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ニセ勇者パーティ、はじめました ~名声を悪用するつもりが、本物より活躍している件について~  作者: 結城 からく


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第28話 死屍奮迅

 朦朧とする意識。

 身体だけは本能に従って動き続ける。


 丸薬の効果が強すぎるのか、意識が飛びそうだった。

 心臓は凄まじい速度で鼓動を響かせている。

 呼吸が上手くできない。

 このまま死ぬのではないか。

 そんな予感を抱えたまま殺し合いを強行している。


 魔族の蹴りが腹にめり込んだ。

 肋骨がまとめて砕けて、体内がひっくり返るような痺れを覚える。

 たぶん内臓が破裂したのだろう。


 俺は勢いよく嘔吐し、それを魔族の顔面に吹きかけた。

 さすがの魔族も堪らず叫ぶ。


「ぐおおおっ!?」


 血と胃液の混ざった吐瀉物だ。

 目潰しにはなるだろう。


 その隙を利用してミィナが猛烈な打撃を連続で浴びせていく。

 容赦のない拳が魔族を殴打し、強靭な身体を壊す。

 ただの人間ならとっくに肉塊となり果てているはずだ。


 俺もすぐさま加勢した。

 聖水漬けの武器を次々と突き立てては次の武器を手に取る。

 ここで使い潰しても惜しくない武器ばかりだ。

 そもそも温存など考えていられない状況なので、ひたすら攻撃を与えていった。


「やめろオォォォォォッ!」


 突然、魔族が力を爆させた。

 蓄積していた大質量の魔力を一気に解放したのだ。

 防戦に苛立って強引に反撃してきたのである。


 衝撃波を浴びた俺とミィナは大地を転がっていく。

 なんとか立ち上がるも、生身の片腕は明後日の方向を向いて動かない。

 肘からは折れた骨が飛び出していた。


 丸薬のおかげで痛みはあまり感じない。

 しかし重傷なのは間違いなく、動かせないのは当然の状態だった。


「ったく、仕方ねぇな……」


 俺は折れた腕に細い鎖の魔道具を巻き付けて、微量の魔力を流し込む。

 すると鎖が形状を記憶してがっちりと固定した。


 これで乱暴に扱っても腕は千切れない。

 鎖は細い見た目の割には頑丈なので盾にもできる。

 まあ、その時には腕が欠損する覚悟をしなければいけないだろうが。


「両腕が義手になるのは避けたいんだがね」


 俺はぼやきながら応急処置を完了させる。


 ミィナもなんとか起き上がっていた。

 これといった外傷が見当たらないのは、治癒魔術を常時発動中だからだ。

 未だに維持できるのは、ひとえに本人の才能故だろう。


(俺と違って、本物の勇者パーティにも入れそうだな)


 そんなことを考えつつ、俺は魔族を一瞥する。

 魔力を無理に解放した反動なのか、屈強だった肉体が少し痩せていた。

 全身の傷も治っておらず、絶えず血が流れ出している。


(――いける)


 俺は確信する。


 その時、少し離れた所から強大な魔力を感じた。

 何事かと思って視線を向けて仰天する。


 木々の合間を闊歩してくるのは、ウォルドだった。

 奴の背中には、亡霊のようにメニが憑いている。

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