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22 俺の先生


 本日三話、一話目です。



 今日は6月30日の土曜日、今日から夏休み! ……なんだけど。


「ヤバイですぅ……どうしましょおぉ……。」


 先生が微妙に青い顔。


「どうしました?」


「…………実家に帰ってこいって言われましたぁ。」


「どのくらい顔出してないんですか?」


「……五……年くらい……ですかねぇ?」


「そっちにはどのくらいいます?」


「………………分かんないですねぇ。ただ顔出せ話があるとだけ……手紙がきましたよぉ。」


「本当にそんな文面でしたか?」


「文面は話があるから帰宅しなさい、だけでしたねぇ。何言われるんでしょうかぁ?」


「俺、いります?」


「いや……どうでしょうねぇ? 多分お見合いじゃないと思うんですけどぉ……いても拗れる気もするんですよねぇ……。これ送られてきたやつですぅ。」


 うん…………。


「俺呼ばれてますね。」


「嘘ですよぉ!?」


 手紙二枚あるのよね。一枚はさっき言われたの、もう一枚は……なんと封筒に入りっぱなし。


「…………こんな初歩的なミスするなんてぇ……内容はなんですかぁ?」


「多分俺宛ですよ。覚悟があるなら君も来なさいって書いてあります。」


「…………こんな分かりにくい手紙寄越すなんてなんなんですかねぇ!?」


「先輩と会長はどうします?」


「一応行く。」


「行くべき……だろうな。」


「いえ、ご本人達の意見も大事なんですけど……先生、連れてっていいんですか?」


「あー……うーん…………えーっとぉ………………駄目だったらその時考えましょうかぁ。」


「じゃあ行きますか。遠いですか?」


「王都内にあるので日帰りできますよぉ。」


 そう言われたので俺は軽装で行くことにした。ラフではないけど堅苦しくない格好、もしもの時に逃げられるように。




 案内された家は豪華な貴族邸だった。


 ここで初めて明かされる家名。ヴェクターらしい。


 侯爵家らしいので……正直恐ろしい。何してるとこなの……?


 先生は結構あっさりした感じで門番と話している。俺は射殺さんばかりの目で睨まれているが先生は気付かない。


 あー……なるほど。これは招かれざると言うより罠だな。多分公開処刑が目的だ。


 でもなぁ……今更なんだよなぁ。バレたら死ぬのなんて覚悟してた。


 俺は先生に悟られぬよう屋敷の大きさを気にすることにして思考を無理矢理ねじ伏せた。


「大きいですね……。」


「そうですかぁ?」


 お嬢や……お嬢がおる……。


「許可はあるそうなので行きますよぉ。第三応接室に行くらしいですねぇ。」


「……分かりました。」


 俺は最大限警戒しながら先生の後ろを歩く。先輩達は更にその後ろだ。ちなみに俺と先輩達は姿代えの魔道具を使っている。


 屋敷に入って、また凄いなぁと思う。装飾とかもそうなのだが……玄関でも理解できるほど空気が重い。


 人の悪意とかじゃなくて……多分見られてる。一挙手一投足全て、内心も過去も未来も全身の全てを監視されてる。そういう纏わりつくような嫌なものを感じた。


 ただ先生に心配をかけたくないので気づかないふりをする。先生は死角だと感度が悪いので多少の隙ならやりよう次第で隠せる。


 そうしたものを考えないようにしながら俺達は進んでいき、やがて一つの部屋に入った。


「あら、いませんねぇ。」


「いますよ、多分先生のご両親ですね。そこの天井の裏。」


「……本当ですねぇ。なんで隠れてるんでしょうかぁ。私より先に気づくなんて緊張してるんですかぁ?」


「してますよ。……まずはこれ外しますか。」


 俺がまず姿変えの魔道具を外すと先生は天井に話しかける。


「……父様、母様。御手紙に従い帰還いたしました。ご用を伺いたく存じます。」


「用……か。分からないか?」


 すたっと降りてきた。格好いい。


 先生のお父様はどこを読める人だろうか? 心なら話の腰が折れるから嫌だな。


 でも……渋い人だなぁ。先生とは印象が違う。


 先生のお母様は……どうなんだろう? 元々身内の方なのかな? 若くていらっしゃる。多分先生はお母様に似たんだろうね。


 ひゃぁ……緊張する。


 でもあれだな。先生に教師をやめろって言うなら抵抗しないと。俺の口がどこまで回るかは分からないけど……。


 …………いや、口封じの可能性もあるのか。考えてなかったな。

 相手は侯爵家、俺は簡単に殺せるし情報操作も家の中なら簡単すぎる。


 やっべぇ、しくったかなぁ。まあいっか。二人なら逃がせる。俺が死んでも代わりはいるからな。


 ただ感情面はどうするか。誰がケアするんだろう? 先生か? 先生も多少は悲しんでくれたら嬉しいな。


「勝手に死ぬのやめてもらえますかぁ?」


「聞こえてました? 気にしないでください。あと地味に庇おうとするのやめてください。」


 先生は少し位置をずらして俺と先生の両親の間を遮るように立った。


「嫌ですねぇ。あと死なれたら普通に悲しいですよぉ。向こうにも筒抜けではぁ?」


「そうなんですか。それは失礼いたしました。どうぞお続けください。私は最後になさったほうが互いに良いと思います。」


「…………今日のメインは君だよ。」


 あ、俺? やっぱり?


 先生はとうとう生徒に手を出したのではなく俺が口説いたんですよ。悪い男なので。


「……全部今読んだ。」


 全部……って言うとどこまでだろう? 心と記憶は別物かな?


「感情を含め過去までだ。」


「不合格ですか……それはそうですかね。しかも先生にも時間はない。切り捨てられる感じでしょうか?」


「………………余所者と話すのは不便だ。」


「そう仰らずに。私が変わりますか?」


 どうしよっかなぁ……そりゃあ大事な娘預けるのにこの若造は不釣り合いだものなぁ。


「あとさらっと剣に手をかけるのやめましょうよ。」


「……気付かれたか。」


 かいち……セイラはいつでも反応できるように構えていたがそれは宥める。


「俺は常に殺されるに相応しいことをしていますよ。」


「次言ったら怒る。」


 事実ですけど……。ぶん殴られる覚悟とぶん殴る覚悟はとっくに固めてある。


 それにアクアも荒ぶってるな。アクアまで怒ってくれるのか。ありがとう。


「色々見ましたけどね……本当に受け入れてるんですね。」


「先生を? 当然です。」


「貴方は私達が怖くはないんですか?」


「怖くて足が震えそうです。私も死ぬのは怖いです。父に迷惑をかけるのも父を遺していくのも怖いです。」


 そして先生達が泣くのも怖い。俺の命は全て彼女達の笑顔に使いたい。それなのにこんな所で何もなせず犬死にするのは酷く恐ろしい。

 雰囲気が重くて逃げ出したいくらいだ。


「分かっているのにとぼけるんですか? 私達を前に?」


「なら分かるでしょう? 私の解答は自分の方が化け物だ……です。……痛いです。」


「怒った。」


「ちょっと、殴らないでください。セイラも一緒にやらないで……先生まで! 痛い、本当痛いんで、助けて……。」


 先輩には殴られ会長にはつねられ先生にはお腹をグリグリされる。痛い。


「分かりました、言い直しますから。……そんなことで恐ろしく思うほど人に隠したい記憶はありませんので。確かに恥ずかしい記憶の一つや二つありますけど、知られてしまうのであれば構いません。……俺はいつだって誇れないまでも顔向けできないことはしないようにしてます。」


「殺人を視野に入れる子が何を言う。」


「もしそれで地獄に落ちたならご先祖様に俺は大切な人を守り抜きましたって胸を張ります。はっ倒されそうですけど。……きっと父さんはよくやったって背中をバシバシやりますよ。もしくはやりすぎだって殴られますかね? でも否定だけはされないはずです。」


「そういう子だから私は君を守りたい。全然自分を大切にしないから私達が大切にする。守るし怒るし幸せにする。……だから、もしその障害が出てきたなら私が相手になる。私はプラトネス、姓は名乗らない。いつか後輩君の貰うから。実家嫌いだし。」


「恥ずかしいこと言いますね。」


「本当にそう思ってるから恥ずかしくない。私の家族は自分で決めたい。虐げるだけの存在を血縁だけで家族とは呼びたくない。」


 血縁だけの家族ね……。


「…………まあ私のすることは一つだから簡単だな。勝てばいい。私らしく。味方出来るかは別としてな。」


「裏切り者ですかぁ? ……結婚の意味は分かってます。分かってて、焦ったりもしましたけど……私はこれで最後にするつもりですよ。」


「先生勘違いしてると思いますけど多分家の利益とか度外視で普通に相応しくないから呼ばれたんだと思いますよ。養っていけるだけの金ないだろう、何股してるんだって。それに先生に生徒に手を出すとはって怒りたかったんじゃないですかね?」


「そんな人達ですかねぇ?」


「そう顔に書いてあります。察するに先生に幸せになってもらいたいから教師に反対したんですよ。でも一族のしがらみに捕らわれてほしくないって思いもあったのでは? だから突き放す形になったんです。きっと外の人と縁談組もうとしてたと思いますよ?」


「そんな人達ですかねぇ?」


「心配じゃないなら放っておきますし結婚させたいならしつこく呼び戻します。変なことをしようとしてるから叱ろうとしたのだと思いますよ? ……先生も言うほど嫌いじゃないんでしょう?」


「…………でも孫の話されますしぃ。」


「教師をしながらでも結婚は出来ます。その方が幸せだと思うのは貴族としておかしなことですか?」


「……馬鹿にされますよぉ? 心も読めない半端者ってぇ。」


「故に自由でしょう? 更に少しは察しろって事では?」


「………………そうなんですかぁ?」


「知らん。未熟者め。」


「ベルは好きに生きていいと思ったから野に放ったんですよ。言ったら気にするでしょう? 貴方は中途半端で唯一外と繋がれる。……まさか読めることを知ってても受け入れてくれる人を見つけるとは思いませんでしたけど。」


「先生を見てそんなことを気にするやつは肝が小さいんですよ。」


「……………………堂々と浮気するのはいいのか?」


「読み足りませんねぇ、私が押したんですよぉ。浮気じゃないですぅ。」


「三人までならって言った。」


「……私は何も言ってないがな。外されるよりはマシだろう。」


「みんな結構ぞっこんなんですよぉ。父様達なら彼の覚悟が見れるでしょぉう?」


「命に代えて幸せにする所存です。でもそうするためには生きないといけないって凄い矛盾です。……だから強くなるんですけどね。誰にも負けないくらいに。」


 そうなりたいなぁ……。


 俺は英雄になりたい。語り継がれたいわけではないけど誰も不幸にしないヒーローに。


「きっとなれますよぉ。」


「無理です、知ってます。でもその覚悟でやります。死ぬ気で死なないように全身全霊全力全開で駆け抜けます。あと数年は。」


「燃え尽きたらどうなるんですかぁ?」


「綺麗なお嫁さんと田舎の領主になります。その未来のために俺は頑張ってます。出来れば代官を立てて運営しつつ何かの役職で仕事をしたいです。お給料貰って仕事して週末に良いお酒を飲むんです。」


「渋い夢ですねぇ。」


「渋いの好きなんです。かっこよくないですか?」


「分かりませんねぇ。もっとこう、大きな夢とか目標とかないんですかぁ?」


「全ての悪意から大切な人を守りたいです。大きな夢でしょう? 果ては災害も食い止めたいですねぇ。重苦しいなぁ……。」


「この四人で災害対策とか不覚にも楽しそうですねぇ。」


「一人で美味しいものを食べても豪華なものを着ても遊んでも楽しくありません。共にいてくれる人がいるから楽しいんです。体験談ですよこれ。……だから、俺の夢は大切な人と過ごすことなんですよ。父の意思を継いで領主になり、隣に誰かがいる。それが好きな人ならそんなに幸せなことはありません。たまに贅沢したりして、笑って泣いて、怒って喧嘩もして、……それじゃあ足りませんか?」


「幸せそうな話ですねぇ。」


「一人よりは。」


「数いた方が楽しい……だろうな。」


 それに加えて……いや、これは下世話過ぎる。


 ただこうして抱き合うだけでもこんなに幸せなのだから。


「っと、惚気てる場合じゃないんですよ。とにかく俺が怖いのは先生を失うことです。心が読まれても怖くもなんともありません。普通に先生の方が困ってます。」


「だってえっちなことばっかり考えるじゃないですかぁ……。」


「ご両親の前ですよ。」


「もう二十八の立派な大人なんですから多少くらいは驚かれませんよぉ。」


 えっちなのはしかたない。先生がエロいんだもの。


 俺だって我慢してる。本当、その点に関してだけは俺は自分を褒められる。よく我慢してるよ俺。


 こんなベタベタくっつかれて親愛を示されて。なんなら襲っていいとまで言われて。

 据え膳食わぬはなんとやらでいただきまーす……ってするの我慢してるんだから。


 だって今したら結婚できなくなるかもしれない。一緒にいられなくなるかもしれない。それは嫌だ。


 避妊だって確実じゃない。そもそも充実してない。


 だから絶対に駄目だ。でも興奮してしまうのは男の性なんですよ。


「恥ずかしくないんですかぁ?」


「興奮しないなら男じゃない。俺は伝えても構わない間柄だと思って……というかどうせバレるなら貴方は魅力的だと声を高らかに言いたい。貴方は魅力的だ。」


「…………両親の前ですよぉ。」


「本当ですよ。イチャついてる場合じゃないんですよ。」


「自覚はあるんですねぇ。」


 そりゃそうだ。


「というかもうくっつきたいだけなら攻撃しないでください。」


「バレた。じゃあやめる。」


 全く……緊迫してた空気がぶっ壊されてしまった。もしかしてそれを狙って……? この三人だとあり得るから分からない。ただの天然の可能性もある。


「……覚悟がなければ来ませんよ。俺はこの場で取り押さえられる可能性も考えてきました。でも……しないでしょう。話し合いに呼んだと思ったから総出で挨拶に来ました。娘さんは俺が必ず幸せにします。」


「十三も離れているのよ?」


 今年で二十九本当にアラサー。


「先生を笑顔で送れるよう努力します。努力努力と計画性の欠片もありませんが……でも、それしかできません。俺は彼女達と生きていくつもりです。そう伝えに来ました。……お話をお伺いしましょう。」


 不思議なものだ。喧嘩売るのに躊躇がなくなった。喧嘩売るのは不味いんだけどなぁ……こんな好戦的な性格じゃなかったはずだけど。


 まあ先生次第だよ。先生が嫌なら俺は黙って見守るしまだ選んでもらえるほど凄くもない。


 13も離れてると遺される気もするけど……まあ一人で影で泣くからいい。

 折角死角に動いたんですからしぃーですよ?


「…………こんな子どこで見つけたんですか?」


「私の生徒ですぅ。」


「先生の生徒です。先生が大好きです。」


「……言葉にされたのは初めてですねぇ。」


「初めてじゃないです。」


 個人に対しては初めてかもしれない。でも伝えてるよ? 皆好きって。


 さっきのもライクだ。ラブは伝えるの恥ずかしいからいざというときしか言わない。


「貴方は後悔しませんか?」


「しないと言い切れるほど純情でもないですかねぇ。」


「先生酷い。そこは嘘でもしないって言うものでは?」


「人の話は最後まで聞くものですよぉ? 嘘はバレますから言いませぇん。……でも、それでも一緒にいたいと思いますよぉ。二十年もしたら私はお婆ちゃんですけどねぇ。」


「大丈夫です、先生のお母様も凄く若いので。ある場所ある時何も知らずにお付き合いする方もいなければナンパしたかもしれません。」


 おかしいよね。先生の年齢+二十だと五十近いはずなんだけど……どう見ても、二十代……行ってて三十半ばの妙齢の女性にしか見えない。


 先生のが綺麗だけど。


「きっと三十年四十年先でも先生はお綺麗でしょうね。むしろもっと綺麗になるかもしれません。そうしたら口説かなかったり袖にした男達をそれ見たことかと馬鹿にしてやりますよ。」


「………………私には言ってくれないよね?」


「先輩は十代じゃないですか。」


 二十五くらいで急に老けるかもしれない。そうなったらその時落ち込むと思うから言わない。


 きっと老けようと綺麗だけどね。俺の問題じゃないからね。

 彼女が老けたと落ち込むなら綺麗だと返すのが俺の仕事だ。


「……惚気は良いんですよ。」


「でも向こうも毒気抜けたみたいですよぉ。私も本気ですからねぇ。」


「言いたいことはあるけれど……いいでしょう。私達の内心も正解しましたからね。貴方はいつ気付くかと思っていましたがついぞ気付きませんでしたね。情けない。」


「母様達よりも心は…………っていうのは言い訳ですねぇ。……結局一番気にしてたのは自分ですかぁ。」


「貴方を後継には出来ませんでしたけれど、だからこそ貴方は自由を得たのです。中にはそれを羨む人もいますけれど私達はそれでいいと思ってました。誰と結婚しても勘当したの一点張りで、普通の人として生きていくことが望みならそうすればいいと思ってました。……でも自分の生徒と良い仲になってしかも意中の女性が複数いて、更に貴族とくれば呼び出さないわけにもいかないでしょう。」


「それは分かりますけれどぉ。」


「……いい人を見つけましたね。」


「見つけてくれたのは彼ですよぉ。」


 あれ、不合格じゃない……?


「…………妻が気に入ったらしい。私は気に入らない。」


 若いって言ったからかな? そんなことで釣られたら駄目ですよ?


「妻は心は読めん。」


 なら過去視かな。未来な感じじゃなかったし透視とか遠視とかでもないだろう。


「……勘が良すぎて不安だ。」


「あら、バレたんですか? そこまでは話してないですよね?」


「私も知りませんからねぇ。」


 え、先生知らないの? 二十年以上娘やってたのに?


「掟として聞くのは駄目なんですよぉ。推測とか考えてませんでしたねぇ。」


「天然だ……。」


「誰が天然ボケですかぁ。」


「天然さんいっぱいいるじゃないですか。お嬢様と話すのに大変ですよ。俺は豪邸に呑まれていたのに先生達はちっとも動揺しないんですから。」


「実家はもっと大きい。」


「城を見たことあると……な。」


 お嬢め。


「俺の実家はこの半分以下じゃないですかね?」


「離れではなく?」


「そんな洒落たものはありません。維持するお金も人もいません。」


「そこはメイドに…………使用人二人って、全部で?」


「その通りです。我が家は常に財政危機なんですよ。俺の代で何処まで盛り立てられるか……。先輩達と俺では住む世界が違うんです。俺がどう金策するか常に悩んでる理由の一端をそこで感じていただけると幸いです。」


「なら凄い人材とコネを引っ張ってきたね。」


「そうですよ、それも学園に来た理由の一つです。まさかの繋がりが多数ありますけどね。」


「私とか?」


「そうです。あといつも静かなセイラもです。」


「……さっきから名前で呼ぶんだな。」


「先輩はいっぱいいますがセイラは一発じゃないですか。一応です。」


「……照れるな。」


「照れないでください、恥ずかしくなります。」


「……私は領地の発展には役に立たないぞ。」


「まさか。いるだけで効果があるのがセイラです。」


「気休めは……。」


「これに関しては言いません。貴方はいるだけで効果があります。詳細は伏せますけど。」


 何するにしても効果的だよ。商売、労働、その他。


 セイラは本当に人を動かすのが上手い。多分俺より上手く指示が出せる。


 むしろ俺じゃなくてセイラに領地を運営してほしいくらいだ。


 自分の仕事くらいはするけど……代官を立てるならセイラの見繕った人かセイラ本人じゃないと安心できない。


 むしろセイラが選んだ人間ならどんな経歴でどんな姿をしていても信頼できる。


「……相変わらずベタ惚れですねぇ。」


「なんだ、何を思われたのだ?」


「大丈夫ですよぉ、ちゃんと仕事は回ってくるみたいですからぁ。」


 本人は先生になるから無理か。良い感じの生徒見つけてくれないかなぁ……。


 俺が卒業する頃にどうなるかは決まるけどセイラの人選なら間違いないしセイラの指示ならいい仕事をすると知っている。


 俺だってセイラの指揮下に入れば十全なパフォーマンスを発揮できる。実際、今世でも経験した。


 …………………………あ。前世。


「しぃー!」


「…………私達は能力で知り得たことを他言しない。その手の仕事も受けないし悪用することもない。もし悪用するものが現れたら本家当主である私が始末する。だから血筋と血縁は把握している。よって他所から親戚に入るなら試験を課す。」


「ならよかった。……先生ヤバイじゃないですか。」


 バラしたぞこの人。同郷のこと。


「悪用はしてませんよぉ、むしろ必要だからしたまでですぅ。私達は悪用はしませんがそれが国家に関係する事柄である場合ある程度の自由が認められてるんですよぉ。もし自分達で対処不可なら王家に密告しますしねぇ。」


「じゃあ殿下はご存じで?」


「知らないでしょうねぇ。国王陛下しか知らないはずですよぉ。なので確定したらぼかして報告しますぅ。裏と表が完全に操れる君は怖いですねぇ。」


「そんな悪の親玉みたいな……。」


「でも事実でしょぉ?」


「……この件に関してはその流れらしいですね。何よりセイラが結婚させられてしまう。」


「………………無いぞ。」


「はい?」


「サンドブルム令嬢が強制的に婚約させられることなどない。詳細は自分で調べろ。」


「無いでしょうね。私からもお墨付きを出しますし……貴方なら許可されるのではないでしょうか。」


「私はそこまでは断定できない。何を見た?」


「言いませんよ。」


「ならいい。……ミラベル。」


「……はい、父様。」


「今日より再びヴェクターを名乗りなさい。」


「ありがとうございます。」


 あれ、先生って本当に勘当されてたの?


「家名を名乗ることを禁止されてましたねぇ。……本当に守られてたのかもしれないですねぇ。侯爵家の名前を持っていれば自由が利きませんからぁ。」


「お前が結婚したら私も現役を退く。全部見て、それでも愛したなら私は口をつぐもう。……気に入らないが。」


「私は叱りたいので残ってくださいね、ベル。」


「…………分かりましたぁ。」


 こうして先生がちっちゃくなってると本当に同年代か、年下にも見える。もう二十八なのに。


 いくつになっても親は偉大だな。俺もそうなれるだろうか。


「私は気に入らない。」


「貴方もいつまでも娘離れできなくてどうしますか。」


「…………気に入らない。私はまだベルにしてやれることがあるのに。」


「それを望まれてないんですよ。ベルだってもう大人ですよ?」


「子供はいつまでだって子供だ。私は甘やかしてやれなかった。」


「そう決めていたじゃないですか。」


「…………私だってもっとベルといたかった。」


「今更ですよ。今日は残らせますからそれでちゃんと満足してください。」


「………………今からもう一人は……無理か。」


「諦めてくださいね。もし作ったとしても今の跡継ぎや子育ての話だってあるでしょう。」


「…………現役を離れたら孤児院にでも出向かないか?」


「分かりましたからしっかりしてください。」


 ただの子煩悩じゃん。


「……親の心子知らず……って本当だったんですねぇ。全然気づきませんでしたぁ。」


「今気付けて良かったですね。これからはちゃんと家に帰って話をして、親孝行してください。」


 俺は孝行出来なかったからなぁ……じいちゃんとばあちゃんは孫にまで先立たれて落ち込んではいないだろうか?

 もう歳だから気落ちしてしまったらそのまま……だってありえる。元気でいてほしいなぁ……。


 こっちの父さんは元気だろうか。一人で安酒でも飲んで気落ちしてないだろうか。


 …………帰るべきかな。でも遠いし……遠いしなぁ……。


 夏は忙しいから帰れない。手紙は送ったけど……。


「……こういう子なんですよぉ。」


「失礼ですね。親孝行出来ないと後悔すると思ったから言うんです。先立たれても自分が先立ってももう孝行は出来ないんですから。」


「君いくつですかぁ。」


「十五です。累計二十七です。でも人生経験はそれなりです。」


「…………そうですねぇ。君もするんですよぉ?」


 いっぱい働いて楽させます。俺が領主になれば父さんは自由に動けます。

 俺は先生達といますから寂しい思いはさせるかもしれませんが結婚しなければ心配させるだけです。


「俺の孝行はこれからです。」


「会いに行けばいいじゃないですかぁ。」


「だって時間が……。」


「早馬車なら三日ですよぉ。」


「絶対高いから俺じゃあとても……父さんには落ち着いたら会います。」


「会えば? 私も会いたい。」


「そうだな。会えるうちに会うといい。」


「用意ならする。というかこの間私のやつに乗ったよね?」


「…………あれ先輩の所有だったんですか……でも私用で借りるのも……。」


「……私は会いたい家族がいないけどいるなら会えばいい。」


 …………ずるいなぁ。


「いつもは君がやる。気にするとは思ったけどこうでも言わないと行かない。どうせ移動で使うんだからついで。御者の人も二ヵ月分予約してある。学園の専属だから中々手間取ったけどなんとか長期でお願いできた。この間の人。」


 ロレンズのおっちゃん? おっちゃんと会うならおっちゃんにも言われそうだなぁ……。


「…………何もないですしお金もないですし物もないところですけど……一緒に来てくれますか?」


「行きたいから行く。」


「私も後輩に頼りっぱなしで情けないところだが行くぞ。」


「行きますよぉ。」


「会長は家には……。」


「今年は帰らない。縁談の可能性もあるしなるべく縛られたくはない。冬に帰るよ。」


「……では行きましょうか。」


「でも今夜は泊まりですよ?」


「…………俺達も……ですか?」


「そうですよ?」


 …………えぇー?






 その後、本当に泊まることにされた。


 俺はまず昼食のタイミングで驚かされる。ご飯がいっぱいあった。


 次、しばらく空いてお茶。茶葉が高い、茶器も高い、お茶請けも高い。

 先輩が置いているお茶も高いが茶器は扱うのに震えないくらいの品だ。ただこれは震える。


 そこで色々話した。先生の過去とか。


 先生は真っ赤になって止めようとしたが止まるはずがない。俺とお父さんは少しだけ仲良くなった。


 次に早めの夕食。結構話してるだけで時間が経ったのだ。


 これまた豪華だった。昼は少し緊張していたが今度はちゃんと味わえた。美味しかった。


 そこで次期当主とも会った。

 彼は先生の従兄弟らしい。めっちゃ睨まれた。先生の事が好きなようだ。見ればわかる。


 でも先生は気づいてない。鈍いんだな……だからどくしnげふんげふん。


 そして浴室に案内された。風呂が超広い、暖かい。先輩の残り湯とかキモいこと考えなくていいから気が休まった。


 ……ただ、それも最初だけだった。風呂に入ってくる人がいたからだ。

 入ってきた人を見て俺は慌てた。


 そこにいたのは渋い感じのフルチン男性……つまり先生のお父様だった。先生本人だったらヤバかった。


「失礼する。」


「いえ、どうぞ。貴方のお宅です。」


 一人黙って体を洗い始めたので背中でも流そうかと申し出たらノールックで断られた。頭から洗ってるからノールックなのは当たり前だった。


 やがて洗い終わって湯に浸かる。……出た方がいいのかな?


 俺がそわそわしているとやがて彼は独り言のように話し出した。


「…………ベルはな。」


「はい!」


「男を見る目がなかった。」


 …………えっと……?


「一応動向は監視していた。妻には過保護だと言われたが昔から抜けたところのある娘が私は心配で堪らなかった。」


「…………そう……ですか。」


「初めての告白は三十も年の離れた相手だ、心配したくもなる。それからもあいつが惚れた男はろくな男がいなかった。最低限の身持ちはあったようだから介入はしなかったが案の定捨てられて泣いていた。私にはその男達にほんの少し嫌がらせをするくらいしか出来なかった。」


 グッジョブ。


「ありがとう。私も流石に心配になったから結婚願望があるなら縁談を組もうと思った。だから聞いた。"結婚はするのか?"と。怒鳴られた。」


「……孫はまだかと聞かれたと言っていましたが……。」


「……そう聞こえていたか。確かに近いことも言ったな。だがそれは誰でもいいから身を固めろと言う意味ではなかった。」


「先生は時折天然ですよね。」


 そんなとこも可愛いのだからどうしようもない。


「そうだな。……だが入った情報は時折男子生徒を見る目が怖いと言うものだった。私は頭を抱えたよ。」


「本当に先生は……。」


「…………そんな中、一つの情報を得た。ベルがその他女子二名と男子生徒と思われる人間と共にいるのを見られたと言うのだ。」


「…………それが俺ですね。」


「そうだ。またろくでもない男に引っ掛かったと思った。連名された名前は聞き覚えのあるものだったがまさか本物だとは思ってなかったよ。……だから、今日は叱るために呼び寄せた。そんなに結婚したいなら縁談を組むから会うだけ会ってみろと言うつもりだった。」


「……当然ですね。」


「だが本当に珍しいことに面白い男を連れてきた。」


「面白い……ですか?」


「君が選んだのは綱渡りの道だ。娘を共に歩かせていいとは思えない。……のだが、綱を橋にするような女性達も一緒に来た。……貴族的に見れば、ベルは然程魅力的では無いだろう? 特に……プラトネス嬢と比べてしまえば。」


「……そうですね。」


 俺が正直に答えると少し沈黙が降りて不安になる。


「……君はどうなりたい?」


 やがてボソリと問いかけられる。俺は少しだけ考えて答えた。


「色々纏めて……貴方には良き夫となりたいと返しましょう。捨てる覚悟がない俺だからこそ彼女を幸せにしたいと思います。……貴方はいいんですか? こんな得体の知れない男に大切な娘を預けても。」


「私もいつまでもいない。ベルも若くはない。……きっと次は無いんだ。次になってしまったらベルは心から笑えなくなってしまう。そういう子だ。」


「だからこそ俺が幸せにします。宛はありますよ。」


「分かっている。……娘を頼めるか? 泣かせたら承知しない。気に入らないが、頼めるのは君しかいないと思う。」


「……俺はまだ答えられませんよ。まだ生徒でしかない。……三年後、出直してきます。答えはその時でも構いませんか?」


「今の意気込みでいい。」


「……必ず幸せにします。今出来ない分、卒業したら嫌になるほど大切にします。そうできるように頑張ります。俺は誰も不幸にしたくない。だからそのために誰にも負けないくらい強い男になります。」


「……そうか。いい年して不安の尽きない娘だが守ってやってくれ。」


「えぇ、必ず。……先生は先生してるときが一番綺麗で可愛いんですよ。今度見てあげてください。きっと褒められたら凄く喜びます。」


「……いつかな。…………娘のどこが好きだ?」


「……俺の出会いは特殊ですよ? もしかしたら的外れなこと言うかもしれません。」


「聞かせてくれ。」


 俺達はそうしてまた先生の話で盛り上がり……二人揃ってちょっとだけ逆上せた。




 そして客室と案内された先でフラグを立てていたことに気付いた。

 先生じゃなくて良かったなんて思うから。


「…………夜這いですかぁ?」


「違います、嵌められました。」


「……なるほどぉ。構わないから今夜一発決めろってことですかぁ。」


「あの人達は分かってないですね。先生が先生をやめることになったら先生の一番綺麗な姿は二度と見られないのに。」


「…………ちょっと寂しかったりしますけどねぇ。」


 俺は黙って後退する。少し下がれば壁の関係で見えなくなる。


「……来てくださいよぉ。」


「嫌です。」


 ぜっっっっったいに、嫌だ。


「…………我慢できませんかぁ?」


「何をですか?」


「襲うのをですよぉ。下がお盛んなのは見えましたぁ。それだけでちょっと襲いたくなるくらいには嬉しいんですけどぉ、お喋りしたいんですよぉ。隠していいので話しましょぉ? 話しているうちに落ち着いたりしませんかぁ?」


「…………分かりましたよ。」


 俺は前屈みと言うなんとも泣きたくなるような格好で先生の近くにいって座った。


 先生は……寝巻きだからか露出の高い服装で、綺麗な黒髪が水に濡れて煌めいていて、少し上気した頬に香水の匂いがして……頭がクラクラするほど、色気に溢れていた。


 一目で体の自由は奪われ一部が主張し出したのだ。恥ずかしい。


「……こっち見てくださいよぉ。」


「嫌です。襲っちゃいます。今でもギリなのに。不義理にもなりますから勘弁してください。」


「仕方ないですねぇ。」


 先生は諦めてくれたようだ。とりあえず落ち着くまで許してほしい。


「…………ありがとうございますぅ。」


「何にですか?」


「……私と出会ってくれてぇ。」


「恥ずかしいことを言いますね。」


「本気なんですよぉ。……今日はお酒を入れなくて正解でしたねぇ。少しでも入ってたら襲ってましたぁ。」


「逆じゃないんですか。」


「……本当に嬉しかったんですよぉ。両親とも仲直りできましたぁ。その上お許しが出ててそんなに可愛くて理性がほんの少しでも緩んでたならぁ……嫌がってないんだから襲っちゃえってなりますねぇ。」


「……多分そうなってたら俺が改めて手を出すでしょうね。二人に土下座して。……で、遠くないうちに二人にも手をつけちゃうんです。傷物にしてしまったら縁談なんて来ないだろう……って。分かってますよ、言い訳ならいくらでも思い付きます。手を出していい理由も思い付けます。……でもね、それじゃあ片想いなんです。」


「片想い……ですかぁ?」


「完全な結末に辿り着けません。ゲーム風な表現になりますけどゲームとは関係なく……貴方達の選択肢が俺しかなくなってしまいます。どうせならちゃんと俺が魅力的になって、家も納得させる形で正式に婚約、結婚する。そのあとに……と思うんです。貴方達をメロメロにして、俺以外見えなくして、誰にも文句を言われない状態で最高の思い出にしたいんです。……雰囲気的には今襲ってもきっといい思い出には出来ると思います。……結局はエゴのヘタレなんですよ。情けない。」


「……嬉しいですけどねぇ? そこまで思ってもらえるのはぁ。」


「なら俺を甘やかさないでください。結ばれてしまえば妥協してしまいます。先輩が前に自分達が蹴るから安心して成長しろって言いました。そのくらいでいいんです。一度甘えてしまえばもう二度と恐怖と戦えなくなります。…………俺だって頭おかしいあれと戦うなんて怖いんですよ。知ってても怖い。知ってるから怖い。……でも、俺が不安がったら先生達はもっと不安じゃないですか。だから俺は笑って大丈夫って言わないといけないんです。だから……甘やかさないでください。そして全部終わったら、その時褒めてください。」


「…………男の子ですねぇ。」


「格好いい男を目指してますから。」


「既に格好いいですよぉ。」


「お世辞はいいです。もっと、もっと努力しないと……誰にも追い付けない。一人で置いていかれて何も出来ないのなんて死んでも御免です。」


「…………頑張りすぎても、潰れちゃいますからぁ。このくらいは、いいんじゃないですかぁ?」


 そう言うと背中に柔らかい感触と、いい匂いを強く感じるようになる。駄目なんだってば。


「……ちょっとくらい良いじゃないですかぁ。彼女達だってするんですからぁ。」


「……でも。」


「緊張しないで、落ち着いて。身を委ねるんですよ。そうするとちょっとずつ興奮が落ち着きますから。仕方ありませんからそれまでは私が緊張しますよ。普通に話すと貴方には甘すぎるようですからね。深呼吸してください。私をもっと側に感じて。いつでも手が伸ばせるなら今じゃなくても良いでしょう? 焦れば焦るほど、手が届かないと思えば余計に、今射止めようと興奮するんです。だから、落ち着いて。いつか捨てられるかもなんて心配はしなくて良いんです。貴方は少し人より心配事が多いのかもしれません。でも安心してください。残り二人は知りませんけど私の条件は叩き折ったでしょう? もう貴方以外に靡くことはありませんよ。誰か一人を心に決めてもふらふらするほどお尻は軽くないんです。貴方は私に示してくれた、だから私も返します。……好きですよ、ロレンス君。貴方にならいつ抱かれたって構わない。だから、今しばらくおあずけできますね?」


 ゆっくり、心拍を落ち着けるように語りかけられると俺の一部はゆっくりと元に戻る。


 …………先生すげぇ……こんなエロいのに収まったよ。


「不安は興奮を呼ぶんですよぉ。私だって不安に思えば抱いてほしくなりますぅ。体で繋ぎ止めたくなる……ですねぇ。……私は今、満ち足りてますけどねぇ。」


「先生の幸せは俺より器が小さいですね。」


「そうでもないですよぉ? 君が大きすぎるから満ちてもはみ出るだけですよぉ。……だってもう二十八で、二人ほど若くなくて、頭もよくなくて二人のが綺麗で……でも、選んでくれて、こうして両親とも話せて。本当に、溢れるほどに嬉しいんですからねぇ? ……約束、果たしてないのに結婚の話をしたじゃないですかぁ。そっちの動機はもう、君を助けたいからに変わっちゃったんですよぉ。」


「……先生って良い女ですよね。」


「でしょぉ? 私の良い女論は正しいって事ですねぇ。君が釣れましたぁ。」


「……俺、今世では強くて格好いい人が好きなんです。先生は前世の好みが強いですけど……やっぱり、俺が好きになるだけあって格好いいですね。」


「そういうこと言うとぉ、先生嬉しくなっちゃいますからぁ。君も自重するんですよぉ? きっと君とはスイッチが違いますからねぇ? ちなみに今はオンですけど大人なので我慢できますぅ。」


 最後の情報付け足さなければ格好良かったんだけどなぁ。


「……先生も待ってますからねぇ。」


「走って迎えにいきますから三年待ってください。」


「待ちますよぉ。」


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