他己紹介
*なんちゃって関西弁あり。
間違っていた場合は、そっとお教えください。お願い致します。
「俺たちはついに七人になってしまった・・・・・しかし、悲しい事ばかりではない。追加メンバーを紹介する!」
おもちゃさんは芝居がかった動作で、両手でバーンと私たちを示す。
「次のボス討伐まで付き合ってくれる、幼女ルイーゼともふもふと神話生物だ!」
「幼女じゃないけど!?」
結局、話し合いの末に、このまま一緒にボス討伐へと向かうことになった。
決め手はバロンの勇み足。早く、早く、ボスをぼこぼこにしたいと、すっごく期待したきらきらした目で見られてしまったので、仕方ない。
夜は怖いけど、バロンもアイギスもいるし、おもちゃさんもお化けが出たらお化けが怖くなくなるポーズを取って励ましてくれるそうだから。
でも、紹介が不当だし、ちょっと信用して良いのか不安になってきたな。
「よし!こっちのメンバーも紹介するな!ゴールデンレトリバーっぽい狼獣人が俺たちのリーダーだ!リーダーって呼んでやってくれ!」
「ゴールデンレトリバーは犬だし、俺は狼だし、俺の名前はフランだよ!」
金に近い茶色、黄支子色の狼獣人の青年が吠える。確かに、青年は長毛で癖っ毛なところがゴールデンレトリバーに似ている。
「ああ、いや、リーダーでいいよ。よろしくルイーゼちゃん」
「ルイーゼで良いです。よろしくお願いします」
リーダーさんはこちらに向き直って挨拶してくれる。私はちゃんはいらないことを伝え、お辞儀した。
だって、ルイーゼちゃんだと何となく子供っぽいし。私は立派な大人だから。
「で、後は、剣士いち、剣士にー、盾、魔法使い、盗賊な」
おもちゃさんは順番に筋肉が凄い人、黄色と黒の猫科獣人さん、ドワーフの人、真っ黒なフードを深くかぶった怪しげな人、もう一人の猫科獣人さんを指さして言った。
「紹介が雑!」
「もっとちゃんと紹介しろ!」
おもちゃさんの雑な紹介には仲間からもブーイングの嵐なようだ。
「しょうがないな~。・・・剣士いち、筋肉。筋肉さんって呼んでやって」
え、その紹介で良いの?と思ったけれど、筋肉さんは筋肉さんで問題ないようで、紹介に合わせてすばらしい上腕二頭筋を見せつけてくれた。うーん、マッスル。
「剣士にー、まぁ、剣士にーさんでいいだろ。めんどいし」
おもちゃさん投げやり。おもちゃさんからの紹介は諦めて、剣士にーさんに直接聞くことにする。
「・・・剣士にーさんは剣士にーさんで良いんですか?」
「ええで!」
予想外に即答された。サムズアップ付きだ。
「・・・・・本当に剣士にーさんで良いんですか?」
「いいとも!」
剣士1,2あつかいはさすがに駄目だろうともう一度、念押しで聞いてみたが、またしても即答で肯定された。
人好きのしそうな笑顔で八重歯をチラ見せしながら頷いている。
「何ならにーさんでもええで!いや、いっそ、おにーちゃんって呼んどくれや!」
御にーちゃん?敬いたいのか、親しみたいのか、よくわからない呼び方だ。
あと、なんか勢いが強い。勢いに押されて固まっている内に、御にーちゃん?さんは私のすぐそばに来た。
「さぁ!さぁ!おにーちゃんって呼んでや!上目遣いに!少しはにかんで!」
「近い!セクハラ!ステイ!ホーム!」
私に詰め寄っていた御にーちゃん?さんの頭が勢いよく背後からすっぱ叩かれる。
「ちょおっ!リーダー!わては犬やないで!犬なんはリーダーやろ!」
「俺は狼だよ!・・・まったく、ごめんね。ルイーゼちゃん。これは2さんで十分だよ」
リーダーさんは手元の張り扇を手のひらで弾ませながら言う。
初対面の時から、ずっと気になっていたのだけれど、リーダーさんの武器は張り扇なのだろうか。
他の武器を持っている様子もなく、ずっと張り扇を握り締めていたので気になっていたのだ。張り扇に殺傷力はなさそうだし、音でモンスターを威嚇して行動を阻害したりするのかな。
「よろしくお願いします。お2さん」
「よろしくやで!」
言われた通り、お2さんと呼んだけれど、お2さんもお2さん呼びで構わないようだ。
鋭い牙をきらりと光らせて笑っている。その背には幅広刃の大きな剣が背負われている。
お2さんは紹介と違わず、剣士のようだ。筋肉さんの背に装備された武器が斧にしか見えなかったので、お2さんも剣は使わない剣士かと思ったが此方はちゃんと剣士だった。
筋肉さんは筋肉が武器だとか言いそうだし、そもそも言葉を発さずに筋肉を美しく魅せるポージングを続けているので剣士と言う紹介で合っているのか疑問だ。




