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ニセ勇者パーティ、はじめました ~名声を悪用するつもりが、本物より活躍している件について~  作者: 結城 からく


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第3話 盗賊は奴隷商を強襲する

 俺は馬車の音に注意しながら木陰に屈む。

 目の前には最低限の舗装が為された街道があった。

 馬車が通るとすればここしかない。


 遠くにいくつかの灯りが揺れている。

 馬車と護衛が照らしているのだ。

 夜道を何の備えも無しに移動するのは自殺行為に等しい。

 俺のような盗賊なら話は別だが、やはり灯りは持っておくべきだろう。


 樹木にもたれるウォルドが気軽に訊いてくる。


「作戦は?」


「まずは馬車を止める。待ち伏せすりゃいけるだろ」


「そこらへんは得意分野だもんな。さすが盗賊様だ」


「言ってろよ。熟練の技を見せてやる」


 俺は自前の背嚢を漁る。

 そこには冒険に役立ちそうな道具を山ほど詰め込んでいた。

 空間魔術が施された高級品なので、見た目以上の容量がある。

 俺は手を突っ込んで目的の品を探す。


(車輪の破壊が無難だな。罠で吹っ飛ばすか)


 引っ張り出したのはいくつかの胡桃だった。

 ただし、普通の胡桃ではない。

 中に細工を仕込んでおり、衝撃を与えると爆発するのだ。


 説明を聞いたウォルドは怪訝そうに首を傾げる。


「そんなので成功するかね」


「俺の自信作だから大丈夫だ。失敗した時の策も考えてある。黙って待っとけよ」


 ウォルドの懸念を一蹴して木陰に潜む。

 気配を殺して、じっと馬車の到来を待ち続けた。


 やると決めた以上、躊躇はしない。

 奴隷商の馬車を強襲して、奴らの運ぶ違法奴隷を助ける。

 そこから先のことはひとまず考えない。


 腐れ縁の悪友に乗せられた。

 その自覚はあるが、今はどうでもいい。

 俺は勇者を騙ろうとしているのだ。

 これくらいの事態で足踏みしていては先が思いやられる。


(俺は盗賊ジタンだ。クソッタレな奴隷商なんかに負けてたまるか)


 自らを鼓舞して気分を高揚させる。

 その一方で殺意は隠し、森に同化するように待ち伏せする。

 仕掛ける前に気付かれてはならない。

 ほどよい緊張感を保ちつつ、一切の音を立てずに胡桃爆弾を弄ぶ。


 やがて車輪の音と灯りが近くなってきた。

 視界の端に馬車が映り込む。


 後ろと左右を挟むように進むのは、馬に乗る三人の男だ。

 恰好が不揃いなので傭兵だろう。

 それぞれが剣を装備している。

 杖や弓矢は持っていないので、遠距離攻撃は不得手と考えるべきか。

 ただし投げナイフを隠し持っているかもしれないから、決め付けも良くなかった。


(来た)


 俺は胡桃を構えた。

 息を止めて間合いを測り、絶好の瞬間にまとめて投げ放つ。


 胡桃が馬車のそばに炸裂して爆発を起こした。

 火花と轟音が迸って馬車が派手に横転する。

 傭兵達の乗る馬が嘶きを響かせながら走り出した。

 突然の動きに反応できなかった傭兵達が地面に転がり落ちる。


 強襲は成功した。

 俺は鞘から剣を引き抜いて木陰から飛び出した。

 両耳を押さえたウォルドが、横転した馬車を見て感心する。


「大した威力だ。まさか錬金術か?」


「よく分かったな。飲み仲間に酒を奢ってやったら教えてもらえたんだ。他にもいくつか習得してある」


「ははぁ、用意周到だなこりゃ。もう普通に魔術師になれるだろ」


「俺は楽な人生を送りたいだけだ。魔術師なんか興味ねぇよ」


 そう言って剣を振り上げた俺は、起き上がろうとする傭兵の首に刺した。

 地面に縫い付けるように固定して、何度も蹴って抵抗を封じる。

 傭兵が白目を剥いて動かくなったところで剣を抜く。

 血飛沫を浴びる俺は、残る獲物へと歩み寄った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] もしかして、結城さんが「ニセ勇者」を主題にするのはこれが初めて? 続きを楽しみにしています!
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