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ニセ勇者パーティ、はじめました ~名声を悪用するつもりが、本物より活躍している件について~  作者: 結城 からく


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第53話 勇者の行方

 何度も脅しをかけて尋ねたが、使者の一団は勇者の行方を知らなかった。

 まあ、ミィナの流した評判を聞いて俺を訪ねてきたのだから、それはなんとなく予想していた。


 ではどこにいるのか。

 その答えではないにしろ、捕虜達は手がかりとなる情報を握っていた。


 曰く、勇者パーティは現在地を秘匿している。

 とにかく静かに行動しているそうだ。


 各地で武功が生まれても、広まるには時間がかかる。

 その間に立ち去っているという寸法だ。

 おまけに普段は慎ましく暮らしているそうで、変装も多用して正体を明かさずに旅しているらしい。

 だから現在地を知る者は誰もいないのだった。


 では、どうしてそこまで徹底して秘密にしているのか。

 その理由は今回よく分かった。

 魔王軍だけでなく、人間側からも刺客が放たれるからだ。


 本来なら味方陣営であるはずの王国貴族がこんな下らない策略を張ってくるのだ。

 さすがの勇者パーティでも行方を眩ませるだろう。

 その上で俺の頭の中に疑問が生じる。


(本物はどこにいやがるんだ?)


 噂話は何度も聞いたことがあるが、実際に目撃したという証言は聞いたことがない。

 具体的なパーティの人数や誰が所属しているのかも不明だ。

 たぶん勇者が意図的に情報を攪乱して、暗殺への対策にしているのだろう。


 おかげで俺も勇者として振る舞うことができていた。

 ただここまで来ると、本物のパーティがどんな連中なのか気になってくる。


 俺は鉄格子の向こうに閉じ込められた使者の一団を睨む。

 奴らはひどく怯えていた。

 仲間達が目の前で惨殺されたからだ。

 その魔の手が自分に及ぶのではないかと恐怖している。


 舌打ちした俺は、部屋の端に置かれた大きな壺を鉄格子の前に運ぶ。

 それを蹴り倒すと、中に入れられていた大量の油が鉄格子の内側へとぶちまけられた。


 捕虜達はそれを避けるように後ずさるが無駄な努力だ。

 壺はまだいくつも用意している。

 俺は同じ要領で壺を倒して油を鉄格子の向こうへと注いでいった。


(ミィナには見せられないな)


 現在、彼女は近くの村で演説している。

 こういう裏の部分は彼女に見せるべきではない。

 そのための指示だった。


 俺は火の点いた煙草を指でつまむと、床に広がった油を一瞥する。

 捕虜達はこちらの意図を悟って喚いたり、しきりに命乞いを始めた。

 もっとも、それで行動が変わることはない。


「すまんな。証拠隠滅だ。勇者が拷問をするなんて吹聴されると困るんでな」


 こいつから引き出せる情報はもうない。

 俺は煙草を投げようとした。

 その時、首筋に硬く冷たい感触を覚える。


 ――刃が押し当てられていた。


 事実を認識すると同時に、背後に人の気配を感じる。

 その気配が囁くように述べた。


「動くな。お前が勇者騙りか」

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