表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/196

崖っぷちな毛玉

掲示板まとめ

・西のボスは北欧兄弟

・北方の日本探索隊はパリーグ猫と交戦中

・イヌの人のイヌは犬じゃない

・リセマラはナビさんの好感度をマイナスにする




気が付けばすっかり春めいて暖かな日が続くようになった今日この頃。


しかし、今日は朝から花冷えの気配がひしひしと建物の隙間から入り込んできているようだ。


起き抜けの少し高くなった体温を外気が緩やかに冷ましていく。それと共にぼんやりとした頭が少しだけ思考力を取り戻した。



お早うございます。はい、朝です。小窓から差し込む日差しが憎らしいほど清々しい朝です。


せめて私の気分に寄り添う花曇りだったなら心穏やかに起きられたかもしれないのに、お日様が隠れる気一切ない快晴ですね。寝不足の目に優しくない。



「おはよう。バロン、アイギス」



寝台の上には黒白大小の毛玉が端っこに離れて丸まっている。とりあえず近くにあった白い毛玉を撫でたことで気分が少し上昇した。


お尻?背中?が山を描くように丸くなり、顔を地面に押し付けるようにして眠るアイギスの寝姿に癒されながらも寝台から降りる。


寝癖を手櫛で整えながら横目で確認した寝顔はくりくりのおめめが完開きだった。



「・・・・・・」



初めてアイギスの寝顔を見た時には驚きすぎて思わず二度見したが、兎は目を開けたまま寝る生き物らしい。


吃驚して起きてないことを確認した後、現実でも調べたからもう慌てない。野生の兎は基本的に外敵からの強襲を恐れて目を開けたまま寝るらしい。


飼育下にある兎の場合、目を瞑りリラックスした姿勢で眠ることもあるらしいが、同じ寝台の上に天敵(バロン)がいる状態では安心などできないだろう。


というか、今更気が付いたがバロンとアイギスを同じ場所で寝させても良いのだろうか。


しかし、どちらかを別の場所に移動させる方法も両者を隔離する手段も思いつかないので、今はとりあえず自分が壁となることにしよう。



アイギスとは反対側の寝台の端へと視線を遣れば、バロンがそこで丸くなって寝ている。


ぶっとい尻尾を抱き込むようにして眠る姿は正気を失いそうなほど可愛い。私の覚醒に気が付くと片目を開けてこちらの様子を窺った後、尻尾の先を小さくゆっくりと揺らす。


立ち上がって朝のひとモフを堪能しようと伸ばした手に自分から頭を摺り寄せてくる仕草の破壊力に内面で悶えのたうち回りながらも、鼻先からおでこまでを往復するように撫でてから喉元をかしかしと掻いてやる。


バロンは気持ちよさそうに目を細めて女王様のように顎をそらして私を見おろしてくる。


猫のこの気位の高そうな表情が好きだ。よきにはからえみたいな顔して好きに撫でさせてくれるところも好き。



撫でられるのに飽きたバロンが身体を起し、その場で大きく伸びをする。


背中からお尻にかけてのラインが大変すばらしいなと眺める視界の端で、アイギスが跳び起きる。


いや、本当に、言葉通り空中に跳ね上がって、寝台から落ちかけて、寝台の端にぶら下がりながらジタバタしている。アイギス、落ち着いて。



起き抜けに崖っぷちなアイギスを下から掬い上げて、寝台の隣に置いておいた装備を装着してから頭上に乗せる。


安地にたどり着いたアイギスが力尽きたように頭上で潰れた気配がする。うん、いつもより、ちょっと重いな。



「朝ごはんはどうしようか?」



このまま風車小屋でポーチの中のものを食べても良いし、街に戻って何かを買って食べても良い。


二匹の意見が聞きたくて視線を送れば、バロンは二度寝の姿勢に入って目も開けずに答える。



『任せる。好きなものを食べよ』



まぁ、バロンがそう答えることはなかば予想済みではあるけれども。


諦めて頭上のアイギスに意識を向けたが、アイギスは脱力したまま動く気配もない。疲れてるのね。そっとしておこう。


























――――――――――――――――――

いつも感想をありがとうございます。

ケルベロスが出てくるかは今後に期待ということでお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ