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21 だと思った?


 本日三話目です。


21 だと思った?


 パーティーからこっち、俺の周辺が少し変わった。


 校舎に入れば露骨に悪口を言われるようになった。前までは気にならないくらいだったのに明らかに表面化した。


 一方、教室に入ると寄ってくる人間もいる。


「おはようございます、セルヴァー様。」


「おはようございます。」


 何か知らないどこかの伯爵の息子さんだ。名前は確かラシエル家とか言ったかな?


 こんな感じで話しかけてくる人が増えた。ただ全員目が打算に塗れているので適度な距離を置いている。


 印象に残ってるのは……委員長かな? 眼鏡の女性だ。雰囲気が委員長っぽいからそう呼んでる。


 積極的に人と関わる感じじゃないのに話しかけてきたから少し覚えてる。あとは名前を覚えてるかなぁくらい。


 それと……寄ってくるのはこういう輩ばかりでもない。


「やあ?」


「おはようございます、殿下。今日もお早いですね。」


「早く来ないと話す時間が無くなるからね。君はいつも同じ時間だ。」


「起床時間が早いですからね。余裕をもって行動すると同じくらいの時間になります。」


「そうか。……もう6月だな、早いような遅いような不思議な気持ちだ。」


「そうですね。もうそろそろ夏服に移行する時期ですか。」


「確か……来週か?」


「そうなります。」


 来週の6月11日が夏服開始日だ。今日が6月8日の金曜なので準備しておかないと。


「もう夏か……時に夏休みは時間があるか?」


「夏ですか……色々と予定はありますが帰郷の予定はありませんね。何故ですか?」


「君をうちのお茶会に招待したい。」


 は? 今何て言った?


「君をうちのお茶会に招待したい。」


「…………何故二度仰られたのですか?」


「呆けた顔をしていたからだ。日付は8月6日を予定しているが……大丈夫か?」


 8月なら……大丈夫か。7月中に遠くを終わらせるつもりだったから……。


「何故私を?」


「なに、まだハウストルスとセルヴェーラ嬢くらいしか誘っていない、気兼ねしないでくれ。」


 返事になってない……。


「…………セルスター嬢がいらっしゃるなら私も参加させていただきます。」


「大丈夫、誘うつもりだ。」


 俺の言葉に蚊帳の外だったメインヒロインちゃんがバッと反応しこちらを向き、王子の声にまた反応して王子を見た。とても機敏な動きだ。


「あとはアソエル殿とか……。」


「問題ない、声をかけるつもりだ。サンドブルム会長やプラトネス先輩にも声をかけようと思っている。少し前に歓迎を受けたばかりだから個人的だがお礼をしたい。」


 マージデースカー?


 番人は……引きずり出せないか。揃わないなぁ……。


「同学年は……。」


「私が誘おうと思っていたのは以上だ。あと誰かいるか、ハウストルス?」


「……私は思い至りません。」


「セルヴェーラ嬢は?」


「私も特には思い至りませんわ。」


「ならばいないだろう。」


 メインヒロインちゃんが口をパクパクさせている。

 ……な、ん、て、こ、と、い、っ、て、く、れ、た、ん、で、す、か……かな?


 いやぁ、面白いなぁ。表情にあまり出ないけど本当は感情豊かな子だから。


 でも君、王子と結構仲いいでしょう? アソエルは生け贄だけど。


 にしても俺は場違いだ。木になりたい。貴方達のお茶会を眺めていたい。


「夜会に招待したいところだが生憎と君の父上が王都にいないからこちらは断念した。」


「呼び寄せましょうか……?」


「いや、大丈夫だ。遠いからな。」


 馬車で二週間かかったからね。ぱっからぱっからのんびり来たんだけど遠いよね。


 夏かぁ……夏と言えば海、海と言えば水着だけど……そんな色気のあるイベントはないなぁ。


 再来年……いや、卒業してた気がするからその翌年か? そのくらいに海のイベントあったかな? 確か海のある国に行くイベントがあった気がする。

 メインじゃないし別のイベントが優先されて起こらないことも多いからうろ覚えだ。


 イベントと言えばGW前後に抗争もあるな。来年だけど。


「ご配慮痛み入ります。」


「君の礼服姿は素敵だったよ。」


「殿下には遠く及びません。」


「次のパーティーは再来年だろうか? 今から楽しみだよ。」


 あー……卒業記念ね。仮面舞踏会。


「はい、そこまでですねぇ。座ってくださいよぉ。君達はいっつも立ってる悪い子達ですねぇ。」


「まだチャイム鳴ってません。」


「あと二十秒で鳴りますよぉ。今日はたまたま早く着いちゃったんですよねぇ。」


 時計見てないのに……見てても秒針無いのに……測ったら本当に二十秒で鳴ったよ……。


 先生のこの正確な時間管理能力はどうやってるんだろうか……?

 もしかして時の魔術師なんだろうか? だからいつまでもちっちゃくて若くて綺麗なままなのだろうか?




 最近、授業も変わった。錬金術は取れないけれど魔術基礎は取れるようになった。


 何故ならば先輩の魔力操作の指導と精霊……アクアに手伝ってもらって魔力の制御が少し上達したからだ。

 それにより、なんと魔術文字が書けるようになったのだ。まだへにゃへにゃしててきったない字だが書けるだけマシだ。


 あとは剣術を基礎鍛練の時間だけ取って魔法学も平行して地理やったり経済やったり……そんな日々だ。


 大体取る時間が固まってきてこの日のこの時間は空くというのが分かるようになってきた。

 今は丁度空いていて図書室にいる。


 基礎鍛練は毎日最低でも一時間分はあるから時間によっては監督の教師が変わるがやることは変わらず走ったり筋トレしたりだ。


 休日は一人で近場のダンジョン行ってレベル上げたり。


 初戦闘イベントはレベル1でもクリア出来るぬる設計だが俺はレベルカンストさせる勢いで上げなければいけないので一人黙々と魔物を倒す。


 先輩には買い出しと言っているし実際買い出しして帰るが多分気付かれてるだろう。隠せないと恥ずかしいだけだ。


 そういう感じで授業受けたり運動したり図書室行ったり執行部に駆り出されたり。そんな毎日だ。


 客観的に聞くと真面目そのものみたいなところがあるが俺としては危機感が足りないんじゃないかと思ってる。

 その辺は少しずつ詰めていくつもりだ。


 そうそう、図書室と言えば。ほんの少しだけ番人さんと仲良くなった。ほんの少しだけ。


 具体的に言うと目が合うようになった。多分図書室に通って静かにしてるからいい人くらいには思われてるんだろう。


 彼は……目が合う、近づくことができる、話せると普通に思えることが出来るようになるのが好感度だ。


 でも多分これ以上は無理だと思う。彼は過去を乗り越える人だから。そうしないとずっとここにいる。

 その乗り越える方法が俺じゃあ満たせない。俺は彼の心の傷を癒せない。


 心の傷まで癒せるのは……きっと世界にただ一人。


 だから俺はここでは彼と接触しない。俺はきっかけにはなれない。


 もし……もしも、俺に接触してきたら。その時は全力でどうにかできないか考える。でもその機会は与えられないだろう。


 俺は今日も図書室へ行く。何か目的があるわけでもないが今日も行って本を読んだり勉強したり。


「こんにちはぁ。何物思いに耽ってるんですかぁ?」


「……先生、しぃー。」


「少しならいいんじゃないですかねぇ? ……何読んでるのかと思えばぁ。休憩すればいいのにぃ。」


「あぁ、これですか。休憩してますよ。趣味でやる勉強は苦ではないので。」


「そうですかぁ、感心ですねぇ。」


 俺が持ってたのは魔術基礎の本。教科書ではないが色々書いてあって面白い。

 そもそも錬金術や魔術、魔法なんかは八割趣味だ。


 好きこそ物の上手なれって言葉もあるし同学年に知識では劣りたくないかな。


「先生は何を?」


「暇だったので読書にぃ。面白い本ありますかぁ?」


「先月入った竜騎士と姫巫女って小説が結構面白かったです。」


「…………小説とか読むんですねぇ?」


「目につきまして。集中切れてたので気分転換に。」


 物語だけど面白いのもあるもんだねぇ。


「なら読んでみますかぁ。」


「場所が変わっていなければそこの奥の棚の上から二段目の左から十冊目ですかね。」


「……覚えてるんですかぁ?」


「読んだのがついこの間なので。変わってたら分かりません。」


「結構記憶力いいですねぇ。」


「そうですね、悪い方じゃないです。」


「……あんまり話しててもあれですねぇ、ではぁ。」


 先生はそう言って去っていった。……ごめんなさいね、番人さん。煩くしちゃって。

 分かってますから凝視しないでください。


 俺は軽く頭を下げてから読書に戻った。


 何か方法はあるかな……?




 パーティーが終わればすぐ夏休みだと思った? 残念、期末でした!


 中間は無いけど期末はあるので一応復習とか記憶をほじくり返したりだとか色々する。


 たまに会長に見てもらいながらとはいえ難しいところも特になく、俺は心して試験を迎えた。


 特に緊張もせず、カンニング野郎がと罵倒されながらいつものように問題を解く。最近は授業中でも罵倒されるから少し慣れた。


 なお、図書室では本格的に嫌がらせされそうにもなるが番人さんが助けてくれるので被害はない。


 そのせいで俺は黒魔術を使うことにされたが図書室で暴れようとするから怒られるんだ。


 選択は調薬にした。一応ね?


 数日後に結果が出た。結果は……。


「…………また、勝てませんでしたね。流石です、ロレンス。」


「五点差じゃないですか、アソエル。」


「その差が遠いんですよ。」


 489点と494点で俺の勝ち。今回も俺が首席だ。


「……また、三位ですか。この壁は分厚そうですね。あと一歩なのに……。」


 メインヒロインちゃん、482点。でも高いよ?


「私も中々三席にすらなれない。……ところで君達名前で呼びあってなかったかな?」


 ハロルド、478点。高いよ? 俺怖いもん。


「…………6位……か。」


「今度は私の勝ちですわね。」


 お嬢、475点。坊、474点。きっと悔しいだろうな。

 でもこの二人は入試でも僅差だったらしいしひっくり返ってまた切磋琢磨するんだろう。抜かれるの怖い。


 転生者ちゃんは24位、ギリギリ残留圏内。以外と勉強出来るのね。

 委員長ちゃんは……8位? やっぱ委員長ちゃんだ。7位は……ああ、一応知ってた。

 けど詳しくは知らない。反俺派。


 そんな具合で俺はギリギリ首位を防衛した。次は分からないな……。


 落としたところを見直して完璧にしておかないと……その6点分が命取りになったりするんだから。先輩の助手なら満点取って余裕ですって顔しないと。


 正直、少し悔しい。結構自信あったから。でもやりきりはしたし後悔は伸び代ということで頑張りましょう!


 ところで、さっきから舌打ちしたりカンニング野郎と言ったりハゲって言うのやめてくださいません?



 お疲れ様でした。


 励みとなりますのでよろしければ評価やブックマーク等よろしくお願いします。


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