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狐狸変化


「特にお父さんは豹らしく、夜の索敵に強いから大船に乗ったつもりで安心してよ」


豹は夜行性の動物で夜目も効く。暗闇の中での索敵なども得意分野だろう。


同じく夜行性の猫科動物なお2さんも夜目は効くだろうし、狼なリーダーさんも問題ないだろう。


サルミアッキさんは漆黒の名を持つプライドとして夜間行動も可能にしていそうだし、ウォトカさんも夜に強そうだ。


残るメンバーも言及がないということは夜間行動に不自由しないと言うことだろう。


私たち、猫と兎パーティも夜目の効く種族なので問題ない。リーダーさんも猫が夜目の効く動物だと知っていそうなので、先程の夜目云々の質問は念のための確認だったのだろう。



「よし!出発するよ~!」


リーダーさんの号令に合わせて再出発する。腕の中にはバロンが暴れられずに退屈そうな顔で納まっている。



それにしても、蒼然たる世界の中で、お父さんの真っ白な毛並みはよく目立つ。


お父さんは服まで白いので余計に。先頭を歩くお父さんの白さはちょうど良い目印となっている。


それに対して、少し前を歩く漆黒のサルミアッキさんは全身真っ黒なので暗くなればなるほど保護色となって見えにくくなっている。


この魔術師、暗闇に乗じて敵の暗殺でもしそうな見づらさである。闇魔術などは習得していないそうだが、もし持っていたら仕事人の仲間になっていたかもしれない。


こう、相手に気づかれないように闇魔法できゅっと一仕事しそうだ。でも、月がある以上、完全な暗闇は訪れないので敵から姿を隠すことも不可能だろうか。



「御猫御前様の強さは分かったから、次は連携の確認をするよ~。ルイーゼちゃんたちは回復と防御をお願い」


「はい」


返事はしたけれども気になることがあり、思わず背後を振り返っておもちゃさんを見る。


いつの間にか、よく分からないバロンの呼び名が共有されていた。



視線を受けて、おもちゃさんはにかっと笑って親指を立てた。「例の件伝えといたぜ」と言う意味だろう。


バロンの前で北方探索隊の話題は危険だと注意喚起してくれたのだと信じている。



その後は特に何事もなく、何事もなく?・・・多少の騒ぎはあれど順調に連携の確認ができた。


普段はさぼりがちな私の回復スキルも筋肉さんの回復のためによく稼働し、スキルレベルも上がり回復量も増えた。


回復を連発する私がモンスターに狙われやすくなったことで私を護るアイギスの防御スキルもめきめきと上達した。バロンは杖を支えるのが上手くなった。


いや、あの、私の腕の中には不貞腐れたバロンが納まっているのだけれども、私の手にはポーチから発掘された長杖も握られており、猫と杖、両方を持つのに苦労していたのだ。


バロンは大きいから片手では抱き上げられないし、けれども、長杖も持ちたいし。四苦八苦する私を見かねたバロンが長杖を器用に支えてくれるようになり、私は安定して杖と猫を抱えられるようになった。ありがとう、バロン。



そんなこんなで連携の確認も終えて、ボスの出現地点へと足を勧めていた私たち一行の前に一匹のウサギが現れた。


のんきに道草を食べながら、ゆったりとした動作で移動している。


この世界のウサギがただ捕食されるだけの弱者ではないとは言え、敵の存在を認識しても警戒もせずに食事を続けるってどうなの。


もしかして、私たちの存在に気が付いてない?野生は何処へ。



「ウサギにしては警戒心がねぇな?」


「鑑定結果は?」


リーダーさんがウォトカさんへ視線を送る。ウォトカさんは鑑定を持っているようだ。


ウォトカさんは薬師系のスキルも持っていると聞いた。鑑定もその一つなのだろう。鑑定は自らの作ったポーションの出来を確認するためにも必要そうだ。



なんてことを考えながら、私も不用意なウサギに識別をかけようとしたが、しかし、その途中で聳動するような言葉が耳に飛び込んできた。



「これは、おそらく化けてるな・・・・化けた――」


「きつねっ!?」



え、嘘!?やだ!!きつね!?狐が出たと言うの!?おもちゃさんの嘘つき!狐は出ないって言ってたじゃないか!?


どうしよう、心の準備がまだ出来ていない。


とりあえず装備の確認だ。精神安定剤もふもふヨシ!お化けから身を隠すための障害物は周囲にいっぱいあるし、一番大事な最強猫様バロンは腕の中にいる。


だ、大丈夫、きっと何とかなる。





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