想い
毎日先輩はプロポーズ(?)をするようになった。最近では見つからないように空き教室に閉じこもったりしているが何故か見つかってしまう、はっきり言って恐怖である。今日もまた私と友人の話はご飯の話題ではなく先輩の話だ。
「あの先輩ほんとにしつこい!毎日空き時間にプロポーズしてるの怖いー、しかも学校中知られて恥ずかしいし!」
「みんなの噂だと痴話喧嘩両片思いカップル、略して夫婦って呼ばれてるよー?」
「全部間違ってる!略してないし!…まさかだけど私を見た生徒が先輩に居場所伝えてるとかない…よね?」
すると急に後ろから声がした。
「そのまさかだ、今日も君の名前は俺の名字とくっつくと麗しいね。ほら見てくれ今日はその姓と名前で名刺を作ってきてみた、これで貰ってくれる気になったかい?」
「なりません!みんなが居場所伝えてるなら逃げ場ないじゃん…。人間GPSなんてずるい!」
「みんな厚意で教えてくれてるから君を説得しにいける、ありがたいことだ!」
そうやって笑っている姿にそろそろ我慢の限界がきてしまった。
「先輩から追いかけられるの凄く迷惑です、夫婦なんて呼ばれて恥ずかしい。それに先輩は私の事別に好きじゃないのに結婚なんて出来ません!!」
怒りに任せて叫ぶ、顔を下に向け彼や友人の顔を見ないようにする。
「そうだよな…迷惑だったよな。でもこれだけは聞いてくれないか?」
「…なんですか」
「君の言い分を聞くと私のことを好きなら結婚するというふうに聞こえるんだけど…、俺は結婚じゃなくて名字を貰って名乗って欲しいだけなんだ!」
「ここは俺はずっと前から好きだったんだって告白するところでしょうがァ!!!」
友人がつっこむ。
「いや、俺は別に彼女が誰と結婚しようが構わないが…。ふむ、待てよ?別の誰かと結婚したらそいつの名字になる可能性があるか?……やっぱり結婚してくれ!君のこと今から好きになってみせる!」
「私の中身を好きになってくれる人と結婚するのでお断りします!」
今日もそう言い逃げして友人を置いて帰った。明日学校に行っても先輩と顔を合わせないよう気をつけよう。そう考えながら家まで歩いた。