王妃になる覚悟 命を狙われ続けた公爵令嬢。わたくしは戦います。
ミルシア・アレゴット公爵令嬢は歳は17歳。王立学園に入学して半年になる公爵令嬢だ。容姿は茶色の髪に顔にそばかすがあり、それ程美人と言う訳ではない。
しかし、アレゴット公爵家はオーレリアル王国の中でも五本指に入る程の名門の公爵家であり、派閥の令嬢や令息達と共に、ミルシアは学園生活を楽しんでいた。
ミルシアは決して威張る事も無く、学問に励み、身体を鍛えて、自らを向上する事だけを楽しみに学園生活を送っていたのである。
この学園はアーレス王太子も通っていた。
金髪碧眼の美男王太子は色々な令嬢達からモテる。
しかし、彼自身、マリー・サディアス公爵令嬢と婚約を結んでいた。
仲良さげに二人はよく学園で共にいる姿が目撃されており、マリー自身もそれはもう美しい令嬢でお似合いのカップルだと皆噂していたのである。
事件は起きた。
何があったのか、サディアス公爵家が王家に対して、マリーを婚約者から辞退させてほしいと申し出たのである。マリーは学園にも来なくなり、皆、何があったのだろうと噂し合った。
「聞きました?ミルシア様。王太子殿下とマリー様の事。あんなに仲が良さげだったのに。」
派閥の伯爵令嬢サーシャ・レクトリスが、ミルシアに話しかけてきた。
教室で読書をしていたミルシアは本から顔を上げて。
「ええ、聞きましたわ。本当に。お二人の間に何があったのかしら。」
しかし、ミルシアには心当たりがあった。
他の公爵家の陰謀に巻き込まれたか。マリーが怖気づいたのか。
この国の貴族は足を引っ張り合う事ばかり考えている。
その点、自分は王太子の婚約者にならなくてよかったとミルシアは安堵していた。
マリーがアーレス王太子の婚約者に選ばれたのは、力のある五大公爵家、アレゴット公爵家、サディアス公爵家、ブルグリス公爵家、ミード公爵家、ハレリスト公爵家それぞれが、王家と縁を結びたがっていたのだが、その争いに勝ったからである。
アーレス王太子とマリーが婚約を結んだのが今から五年前。
美しく聡明なマリーに、アーレス王太子が一目惚れしたからである。
婚約者を選ぶお茶会に、勿論、ミルシアも他の公爵家の令嬢も出席していた。
ミルシアは冴えない容姿である。それでも、目いっぱいおしゃれしていったのだが、
マリーの美しさにはミルシアも他の令嬢も叶わなかったのだ。
王妃になったら、それこそ、自由も無く、足の引っ張り合いの貴族達を相手に、身も心も疲弊してしまうだろう。
選ばれなくて安堵していたミルシアであったが、
次の婚約者。どうするのかしら?アーレス王太子殿下。
隣国の王女あたりを婚約者にすれば、一番良いと思えるのだが、
もっとも王女の神経がオーレリアル王国の貴族社会で持てばの話である。
その時、ガラっと教室の扉を開けて、噂のアーレス王太子が入って来た。
金髪で碧眼の美しく男らしい容姿に、教室にいた令嬢達はぼうっと見惚れる。
王太子とはクラスは別である。何用で来たのだろう。
「ミルシア・アレゴット公爵令嬢。いるか?」
ミルシアは立ち上がり、
「わたくしがミルシアですけれども、何用でございましょう。」
アーレス王太子はミルシアの前に行くと驚くべき事を言った。
「お前を俺の婚約者に認定する。正式な命令は近々王家から、アレゴット公爵家に行くであろう。」
「命令でございますか?」
「命令だ。」
「謹んでお断りします。」
ミルシアは腹が立った。王家の命は絶対である。それは解ってはいるが…
一方的な物言いに腹が立ったのだ。
アーレス王太子は不機嫌に、
「王家の命は絶対だ。アレゴット公爵家を無くしたくはないだろう?」
ミルシアは反論する。
「しかし、王太子殿下が強引に、わたくしを王妃に望み断ったが為に、アレゴット公爵家が取り潰されたとあっては、世論がどうとるでしょうか?王家の横暴だと、皆、口を揃えて言うでしょう。」
アーレス王太子は腕組みして、
「確かに、王家の横暴だと世論は言うだろうな。それはまずい。だが、君の父上はどうだろう。王家と縁が繋げてアレゴット公爵は喜ぶのではないのか?」
「ええ、父は王家と縁を繋ぎたがっておりますわ。でも、最近では父も言っておりますの。
あんな物騒な王宮に娘を嫁がせないで良かったと。わたくし、とても父に愛されておりますのよ。大事な一人娘ですもの。いずれは、婿を取って公爵家を継いでほしいと言っておりましたわ。」
嘘である。
アレゴット公爵は名声を気にする。
他の公爵家と差をつける為にも娘を王妃にしたがっていた。
母も父と同じ考えである。
アレゴット公爵家は親戚から養子を取って継がせればいい。
娘が王妃になるならば、これほど嬉しい事はない。
そんな考えだった。
何もその事を今、言う事ではない。
まだ王家は正式にアレゴット公爵家に婚約の申し込みをしていないのだ。
学園内での話ならば、上手くアーレス王太子を言いくるめて今のうちに諦めて貰うしかない。
アーレス王太子は、上から下までミルシアの姿を見つめ、
「化粧をすれば化けるな。お前は優秀だと聞く。成績も学園で五本の指に入るとか。
これは決定事項だ。俺と婚約しろ。」
そう言うと、ぎゅっとミルシアは抱きしめられた。
胸がドキリとする。
耳元で熱く囁かれる。
「お前が首を縦に振るまで、毎日、お前を口説きに来よう。覚悟しておけ。」
そう言うと、アーレス王太子は背を向けて教室を出て行った。
首を縦に振るまで正式な申し込みは無いとみていいのかしら…
ともかく、何としてもアーレス王太子に諦めて貰わないとと思うミルシアであった。
翌朝、アレゴット公爵家の前に豪華な王家の馬車が止まっていて、
アレゴット公爵家の人々を驚かせた。
玄関には真っ赤な薔薇の花束を持ったアーレス王太子殿下が立っており、
「おはよう。ミルシアを迎えに来た。」
アレゴット公爵は慌てて、出迎えて。
「何用ですか?王太子殿下。」
「ミルシアを口説き中だ。マリーの次の婚約者をミルシアにと俺は考えている。」
「そうですかっ。それは何と光栄な。」
支度をして階段を降りて来たミルシアは、アーレス王太子の顔を見るなり、
ため息をつきたくなった。
朝から赤い薔薇の花束を持ってお出迎えなんて。
ああ、お父様が喜んでいるわ。
「おはようございます。王太子殿下。」
「今日は俺と共に学園へ登校しよう。いや今日だけではない。これから先も毎日迎えに来よう。」
エスコートされて、手を添えられ、馬車に乗り込めば、後からアーレス王太子も乗り込んで、隣に腰かけ。
「俺はミルシアこそ、俺の伴侶にふさわしいと思っている。」
渡された赤い薔薇の花束を持ちながら、ミルシアはアーレス王太子に、
「マリー様がおりますでしょう?何故、マリー様と婚約が解消になったのです?」
「それは…毒を盛られた。マリーの毒見役のメイドが命を落とした。王宮での出来事だ。共にテラスで茶を楽しんでいた。マリーは用心深かった。勿論、俺も用心深い。マリーの紅茶だけに毒が盛られていたのだ。目の前で人が死んでみろ。マリーは病んでしまった。」
「まぁ、王宮は怖い所って言うのは本当ですのね。余計、貴方様と婚約するのが嫌になりましたわ。」
「お前ならば、戦える。俺はそう見た。お前は優秀な令嬢だ。俺と共に王国に並び立つには優秀な王妃でないと駄目だ。マリーの件で俺は確信した。だから、ミルシア。王妃になって欲しい。俺と共に王国を支えてくれ。」
ミルシアは赤の薔薇の花束を両手に持ち、アーレス王太子の顔を見つめながら、
「わたくしとて、公爵令嬢。多少の荒波は覚悟しております。貴族社会は怖い所ですもの。でも…わたくしだって夢がありますのよ。愛がある結婚がしたい。可愛い子に恵まれて、幸せに暮らしたいのです。王妃になるならば、戦いの日々でしょう。そういう日々をわたくしは望んではいない。ですから、王太子殿下。どうか、わたくしの事は諦めてくださいませんか?」
花束をそっとアーレス王太子の手に返す。
「わたくしにはこの花束を貰う資格はありません。」
アーレス王太子はため息をついて、
「そうだな…すまなかった。無理を言って。」
何とも気まずい沈黙が流れる。
これでよかったのだ。アーレス王太子は他の公爵家の令嬢を婚約者に望むだろう。
ミルシアは聞いてみる。
「マリー様を愛してはいなかったのですか?」
「そうだな。マリーは俺といる時はとても幸せそうな顔をしていた。学園でもいつもニコニコして、共にいてくれた。毒見の侍女が倒れた時、マリーは泣きながら、
こんな怖い思いをするなら、王妃なんてなりたくない。って叫んで。
平民なら傷ついたマリーに寄り添い、一生を共にする事も可能だろう。その前に毒を盛られる事もないだろう。
だが、俺は王太子だ。ゆくゆくは国王だ。ここで立ち止まる訳にもいかない。役に立たない女を王妃に迎える訳にもいかない。
走り続けねばならないのだ。
だが…一人で走り続けるのはどんなに辛い事か。強い伴侶が欲しい。共に手を携えて走ってくれる伴侶が。ミルシアなら俺の理想の伴侶になってくれると思ったから…
無理を言ってすまなかった。俺は一人で走るしかないようだ。」
心にガラスが突き刺さる。
上に立つ者の孤独が、王太子殿下の寂しさが、ヒシヒシと伝わって来て。
「お望みの方が見つかると良いですわね…」
ミルシアはそう言うしかなかった。
そして、学園についてアーレス王太子と別れ、授業を受けて、昼休み。
派閥の令嬢や令息達と楽しく、食堂で食事をする。
ミルシアは充実した学園生活を送っていた。
食事をしながら、気になる学問の話をし、先々国の為になる政策を討論したり。
今日も皆で楽しく食事をしていると、アーレス王太子が取り巻きの令息達とやって来て、
「楽しそうだな。俺も混ぜて貰おうか。」
アーレス王太子も混じって楽しく討論する。
「ミナデ鉱山はもっと投資をした方がいいと私は思います。」
「いや、ミナデ鉱山より、アリアテ鉱山の方が収益が見込まれる。」
「南地方はもっと農地を増やして小麦を作らせた方がよいのではないか?」
等、色々と政策が展開される。
間違った意見も出て来るが、まだ学生である。
それでも色々と勉強し、考え、意見を交える事は良い事である。
アーレス王太子は感心したように、
「アレゴット公爵派閥は活気があるな。」
「有難うございます。皆、喜んでいますわ。」
ふと、背後から強い視線を感じて、ミルシアは振り向く。
ブルグリス公爵令嬢ローザだ。
「王太子殿下。わたくし達と共にお昼は如何。そんな冴えない令嬢なんかより、わたくしの方が余程、美しいのですわ。」
確かにローザは美しかった。銀の髪にエメラルドの瞳。
茶髪で冴えないミルシアと比べると格段の違いがある。
アーレス王太子はローザに向かって、
「すまないな。俺はこの討論に参加したいんでね。」
凄い形相でミルシアを睨むローザ。
ミルシアは身の危険を感じた。
アーレス王太子に抗議する。
「あまりわたくしに構われると、わたくしの命が危険になりますわ。」
「お前は俺と戦ってくれないのか。」
「わたくしの事、諦める気はなさそうですのね。」
ミルシアは立ち上がる。
派閥の令嬢や令息達に向かって叫んだ。
「特Sを発動致します。皆、覚悟するように。」
サーシャ・レクトリス伯爵令嬢が進み出て、
「特Sでございますわね。了解致しました。いつでも、この命、ミルシア様に捧げる所存です。」
他の令嬢や令息達も進み出て、
「我が命、ミルシア様の為に。」
「どうかお使い下さい。ミルシア様。」
アーレス王太子は満足したように、
「派閥の令嬢令息はお前の手足か、ミルシア。」
「皆、わたくしの為に命を投げ出す覚悟ですわ。わたくしはそこまでしなくいいと常々言っているのですが。」
サーシャが、ミルシアに向かって、
「皆、アレゴット公爵家とミルシア様に忠誠を誓っておりますわ。王太子殿下がミルシア様の傍にいらっしゃっているのは、恐れながら、ミルシア様を未来の王妃にとお考えの事でしょう。わたくしたちを存分にお使い下さいませ。王国の為、ミルシア様の為に命をかけて務めさせて頂きます。」
他の令嬢や令息達も頷く。
ミルシアは皆に向かって、
「貴方達を犠牲にはしないわ。わたくしが、貴方達を守ります。特Sを発動させました。
アーレス王太子殿下。貴方様の熱意にわたくし負けました。わたくし戦いますわ。貴方様と共に。」
「有難う。ミルシア。」
アーレス王太子はミルシアを抱き締めた。
皆を巻き込んでしまって申し訳ないと思ったけれども、わたくしは王太子殿下の熱意に負けてしまった。
この人と共に走りたいと思ってしまったの。
戦うわ。力の限り。未来の王妃としてわたくしは戦います。
ミルシアはほどなくして、アーレス王太子と婚約を結んだ。
それと同時に命を狙われるようになる。
派閥の令嬢令息の誰かしら付き添っていて、ミルシアを魔の手から守った。
勿論、アーレス王太子も学園で出来るだけミルシアの傍に居て、ミルシアを襲ってくる連中からミルシアを守り抜いた。
ミルシアも勿論、守られてばかりいたわけではない。
襲い掛かってくる暴漢を剣で撃退したり、ミルシアはミルシアなりの剣技の腕で、自身を守り抜いた。優秀な手足である伯爵令嬢令息が危機に陥りそうになったら逆にミルシアが守ったりした。
ミルシアを階段から突き落とそうとする、生徒を数人がかりで拘束した。
ミード公爵家から命じられたとその生徒は白状したが、ミード公爵家は覚えがないとしらばくれられたので、公爵家を罰する事が出来なかった。
他の公爵家も色々な手を使ってミルシアを殺そうとする。
馬車に細工をされた。
しかし、御者と派閥の令息が、馬車を動かす前に入念にチェックをするので、細工は事前に見つけられる。
食堂の食事に毒を仕込まれた。
派閥の令嬢のサーシャ・レクトリスは実は毒薬のプロである。
必ず、毒見の役を買ってでて、そんじょそこらの毒では殺されない位の、毒慣れした令嬢だった。
皆を危険に巻き込みたくはなかった。
だが、王太子妃、行く行くは王妃になると決めた時から、戦うとミルシアは決意した。
だから、力一杯戦った。
ミルシアはそんな日々の中、アーレス王太子との愛を深めていった。
アーレス王太子はミルシアに、
「卒業パーティでミルシアとの結婚を発表する。」
「まぁ嬉しいですわ。」
しかし、王太子妃になっても、危険は変わらない。
油断ならない四大公爵家なのだ。
アーレス王太子はミルシアの頬にキスを落としながら、
「お前には感謝している。俺の強引な願いを聞いてくれた。」
頬のキスに嬉しそうにミルシアは目を細めて、
「王太子殿下のしつこさに負けたのですわ。それに、わたくし闘争心に火がつきましたの。
卒業パーティで、見せつけてやりますわ。未来の王妃がどれだけの覚悟を持ってパーティに望むのかと。」
「それは楽しみだな。」
そう、わたくしの覚悟を見せて差し上げるわ。
待っていらっしゃい、皆様方。
そして、卒業パーティの日が来た。
アーレス王太子殿下が皆の前で宣言する。
「この卒業を持って、私、アーレスは、ミルシア・アレゴット公爵令嬢と婚姻する事になった。日を改めて婚姻パーティを王宮で開く事にする。」
ミルシアが進み出ようとしたその時、一人の女性が飛び出て来た。
「ひどーい。アーレス様。私と結婚してくれると言ったじゃないですかぁ。」
ピンクのフワフワの髪の令嬢が目をウリウリさせながら、二人に訴える。
「王太子殿下と私、身体の関係を持ちました。私を王妃にしてくれるって、言っていました。
酷いっーーー。」
ミルシアはその令嬢に向かって、
「貴方はどなた?名を聞かせて下さらないかしら?」
「レイラ・マイルデルク男爵令嬢ですっ。」
ミルシアは後ろを見て、
「キース・エルデス伯爵令息。貴方の仕事でしたね。諜報は。」
「はい。マイルデルク男爵家はブルグリス公爵派閥に属しています。恐らくブルグリス公爵家に脅されて芝居をしているのではないかと。」
ローザ・ブルグリス公爵令嬢が叫ぶ。
「こんな小娘、わたくし、知りませんわ。」
派閥の令嬢の一人、カミーラ・ユルデルト伯爵令嬢が進み出て、レイラの前に行くと、
「ミルシア様は貴方を守って下さるわ。脅されているのなら、素直に白状しなさい。それが貴方の為よ。」
「わ、私…」
レイラは真っ青になって泣き出した。
「ローザ、様、に脅されて…」
ローザは首を振って、
「違うわ。でっちあげよ。」
ミルシアはローザの前に進み出る。
剣を両手で持ち、ローザを睨みながら振りかぶる。
ローザは真っ青になり腰を抜かして、
「ごめんなさい。わたくしが悪かったわ。だ、だから殺さないで。」
皆、あまりのミルシアの気迫に動くことが出来ない。
ガシっと音をさせて床に剣を突き刺せば、床にヒビが入り皆、驚く。
床にヒビが入る?大理石の床だぞ…この床は…
ミルシアはにっこり笑って、
「次は貴方を真っ二つに致しますわ。わたくし、剣技も優れておりますのよ。」
ローザはヘナヘナとその場に崩れ落ちた。
剣を床から抜くと右手に掲げながら、他の公爵家に宣言する。
「わたくしが今日から王太子妃になったミルシアでございます。わたくしの敵と認定された者は、この剣で切り刻みますわ。覚悟なさって下さいませ。」
剣を鞘に収めると優雅にカーテシーをする。
皆から拍手が沸き起こった。
その後、四大公爵家はしつこく、ミルシアを狙ってくるのだが、ミルシアや派閥の令嬢令息達が、上回る手を使い、アーレス王太子も王家の陰を使って追い詰めていき、四大公爵家は力を弱めて、アレゴット公爵家のみ最盛を振るう事になった。
アレゴット公爵家はミルシアの従兄が宰相を勤める位に出世を果たし、それはもう、オーレリアル王国で、アレゴット公爵派閥でなければ、貴族で生きてはいけないと言う程に権力を手にしたのである。
ミルシアが王妃になると、派閥の令嬢令息達もそれぞれ出世し終生ミルシアの為に働いた。
アーレス国王とミルシア王妃は、国の為に走り続け、敵には容赦なく戦い、オーレリアル王国を類を見ない程に発展させたと言う。
100年以上経った今でも二人の銅像はオーレリア王国の中央広場に戦うアーレス一世夫妻として、残されている。