構造材(世界を包み込む卵の殻の様なものだ。)自身が重力を持つ空間世界である。しかし現段階においては〔地球の技術レベルでは〕、球殻世界の創造は不可能である。だが、レンのガラスをつかえば、それは可能かもしれない。“ガラス”を通して球殻世界の構造材となりそうな物質を探す、協力者となりそうな(あるいは道具となりそうな)生物を探す、球殻世界を創造するために必要な知識を探す、といった行動がとれる。プレイヤーが賢ければレンのガラスによって球殻世界そのものを探し出し、そこに移住しようとするだろう。いずれにせよ、レンのガラスによって、PCが目当てのもの(世界)を発見できる確率は百分の一。1D100を振り、プレイヤーの任意の目が出るまで、無意味な(お互いにとって)遭遇が起こる。目的とする世界が発見されるまでプレイヤーキャラクターのSAN値が保たれているという保証はない。

―完―


補追

PCのスキル:空間関数85% 量子力学70% 放射線物理学45% 高次方程式75% 球殻宇宙論90% 宇宙科学60% 熱力学50% 幾何学70% 天文学55%


PCの言語:英語 ラテン語 ヘブライ語

本書は、TRPGテーブルトークロールプレイングゲームという体裁を取っています。市販のTRPGである『クトゥルフの呼び声』のベーシックセット(スタートセット)に梱包されている、“ルールブック”も参照しています。執筆した日時は、1993年8月1日日曜日午前9時14分です。

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