1 序文(プロローグ)
このレポートは、古典力学の基礎というべきF=ma (F:力[単位:N] m:質量[単位:kg] a:加速度[単位:m/s²])の運動方程式と、遠心力を除いた重力の式F=GMm/r²(G:万有引力定数 M:物体1の質量[単位:kg] m:物体2の質量[単位:kg] r:物体間の距離[単位:km])をお互いに照らし合わせながら、あらゆる固定観念を排して考察し直したものになります。
ドイツの物理学者、アルベルト・アインシュタインは一般相対性理論の中でこの二つの力は同質のものと捉えることで新たな法則を見つけ出そうとしました。その根拠となる“物体の運動と重力は本質的に同質の力である”考え方を、『等価原理』といいます。
このレポートで考察されている現象については、一見すると荒唐無稽に思えるようなものであっても、(途中の『質量』が生じる仕組みの考察を除いて)すべて現実に観測された結果を正しいものとして引用していることはあらかじめお伝えしておきたいと思います。
これから行う思考実験は、物理学の要というべきものでありながら今まで深く考えることなく受け入れてきた現象に、これまで誰も行ってこなかった別の視点から焦点を当てることを目的としています。
仮にこの考察が全くの見当違いであったとしても、この試みが無駄になることは決してないだろうと信じています。
※この考察では図解を多用していますが、これらは本文校訂前に他サイト(※みてみん)に投稿したものを利用しています。なので番号の割り振りが修正前のままになっており、項が進むにつれて図解の番号と項数との間にズレが生じてしまっています。
混乱させてしまって申し訳ありませんが、ご理解いただきますようお願い致します。
1905年、ドイツの物理学者アルベルト・アインシュタインは『光速度不変の原理』という、かつて誰も思いつかなかった画期的な発想を取り入れてエネルギーと質量の関係を等式であらわした『相対論(特殊相対性理論)』を発表しました。その11年後の1916年にはさらに『等価原理』の概念を加えることで慣性形に限らず、すべての事象に適応範囲を拡大した重力場の基礎方程式である『アインシュタイン方程式』に発展させました。
そこでは『重力』と『時空』の関係性が一つの式(と係数を求める10本の方程式)で示されています。
アインシュタインが考えた『等価原理』とは、物体にかかる『重力』と『加速度』は「当事者にとって見分けがつかない」という考えに則ったものでした。
ただし、その式は『ミンコフスキー空間』や『リーマン幾何学』という専門的な知見が要求される非常に難解なものでした。(質量や加速度がもたらす“空間の歪み”の解を求めるのに、“曲率テンソル”という複雑さを伴う計算式を用いて割り出すという手法が採用されています)
ですが、こう考えてみてはどうでしょうか。
それは、二つの事例が「異なる現象なのに、見分けがつかない力が働いている」というわけではなく、「じつは二つとも全く同じ現象が起こっている」といったふうに認識を改めてみるのです。そのような考え方のもとにこれまでの常識にとわれることなく、意識と視点を切り替えてそれらの事象について今一度考察し直してみよう、というのがこの試みになります。
そのためには『質量』とは、『万有引力』とは、そして『重力』とは何なのかを解き明かす必要があるでしょう。
ここでは物理学者とは違う視点、すなわち“力”ではなく“空間”に着目して、その分析を主軸にした考察を進めていきたいと思います。
考察にあたって『四元数』や『八元数』といった比較的新しい専門的な分野の数学も顔を覗かせますが、図解を挟んだりと工夫を凝らすことで極力多くの人に理解しやすいようにしていこうと思っています。
今までにない試みですし、どうしても多少の分かりにくさが残ってしまう部分がありますが、そのあたりに関しては筆者の力不足のせいもあり、どうかご容赦ください。
それでは、少々長くなりますが最後までお付き合いいただければ幸いです。