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ニセ勇者パーティ、はじめました ~名声を悪用するつもりが、本物より活躍している件について~  作者: 結城 からく


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第95話 最終盤面

 勇者は両手を発光させて構える。

 聖属性の気配だ。

 戦っている姿をほとんど見ていないが、格闘術を得意としているらしい。

 そこに魔術を交えることで自在な戦闘を可能とするのだろう。


 そんな勇者は俺を横目で見上げて念押しする。


「ねぇ、本当に偽勇者君だよね?」


「そうダ。何度も、言わせ……ル、な」


 俺は喋りにくさを感じながら答える。

 すると、ウォルドとメニが割って入ってきた。

 二人はいつもの調子で意見を述べる。


「安心しろよ。お前さんは元から悪人面だった。大した違わねぇさ」


「メニもそう思う」


 散々な評価だった。

 舌打ちした俺だが、なんとなく肩の力が抜けた気がする。

 俺は前に進み出て呟く。


「ウるせぇナ……早く、魔王をぶっ殺スゾ」


 魔王が膝から崩れ落ちた。

 見れば片脚が千切れている。

 誰もまだ攻撃していないので、再生能力の異常だろう。

 決死の猛攻も少しは効果があったようだ。


 俺は魔王を指差しながら、これまでに得た情報を他の面々に伝える。


「あいツは、黒い光線ヲ飛ばしテ、きヤガル。注意シろ」


「了解。先に来て弱らせてくれたんだね。ありがとう」


「気にスンな」


 俺は勇者に言葉を返す。


 その時、唐突に魔王が駆け出した。

 甲高い笑い声を響かせて突っ込んでくる。


 俺は立ちはだかるように進み、魔王の肩を掴んで押し留めた。

 力を込めると爪が魔王の肩に食い込んだ。

 そのままの勢いで両腕を切断する。


 片脚一本となった魔王は俺に体当たりしてきた。

 さらに傷口から黒い光線を乱射する。


 死角から斬りかかろうとした元剣聖の額と首に穴が開いた。

 元剣聖は驚愕した顔で何かを言おうとするも、吐血に妨げられて声にならない

 奴は静かに崩れ落ちて動かなくなかった。


(クソが、あっけなく死にやがった)


 魔王を投げ飛ばした俺は、元剣聖の死体を一瞥する。

 とてつもない強さを持つ英雄が、雑魚みたいな扱いで殺された。

 それだけ魔王が理不尽な強さを持っているということだ。


 きっと偽物の勇者に対抗して仕掛けたのだろう。

 そして、つまらない意地のせいで死んだ。

 優勢だった雰囲気が一瞬で冷めてしまった。


 床を転がった魔王のもとに、今度は元戦士が襲いかかる。


「シャアアアァァァァッ!」


 仲間を殺されて怒り狂う女戦士が大振りの斧を見舞い、魔王を縦に割った。

 その直後、血みどろの傷口から黒い光線が放射されようとする。


「危ないっ」


 勇者が足払いで女戦士を転倒させた。

 光線は女戦士の左腕を消し飛ばすも、命までは奪い損ねた。

 転倒していなければ上半身が無くなっていただろう。


 勇者は女戦士を部屋の端まで引きずると、断面を焼いて応急処置を施す。

 処置を終えた後、勇者は残る者達を見回して叫んだ。


「連携しよう! このままだと全滅する! 皆で力を合わせるんだ!」

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