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ニセ勇者パーティ、はじめました ~名声を悪用するつもりが、本物より活躍している件について~  作者: 結城 からく


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第67話 真実の一端

 旅を始めてからおよそ五十日が経過した。

 俺達は何度か国境を越えて、人目を避けるように移動している。


 今のところ大きな問題は起きていない。

 どこの勢力からも刺客が送られてこず、平穏な旅路が続いていた。

 何事もないのは良いことだが、不気味にも感じてしまう。

 これが嵐の前触れではないかと勘ぐるのは、仕方のないことだろう。


 案内役のカレンは大人しい。

 道中で行動を起こすより、勇者パーティと合流してからの方が確実だと考えているのか。

 いつも不機嫌そうな顔をしているので内心は読めない。


 色々と覚悟は決めている。

 これからどうなろうと後悔はしない。


 偽物を名乗るつもりが、こんな風に本物と出会うことになったのだ。

 意外と悪くない展開ではないか。

 実物の勇者に会ったとなれば、酒場の話題にも事欠かないだろう。


(まあ、ここで死ねば話題もクソもねぇがな)


 俺は鼻を鳴らす。

 死ぬ可能性もあるからこそ、力を尽くさねばならない。

 できることと言えば、それくらいなのだから。


 それからさらに三日後、俺達は待ち合わせの遺跡に到着した。

 遺跡は湿地帯に半ば沈む石造りの建物で、ぽっかりと開いた穴が入口が見える。

 そこに一人の男が腰かけていた。


 焚火で暖を取るその男は軽装だった。

 魔術強化された革鎧を着ている。

 鞘に納めた剣を抱えて、丸盾を背中に背負っていた。


(あいつが勇者か)


 俺は一瞬も油断せずに観察する。

 正直、言われなければ分からないほど平凡な容姿だ。

 英雄らしい雰囲気はなく、ひっそりと存在しているような印象を受ける。

 なんとも地味な男だった。


 ただ唯一、こちらを見つめる双眸が異様だ。

 その視線は、俺達のすべてを暴き立てるような圧力がある。

 敵意も好意も感じられず、中立的な眼差しで見定めようとしていた。

 静かな姿とは裏腹に、絶対的な強さを連想させる眼力だ。


(これが世界最高峰の英雄ってわけか……)


 俺は無意識のうちに微笑する。

 手足の震えを自覚した。


 恐怖はない。

 これは、別の感情だろう。


 俺は勇者に憧れを抱いていた。

 自分と比較した時に嫉妬も覚えたが、根幹にはそれを上回る期待がある。


 それをこの男は軽く凌駕してきた。

 いや、俺が認識できた部分でさえ表面的なものに違いない。

 薄汚い盗賊には計り知れない何かを、前方の勇者は宿しているのだった。


 一方で俺はこの状況に疑問を持つ。


「どうして勇者しかいないんだ。パーティメンバーはどこにいる?」


 それは不意に出た呟きだったが、カレンが律儀に回答を述べた。


「彼は個人主義を徹底している。他の勇者・・・・と違って同行者はいない」

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