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ニセ勇者パーティ、はじめました ~名声を悪用するつもりが、本物より活躍している件について~  作者: 結城 からく


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第86話 魔王の正体

 俺達は大量の魔族を倒しながらひたすら進む。

 なんとか一人の犠牲もなく踏破し、やがてこの混沌とした空間の最奥に辿り着いた。


 大きな丘を越えたそこには、巨大な城がそびえ立っていた。

 先ほどまで見えなかったのが不思議なほどだ。

 おそらくは隠蔽魔術が施されているのだと思う。


 城の前には無数の魔族の死体が転がり、その只中に勇者パーティがいる。

 俺達は丘を滑り降りて駆け付けた。


「遅くなったな。もう魔王は片付けたか?」


「やあ、助かったよ。ちょうど魔王の防御に苦戦していてね」


 苦笑する勇者が前方を指差す。

 漆黒の城は、内部に続く門が閉ざされていた。

 門の表面には無数の傷跡が付いている。


(勇者達が攻撃したのか?)


 どうやら門が開かないらしい。

 あまりにも乱暴に開こうとしているが、他に方法はなかったのか。


 それにしても、魔王の防御に苦戦していると勇者は言った。

 ところが魔王がどこにも見当たらない。

 こいつらは延々と取り巻きの魔族と門ばかり攻撃していたらしい。


 ただ、遠くから感じた膨大な魔力は眼前に存在している。

 魔王がすぐそこにいるのは間違いない。

 姿が見えないのは……まさか透明にでもなっているのか。

 それはなかなかに厄介な能力である。


 舌打ちした俺は勇者に尋ねる。


「おい。魔王の透明化は解除できねぇのか」


「違うよ、透明なんかじゃない。目の間にあるこの城が魔王さ」


「は……?」


 俺は口を開けて固まる。

 それからゆっくりと城を見上げた。

 雲を突き破らんばかりの高さを誇る城は、とても生物には見えない。


 だが、勇者はこの城が魔王だと言った。

 さすがに冗談を言ったわけではないだろう。

 確かに魔王の力は城全体から感じる。

 途方もない規模なので詳しい場所が分からないのかと思いきや、まさか城そのものだったとは。


「ふざけんなよ、こいつが魔王か」


「石の魔物ゴーレムが無尽蔵に進化した結果だね。自我は完全に失っていて、ただ魔族を生み出す装置になっている。こいつを放っておくと、世界全体が魔族で埋め尽くされるね」


「そいつは最悪の未来だな」


「だから止めるんだ。本物と偽物の勇者でね」


 勇者は良い笑顔で言う。

 それを無視した俺は、集中して城を観察する。


(ゴーレムと言えば、核が弱点になるが……)


 魔力の流れに注意して眺めていると、城の頂点付近に違和感を覚えた。

 あそこを中心にして魔力が循環しているようだ。

 つまり弱点は城の最上階まで行かないと潰せないということになる。

 なんとも面倒な仕組みだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まさしく、某悪魔城のごとし。
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