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ニセ勇者パーティ、はじめました ~名声を悪用するつもりが、本物より活躍している件について~  作者: 結城 からく


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第89話 変容の覚悟

 魔族が出てきた窓を調べると、廊下が続いていた。

 混沌とした魔力が漂っている。

 罠の気配もあった。

 不用意に踏み込むと痛い目を見そうだ。


 そう判断した俺は窓を閉めてミィナに言う。


「ここから入れそうだが、壁伝いに最上階まで行くか」


「そうですね! 一気に向かいましょう」


 二人で引き続き魔王城の壁を登っていく。

 その間、点在する窓から断続的に魔族してきた。

 飛行能力のない個体も多く、そのまま俺達のそばを通り抜けて地面に衝突することもあった。


 無駄な命だ。

 しかし、魔王にとっては関係ないのだろう。

 些細な犠牲なのだと思う。


 迫る魔族を迎撃して俺は進む。

 空を飛べないミィナは得意の肉弾戦が発揮できない。

 必然的に、翼を持つ俺が率先して対処することになった。


 激しく動くうちに翼の制御に慣れてくる。

 やがて高度を維持できるようになった。

 まだ自在に飛び回れるわけではないが、これはなかなか便利である。

 調子が上がった俺は、次々と襲いかかってくる魔族を一蹴していった。


 魔族の襲来が途切れた時、ふと自分の手を見やる。

 分厚い甲殻に包まれている。

 その内側には人外の筋肉が詰まっている。

 五本の指から生える爪は、まるで刃のようだった。

 頑丈な魔族を野菜か何かのように輪切りにしてしまう。


 随分と邪悪な見た目に変貌したものである。

 魔族の力はよく馴染んでいた。

 使えば使うほど洗練されて、自分が超人にでもなったような感覚に陥る。


 もはやただの魔族には苦戦しない。

 本来なら同格であるはずなのに圧倒できるのは、俺が錬金術で変性させたのが原因だろう。


 今なら確信をもって言える。

 この力の行き着く先は魔族ではない。

 奴らを超える種族である。

 俺はその途上を歩いているのだった。


(……もう人間に戻れねぇかもしれないな)


 その可能性はずっと脳裏にあった。

 別に文句はない。

 こうして英雄に匹敵する力を手にしたのだ。

 クズな盗賊として徐々に老いてただ死んでいくだけかと思いきや、勇者と共闘して魔王を討伐しようとしている。

 俺にはもったいないほど充実していた。


 だからと言って、この戦いで死ぬつもりはない。

 今までのように意地汚く生き延びる。

 たとえ人間を捨ててでもやり切る所存だった。


(待ってろよ。すぐにぶち殺してやる)


 俺は魔王への想いを募らせながら、壁を蹴って飛翔するのだった。

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[気になる点] 魔王戦で完結なのかな [一言] この先が気になる、楽しみ
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