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ニセ勇者パーティ、はじめました ~名声を悪用するつもりが、本物より活躍している件について~  作者: 結城 からく


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第35話 魔族殺しの功

 俺は空になった花瓶をウォルドに放り投げる。

 喉が潤って少し元気になった気がする。

 それでも体調は万全とは程遠い。


 これは感覚的に丸薬の副作用ではないか。

 おそらくはミィナの治癒魔術を使っても処置できなかったのだと思われる。

 それでも死ななかったのだから文句は言えない。


 濡れた口元を拭った俺はウォルドに尋ねる。


「ミィナはどこにいる。礼を言いたい」


「あの娘なら兵士と一緒に凱旋中だ。魔族殺しの勇者の話をあちこちで吹聴しているぜ」


「おいおい、勘弁してくれ……」


 俺は頭を抱えたい気分になった。

 いや、実際に抱えてしまった。


 ミィナがこの場に不在なのは、てっきり治癒魔術の乱用で倒れているからだと思った。

 元気なのは良いが、さすがに元気すぎるのではないか。

 なぜすぐに勇者の活躍を広めるのか。

 しかも今回は規模が大きい。

 詳しく訊くのも躊躇われる事態なのは間違いないだろう。


 俺の反応を見て手を叩くウォルドは面白そうに言う。


「何度か話を聞いたが、だいぶ大げさな語り口だったな。あとミィナちゃん自身も聖女として人気で、兵士とは別に親衛隊が設立されたほどだ。今じゃおいら達でも会うのに時間がかかっちまう」


「どういうことだよ。そもそも止めなかったのか」


「だってミィナちゃんがちょいと語るだけでそれなりの儲けになるんだぜ? こんなに楽な商売はやめられねぇよ」


 ウォルドが目の色を変えて力説する。

 彼の言い方から察するに、結構な額が入ってきているようだ。

 それだけ話題の存在になっているのだと思う。


 同時に俺はある懸念を抱く。


(あまり有名になると、本物の勇者パーティに気付かれそうだ)


 さすがに名声を借りただけでは済まない。

 これ以上の人気は危険ではないか。

 俺の考えを呼んだのか、メルが優しく諭してくる。


「大丈夫。偽物だと知られたら逃げればいい」


「おい。俺達の正体を知っているのか」


「うん。ウォルドから聞いた」


 メルは平然と頷く。

 すかさずウォルドが苦笑気味に補足の説明を挟んだ。


「勇者にしてはお前が弱すぎると指摘されたんだ。問い詰められたら誤魔化せないだろ」


「ミィナはどうなんだ」


「まだ知らない。俺達が本物の勇者パーティだと思っている」


 そこはまあ、そうだろう。

 さすがに偽物と分かっても尚、宣伝しているのだとすれば豪胆すぎる。


「俺達はあんたを騙していた。それについてどう思う?」


「約束通りに魔族を倒してくれた。だから気にしてない。最愛の人とも出会えた」


 メニがウォルドに抱き付いた。

 ウォルドも満更ではなさそうな顔をしている。

 殴りたい顔だが、生憎とまだ体が動かない。


 俺は脱力して再び横になった。

 色々と問題が山積みだが、もう考えるのも面倒になった。

 そんな俺にウォルドが話しかけてくる。


「これからどうする」


「しばらくは優雅な暮らしをしようぜ。俺達が魔族を殺したのは事実だ。その名声を利用しても文句は言われねぇだろ」


 俺は投げやりにそう言うと、速やかに夢の世界へと落ちていった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! >「何度か話を聞いたが、だいぶ大げさな語り口だったな。あとミィナちゃん自身も聖女として人気で、兵士とは別に親衛隊が設立されたほどだ。今じゃおいら達でも会うの…
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