表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
159/196

誤飲注意


今すぐに、持っているだけで痒みに襲われそうなブツを処分したいし、そのために冒険者ギルドへ急行したいとも思っている。


が、しかし、その前にボス戦の戦果も確認しておこう。ボス素材を売るつもりはないが、ポーチの内容物確認のついでにここで終わらせておこう。



まず第一の変態・・・じゃない、東の関門であったハンスが落としたのは「大人の大蛤」と「大人の猪鍋」と「大人の海苔」?


・・・おとなの蛤とか鍋ってどういうことだろう。少し苦いのかな。


味についての不安は残るが、食料が増えるのは嬉しい。


と思ったら、大蛤は中身が入っていなかった。本体なしの外身だけの状態だった。悲しい。


何だこれは貝合わせでもしろと言うのか。貝殻の内側に落書きでもしてやろうか。


まぁ、いいや。ポーチの中で寝かせておこう。フォースさん達に装備の強化をお願いする時に使えるかもしれない。



ハンスは他にも食べられない物を落としている。


(もっこ)の切れ端」と「大人の草履」だ。畚の方は蛤や猪鍋と同じように幾つかドロップしている。装備などの素材に使えるアイテムのようだ。


大人の草履の方は一つだけ。


名前からしてフロストウォーカーのような装備アイテムだと思う。


フロストウォーカーから履き替える予定はないが、おとなの草履というのも気になる。どんなのだろう。そんなに大人っぽい雰囲気の草履なのだろうか。


取り出そう試みたが、小屋の中では広さが足りないと言われてしまった。・・・草履なのに?



気を取り直して、大魔王の落とし物をチェック。


大魔王は食べられるものとして天狗の金平糖を落としている。


空色の透明な瓶の中に星を閉じ込めたようなきらきらと可愛らしい砂糖菓子が詰められていた金平糖だ。美味しそう。


ホラー的な演出の多かった東の大地であるが、食べ物を一杯くれたという点では評価しよう。


食べ物が貰えるとしても、当分行きたいとは思わないけれども。


と言うか、先程食べた飴が全然減らないのだけれども。本当に一里玉か、これ?



大魔王は食べられるものも落としていったが、食べられないものも沢山くれた。


まず、「天狗の腰掛け」。これは素材系のアイテムなようで取り出すと木材の形をしていた。


松かな?杉かな?木目を見ても職人ではないので分からない。しかし、場所的に杉っぽいな。


他にも素材として「天狗の嘴」「天狗の羽」を幾つか落としている。


それらもいつか使う時のためにポーチの片隅に入れておくことにする。



そして最後に気になったのが「五部大乗経」という代物。


おそらくこれはおもちゃさん達の言っていた初討伐報酬と言うものだろう。


探索者たちの中で一番にボスモンスターを討伐したパーティは初討伐報酬と言うものが貰えるらしい。


これはパーティの全員がだいたい同じものを貰うと聞いた。


だいたいと付くのは今までに一例だけ、初討伐報酬として別の物を貰った例外が一名いるためだ。


その人だけ別の報酬だった理由は証例が少ないため不明だが、貰える確率はかなり低いと予想されている。


そのため、私たちは貰えない前提で、全員が同じ初討伐報酬を貰うと想定して、大魔王戦の報酬を分配した。


曰く、どうせ全員同じだろうからドロップした物はそのまま貰っとけ、とのことだ。


私たちは、もし、誰かが違う物を貰っていたとしても運が良かったな、として恨みっこなしだと約束し合った。


その初討伐報酬がこれである。



識別によると使用回数一回の消費アイテムであり、効果は「特定の職業やスキル等の強化」らしい。


私は「五部大乗経」をよく知らないが、経と付くことからお経的な何かだと思われる。


うーむ、私の職業は巫女見習い。神道と仏教は異なるものだが、神仏習合なる言葉も存在している。そこまで遠いものでもないだろう。


だから、きっと、「五部大乗経」で巫女見習いも強化できる!・・・・・と言うことで、ぽちっと。



手の中の巻物を使用すると、小屋中に巻物が伸びて広がり、私を中心に渦を巻いた。


墨で書かれた解読不能な達筆たちが浮き出てきて、私の目の前にどんどん集まっていく。


真っ黒な墨の塊は凝縮し、飴玉くらいの大きさになると、ぽかーんと大口を開けていた私の口の中に飛び込んできた。


その、あまりの勢いに思わず嚥下する。



「っう・・・ケホッ」



元々舐めていた石の飴も一緒に飲み込んでしまい、胸のあたりが少し苦しい。


咳きこんでみたが、石の飴も墨の飴も喉の奥から出てくる様子はない。



「え・・・ルイーゼ、食べたの?」


『・・・・・・・』



二匹が呆気にとられた様子で私を見つめる背後では、文字を失い真っ白になった巻物が空気に溶けて消えていった。


口内に溜まった唾を飲み込めば、喉に会った引っ掛かりもなくなった。違和感も覚えなくなった喉を押さえて呟く。



「食べちゃった・・・・」



あれ?これ?もしかして?食べちゃいけないやつだった?



























感想ありがとうございます。


西の砂浜ではこの後、定期的に同様の光景が見られるので

何時か聞き耳が成功したら良いですね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ