ウケない理由を考えてみた
鷹羽は、現実恋愛ものをよく書きます。
異世界恋愛ものも書きますが、どちらかというと現実世界の方が多いです。
まぁ、現実といっても、たまに人狼娘がヒロインだったりしますが。
主人公は女性が多いですね。女性の一人称視点が圧倒的に多いです。
鷹羽のスタイルは、一人称による情報の制御(主人公の思い込みや誤解を利用して読者を欺く)が重要だったりしますので、どうしてもそうなるんですね。
で、困ったことに、現実恋愛もののポイントが低いのです。
これは、ジャンルによる部分もあるとは思います。
なんといっても、異世界転生や悪役令嬢ものは強いですから。
鷹羽の異世界ものは、そのほとんどが女性主人公の異世界転生か悪役令嬢ものです。
違うのは、「奇跡の少女と運命の相手」と、「ごつい魔法士とひょろい剣士」くらい。
特に、男性主人公で転生も俺TUEEEもない「ごつひょろ」は、地味すぎてポイントめっちゃ少ないです。
「ごつひょろ」は、文字どおり、剣士にしか見えないごつい魔法士フォルスと、剣士には見えない華奢な剣士レイルのバディものです。
フォルスは、魔法の威力は大したことないけれど、色々な魔法を器用に使えるのと、「魔素」という空中に漂っている魔力の素を見て操ることができるのを武器としています。
敵の魔法士や魔物の周囲から魔素をなくすことで、相手の魔法を封じるわけです。
レイルの方は、自分自身と剣への付与魔法だけは使えるという魔法剣士です。
実は純粋な人間ではなく、ひょんなことからフォルスと知り合い、ピンチに共闘し、人間でないことを知られたことから相棒になりました。
「ごつひょろ」は、ある依頼をきっかけに、2人が街を巡る事件に関わっていく物語です。
4回で1話、全26話104回という長丁場で、伏線も色々張ったりしてかなり綺麗にまとめましたが、全然読まれませんでした。
理由はいくつもあるでしょう。実際に指摘を受けたところでは、独自の魔法体系がわかりにくかったというものがありました。
俺TUEEEでなく、戦闘描写が迫力なくて、頭脳戦もできなくて、ヒロインが眼鏡の受付令嬢で、とウケなかった要素はいくつもあります。
結局のところ、タグに「悪役令嬢」と入った「転生令嬢は修道院に行きたい」「転生した悪役令嬢は、推しの幸せを願う」「婚約破棄など片腹痛いですわ」の3作が鷹羽作品のトップ3になっています。
1万ポイント超えているのは、この3作だけ。
現実恋愛ものの方は、もっとひどいです。
個人的には、「あなたの胸に飛び込みたい」が最高傑作かなと思っています。
以前、なろうコンで感想ももらえた作品です。
でも、ポイントは少ないです。
内容は、引っ込み思案の少女(高1)が恋をして、勇気を振り絞って告白するまでの物語。
主人公の名前が小鳥遊明日翔で、親友の2人が鳳遥、烏丸鈴と、鳥で統一しつつ名字を一文字、二文字、三文字にし、それぞれの名前にちなんだ役回りになっています。
“平和な空に明日翔び立つ”、“あなたが翔び立つ明日はいつ来るの?”、“今日がその明日”と、主人公の名前を中心にギミックを組み立てました。
でも、全然読まれなかった。お付き合いのある方のごく一部が反応してくれただけでした。
結局、鷹羽の好みはウケ線から外れてるんですよねぇ。
これ、鷹羽作品には珍しく、本編が告白で終わってるんですけど。
鷹羽の恋愛ものは、すぐえっちしちゃいます。
鷹羽自身が、“付き合えば、そういうことをして当然”と思っているせいもあるでしょうが、現代ものなら、付き合うと割とすぐそういう関係になります。
むしろ「体から始まった恋」のように、ゆきずりの一夜みたいなところから恋が始まるお話まで書いています。
あ、この点、異世界ものだと、逆に貞操観念が強くなる傾向にあります。
鷹羽は、どうもラブコメが書けないタチのようで、「コメ」がつかない文章になるんですよねぇ。
お付き合いのある書籍化作家さんの作品なんて、80話までいっていて、付き合い始めたのが64話、未だにキスすらしていません。
現状、親兄妹も住んでいる主人公の家にヒロインが同居(というか下宿)しているのに!
鷹羽は、好きかどうかわからない中途半端な状態でいることを嫌うので、プライベートでも、さっさと告白して砕けています。
不思議と、自分から告白るより告られた方がうまくいく(よく考えれば、向こうから告ってくるなら、OKすりゃ付き合えるの当たり前です)ので告白の回数自体はそんなに多くないけれど、砕ける率は高かったですねぇ。
この辺りを考えると、鷹羽の好みがそもそもウケ線から外れているってことですよね。
大体、ラブコメというのは、少年漫画や少女漫画でのある程度ほのぼのした展開が源流にあるので、どちらかというと青年漫画展開に近い鷹羽の作風は、主流から外れているのです。
かといって、レディースコミックのようなドロドロしたのは嫌いなので、そっち方面にも突き抜けられないわけで。
鷹羽、昔の恋人に浮気されて別れて、を繰り返してきているので、浮気は創作でも書きたくない部分だったりします。
ラブコメはそこそこ好きですが、異様に鈍かったり突発性難聴だったりする展開や、複数ヒロインに愛想ふりまくタイプは嫌いです。
そのきっかけになったのがあだち充の「みゆき」です。
平凡な高校生若松真人が、恋人である鹿島みゆきと義理の妹みゆきとの間で揺れ動くラブコメですが、ラストでは妹の結婚式の親族挨拶で告白して略奪婚してしまうという超展開になります。
鹿島みゆきは、浪人した真人と同じ大学に行くために、せっかく合格した大学を蹴っているというのに。
ラストシーンで、傷心旅行中の鹿島と、妹の結婚相手だった人が偶然出会っていますが、これで安直にくっつかれても困っちゃうし、それでバランス取られてもねぇ。
鷹羽は、割と「みゆき」好きだったんですよ。
でも、このラストは大嫌いです。
現代日本を舞台に恋愛ものをやる限り、主人公と結ばれるのは1人だけ。
そうすると、人気の出やすい“平凡なのになぜかモテモテの主人公”とたくさんのヒロインは、鷹羽には受け入れがたいのです。
鷹羽の「ナイショの結婚生活」では、父を喪い母が入院中の主人公(高2女子)と、彼女を支えるために結婚することになった担任教師とがやがて本当の夫婦になる、という物語ですが、当初、主人公は自分の下着は見られないよう自室に干したりしています。
鷹羽が考える男女の同居には、どうしたって洗濯やトイレの問題が出てしまうのです。
鷹羽自身は、同棲をしたことがないので、そこの感覚をしりません。
先に挙げた書籍化作家さんの作品では、そういうところは敢えて触れていないようですが、鷹羽は、“自分が使った後のトイレに彼氏が入ったら”とか考えると、対応策を考えずにいられません。開き直るというのもひとつの手ではありますが、それを高校時代に選べたかといえば、鷹羽には無理です。
使った後のトイレに入られるのは、一緒にお風呂入るよりハードルが高い。
複数ヒロインも、たとえば「うる星やつら」のように、本妻としてラムがいて、浮気者のあたるがあちこちの女の子に声を掛ける、という展開なら許せるのです。
当て馬ヒロインの存在を否定はしませんが、やはりふびんですし、メインヒロインとサブヒロインは明確に分けてほしいと思います。
ジャンプ漫画の「いちご100%」では、メインヒロイン2人体制でやっていましたが、どちらかというとメインになるのは東城綾の方で、もう1人の西野つかさは当て馬的な役回りだったのに、最終的には主人公とくっついたのは西野でした。
結ばれるのは1人だけ。これが鉄則です。
読者が納得する形でエンディングを迎えない限り、ラブコメとして高い評価は得られません。
その点、「めぞん一刻」はうまかったですねぇ。
何人もいたサブヒロイン達や恋のライバルが、1人また1人とドロップアウトしていって、メインヒロインの響子とちゃんとくっついたのですから。
八神以外はみんな幸せになっているのがすごいです。八神も自分の失恋に酔っている感じだし。
二股が嫌いで、鈍感が嫌いとなると、あとは立場的に難しい相手くらいしか、すぐにくっつかない理由が思いつけません。
ここを、思いも付かない超展開でクリアできるくらいなら、きっとウケるラブコメが書けるのだろうなぁと思います。
うん、鷹羽には無理。