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ニセ勇者パーティ、はじめました ~名声を悪用するつもりが、本物より活躍している件について~  作者: 結城 からく


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第77話 さらなる深みへ

 現在の魔族化は長所と短所が極端すぎる。

 とにかく制御力を上げて、使い勝手を上げねばならないだろう。

 戦闘時に暴走しては使い物にならないからだ。


 微調整もできると尚良い。

 肉体への負荷が減ればそれだけ使い勝手もよくなる。

 通常時も片腕はそのまま魔族の力を発揮出来るが、決して十分ではない。

 仮に勇者パーティーと戦った場合、即座に切断されるのは目に見えていた。


 やはり魔族化を発動した時の再生能力が必須である。

 あれを平常時も使えるようになるのが、現状の最適解ではないか。

 怪我をするたびに治癒魔術を受けるのも手間である。


 とにかく今の体がどこまで出来るかを知る必要があった。

 長所として鍛えられる部分は工夫を加えて、さらなる強みにしていくのが一番だろう。


 そう考えた俺は、旅の合間に魔族化の制御を練習することにした。

 初めはほんの僅かに発動して、平常時との差を知ることから始める。

 これだけでも体内の魔力の質が大きく変わる。

 集中力も要するため、意外と疲れる訓練となった。


 最も面倒なのは、元剣聖や賢者が即座に攻撃を仕掛けてくる点だ。

 俺が魔族に豹変したと思ったのだろう。

 そういった時は勇者がなんとか止めてくれたので助かった。

 場合によってはそのまま殺し合いに発展しかねない雰囲気だったのは言うまでもない。


 時や場所を選んでいる暇はないとは言え、奴らの目の前で魔族の力を開放したのは軽率だったと思う。

 今後は事前に断りを入れてから試していくつもりだ。

 当然ながら練習を断念するつもりはなかった。


 勇者パーティの間には常に一定の緊張感が漂っている。

 俺達だけが原因ではない。

 宿敵である魔王との対決を前に、色々と思うところがあるのだろう。

 きっと盗賊の俺には計り知れない心境に違いない。

 こればかりは英雄にならないと分からない部分だろう。


 魔王を倒せば、俺達も本物の勇者になれるらしい。

 果たしてあれは本気の発言なのだろうか。

 真意は掴めない。

 詳しく聞こうとしても、はぐらかされるばかりであった。


 ひょっとすると騙されているのではないか。

 そう疑う瞬間はあるが、今は信じるしかなかった。

 もう後戻りは許されないのだ。

 今の俺達は前に進むしかないのである。

 魔王に挑み勝利して生き延びるか、無惨に負けて死ぬかの二択である。


 そもそも勇者はなぜ俺達と共闘しようと提案したのか。

 なんとなくだが、戦力的な都合だけではないような気がする。

 俺達がただ騙されているだけなら単純な話であった。

 実際、他の連中は俺達のことを都合のよい駒と考えている節がある。


 しかし、少なくとも勇者は違う気がした。

 この場にいる誰よりも広い視野を持って物事を俯瞰している。

 そう感じさせる風格があった。

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