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山簡倒載


「ルイーゼちゃんは俺と同じ回復系の職なんだっけ?」


「はい」


リーダーさんの質問にひとまず答えてから、浮かんだ疑問に首をひねる。


俺と同じってどういう意味だろう。まるでリーダーさんが回復職のような言い方だ。


リーダーさんはジャマ―、敵の妨害やデバフ(バフの反対。敵を弱くする)を担当しているんじゃないの?



「ちなリーダーは聖職者な」


リーダーさんの張り扇を凝視したまま動かない私にウォッカさん、ウォトカさん?あれ吞兵衛さんだっけ?・・・・お酒さんが教えてくれる。



「リーダーはあのハリセンで気合入魂・・・じゃなくてHP回復をしてくるんだ。・・・・・・・・・ついでに精神分析(物理)も」


ますます困惑する私におもちゃさんから追加の説明が入る。しかし、説明を聞いたのに理解が追い付かない。


張り扇で回復ってどういうこと。想像できないんだけど。逆にダメージを負うのでは?


いや、張り扇は叩かれても痛みはない。ダメージも負わないのか?


そして精神分析、なんか変なの付いてるけど私も持ってるスキルだ。おそらく精神系の異常を解除してくれるスキル。



「え、えーと、私も精神分析持ってます。おそろいですね」


よく理解できなかったので、無難な方向に逃げる。


「回復足りてなかったから助かるよ~」



7人パーティで回復役が一人と言うのは確かに少ないと思う。しかし、私は普段アイギス専用の回復役なので、ちゃんと回復役としての役割を全うできるだろうか。


バロンやアイギス(もふもふ)見てて他の人のHPがピンチなことに気づかなかったとかならないように気をつけないと。



「とりあえず、ルイーゼちゃんには筋肉のことを頼んだよ」


筋肉さんは今日もマッスルポーズをきめている。もうそろそろ村の外に出るけれど、背中の斧をぬく様子はない。やはり拳で殴るのだろうか。



「うちは速さがあるやつ多いから、できる限り回避して攻撃をしのぐ方針なんだよね」


犬、じゃない狼獣人なリーダーさんに、猫科二人、おもちゃさんも盗賊と聞いたから速いのだろう。リーダーさんの言葉通り、速そうなパーティだ。



「ただし、例外が二人いてね」


例外。おそらく一人は筋肉さんだ。話の流れ的にも見た目的にも。


本来身体の大きさと速さは本比例するものだし、筋肉は重いものだ。筋肉の塊な筋肉さんはきっと速度も遅いはず。


もう一人はウォトカさんだろうか。ドワーフには足の遅いイメージがそこはかとなく。


それと、飲酒による千鳥足で上手く避けられない可能性もある。



「うん。正解。そこの吞兵衛が鈍足の一人だよ」


「俺は盾だからな」


うん。盾役のウォッカさんは敵の攻撃を受け止めるのが仕事だから、足が遅くても、攻撃を避けられなくても、問題はないだろう。


でも、ウォトカさんの主張を聞いたリーダーさんの目が据わっているので、何か差し障るような事情ありそうだな。



「中途半端に自己回復盾気取って死にかけさえしなければね」


ウォトカさんはリーダーさんからそっと目をそらした。しかし、回り込まれてしまったようだ。


そらした視線の先にまわりこんだリーダーさんはウォトカさんの顔面を鷲掴んで話し合いを始める。



「回復いらないって言っといて死にかけたの何回あったっけ?」


「それは・・・・」


自己回復盾と言うのは自分で回復しながら盾役をこなす盾のことだ。つまり、ウォトカさんは何かしらの回復スキルを持っているのだろう。


しかし、何度も死にかけると言うことは回復スキルの育成が上手くいっておらず、ダメージ量と回復量が釣り合っていないのだろう。


でも、スキルは使わないと成長しないし、難しいところだな。



「吞兵衛の酒瓶、あれ、中身回復薬なんだわ」


「え?」


「酒と回復薬の混合物」


おもちゃさんから告げられた酒瓶の中身にすわ冤罪だったかと焦ったが、結局酒瓶の中身はお酒だった。


ポーションと混ぜ混ぜしたお酒だった。ウォトカさんはそこまでしてお酒を飲みたいのか。



「あいつあれ造るために薬師系も鍛えてんだ・・・・・・」


そこまでしてお酒を飲みたいのか。お酒INポーションにウォトカさん以外の需要があるとも思えないので自分で造るしかなかったのだろう。


でも、そのために貴重なスキルポイントを費やしてまで薬師のスキルを磨くとは恐るべし執念だ。



「――だからスキル鍛えるにしても、時と場合を考えろって言ってるの!」


「しかし、ボス戦は良い飲み時なんだ」


「どいつもこいつも、ボス戦くらいはまじめに戦え!」


「俺は酒飲むためにドワーフになったんだ!」




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